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……私はずっとあの光に守られて生きていたんだな。それに気づけなかっただけ。あたり前になりすぎて認識できなかっただけ。それはたぶん私だけじゃない。みんながそう。たまにはこうして洞窟にこもる生活を悪くない。だってそれを私に思い出させてくれたんだから。
ここは太陽の光の届かない地下で、明かりはすべて人工のもの。(今更ながらそんなことを思い出した)本物の光じゃない。自然の太陽の光ではなく、人間が生きるために作り出した人工の光。偽物の光だ。輝きだ。でもそれがすごく美しく見える。夏の鼓動は高鳴った。その光に夏の目は、心は強く惹かれた。
夏には本物の太陽はまぶしすぎる。(直視できない。力が強すぎるんだ)あまりにも眩しすぎて安心できないんだ。それはそうだ。だって太陽は人が生まれる前から宇宙に存在する。太陽は人間のために地球を照らしてくれているわけじゃないんだ。あれは本物なんだ。あれは本物で、あれは偽物じゃないから、人が作り出した物じゃないからだ。制御できない。人のフレームの外側にある融通の利かない不安定なシステム。それがとてつもなく、怖い。夏は毛布をかぶりあらゆる世界を遮断した。




