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 あなたが私のことを一生懸命に探して、求めて、考えていてくれたときに、私はあなたのことを一秒も考えていなかったんだよ。瀬戸夏という言葉は私の頭の中から綺麗に消えてしまっていたんだよ。あなたの名前はゴミ箱の中にあったの。それを私は慌てて引っ張り出してきたんだよ。私はそういう冷たい人間なんだよ。夏。ごめんね。私はあなたに愛される資格がないよね。

 遥は泣いている。(……我慢しきれなかった。珍しい。私らしくない)遥がこんなにも自然に涙を流すのは、照子が生まれたとき以来のことだった。遥の目は真っ赤になった。赤は遥が一番好きな色だった。

 ……私はここで生きていくつもりだった。照子と二人で、世界から逃げて、閉じこもって、二人だけの楽園を作ろうとしたんだ。夏だけじゃないよ。私は世界のすべてを捨てるつもりだったの。外側の世界のすべてを捨てて、小さな内側の世界の中に閉じこもって、そこで生涯を終えるんだって、それが私の生きかたなんだって、そんな愚かな選択をした卑怯者なの。それが私。それが夏、あなたの憧れた世間から天才と呼ばれる木戸遥の正体なの。がっかりさせちゃったかな? (もし、そうだったらごめんね)

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