246 12月26日 真夜中 あなたにずっと会いたかった。
12月26日 真夜中 あなたにずっと会いたかった。
木戸遥は困惑していた。私の体になにが起ったのか理解できない。理解できないことがとても不思議だった。遥はベットから体を起こした。遥の隣では、ベットの中で夏が寝息を立てて、ぐっすりと眠っている。その寝顔はとても幸せそうだ。(なにかいい夢でも見ているのだろう)
部屋の中は真っ暗だ。ディスプレイも点灯しない。それは遥の意思によるものだ。(地下暮らしの長い遥の目は闇に慣れている。闇の中でもぼんやりと対象を確認することができる。ちょっと出歩くくらいなら、遥は光を必要としない)
どのくらい眠ったのだろう? 一時間くらい? それとも、二時間くらい、だろうか? 目が覚めたのに、あまり頭がまわらない。(遥は特別寝起きに弱いというわけではない。むしろ寝起きが一番、頭の回転が速く回るくらいだ)うまく頭脳が起動しない。久しぶりの感覚だ。いつ以来だろう? なにかがおかしい。頭がぼんやりする。体の調子が悪い。いつもの自分ではない。眠っている間に、私の頭の中にある、私の思考の構造を支えていたどこかのねじが一本取れてしまったみたいに不調だ。遥は自分の左手を見つめる。小指の先が少しだけ震えている。




