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「夏、もう寝なさい。大丈夫。もう大丈夫だから」

 優しい声。どこがで聞いたことがあるような声。(もちろん遥の声なのだけど、遥ではない違う誰かのような声)私はこの声をどこで聞いたんだろう? 夏はそれを思い出そうとした。だけど、自分の内側のどこを探しても声の主は見つからなかった。(それはとても残念なことだった)

 でも大丈夫なのだ。(そう私は大丈夫)遥が大丈夫だと言っているのだから、もう大丈夫なのだ。夏は笑う。夏はそっと目をつぶった。

 目を開くことと、目を閉じること。十五年間生きてきて、夏に許されていた選択肢はそれだけだった。それ以外に夏に選択肢はなかった。十五年間生きてきて、夏に選択できたことは目をつぶることだけ。ただ、それだけだった。夏が目を開いていたのは、遥が一緒にいてくれるときだけだった。(それは遥のおかげだ。遥が夏に目を開くという選択肢を与えてくれたのだ)夏は幸せだった。十五年間生きてきて、夏は今が一番幸せだと思った。本当の本当に夏はそう思っていた。

「ずっと一緒に居てくれる?」夏は体の向きを変えると、遥の胸の中に自分の顔を埋める。(結構勇気のいる行動だった)一つのベットの中で、二人は向かい合って抱き合うような姿勢になった。夏はそうすることで自分が甘えん坊だと遥に思われても(評価されても)いいと判断した。今はその二つの大きな膨らみが夏にはどうしても必要だった。遥は夏を拒否しなかった。とても柔らかい感触が夏を(夏のすべてを)包み込んだ。

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