242 ……いつか、約束の日に。……あの場所で。百年後にもう一度、出会いましょう。
……いつか、約束の日に。……あの場所で。百年後にもう一度、出会いましょう。
夏は遥だけを見る。
遥も夏だけを見ている。
手が触れる。
遥の手。
遥。
まず、最初に指先が触れる。
それからお互いの手のひらが触れる。夏の手のひらと遥の手のひら。
そうやってゆっくりと、きちんとした順序を伴って、二人の手が重なっていく。
二人はお互いの手をしっかりと握る。
二人の手が空中でしっかりと結ばれる。夏の右手を遥の左手が握っている。しっかりと夏の手を握り返してくれる。二人はそのまま体を近づける。二人はお互いの体をぴったりとくっつけ合う。パズルのピースを空白に埋めるみたいに。まるで二人が最初から一つの生命体だったみたいに。(それは本当にぴったりとくっついて離れなくなった)青い空の中で、二人の少女はお互いの体を抱きしめる。……強く、強く抱きしめる。(絶対に離さない)
二人の体は、そのまま空の中に落ちていく。抱き合ったままでは、空は飛べないからだ。(ごめんね、遥)でも不安はない。後悔もしていない。二人の心はとても強い幸福感で満たされている。夏は、自分はこの世界に生まれてきてよかったのだ、と思う。遥がそうだと言ってくれたからだ。(私を抱きしめてくれるということは、そういうことなのだ。そして、遥の言うことは絶対なのだ)だから夏は、この世界に生まれてきて今が一番、幸せだと思った。




