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「でも、それじゃあ寂しいよね。限界がないからこそ人って頑張れるんじゃないかな? 未来が良くなるって信じられるからこそ、今を全力で走る力が湧いてくるんじゃないかな?」

「未来なんてどこにも存在しないよ。だから良い未来も悪い未来もない。私たちが、つまり命がもっとも恐れている現象は停滞することだよ。止まってしまうことなんだ」

「停滞? どういうこと?」

「そのままの意味だよ。止まってしまうこと。立ち止まってしまうということ。生命とはつまり速度のことだからね。生命として誕生した以上、命は立ち止まることはできないし、また立ち止まる必要もない。もしくは、立ち止まってはいけない」 

「テストで百点をとっても意味がないんだね」夏は言う。(ちょっと話が飛んでいる)夏はテストで百点をとったことはない。夏はフレームという話をしている。テストの外側の世界に(教室という箱の外側に)目を向けろと言っているのだ。

「テストを作ったのも人間の先生だからね。でもテストで百点を取ることは無意味じゃないよ。とても大切なことだよ」遥は言う。遥はいつもテストで百点ばかりをとっている。

「必要がない」夏は遥の言葉を繰り返す。

「停滞とは存在がなくなること。それはつまり死そのものだから」遥は言う。

 夏はゆっくりとフォークをテーブルの上に置いた。お腹は満腹になり掛けている。だけどテーブルの上に置いてある、せっかくの夏のご褒美であるクリスマスのチョコレートケーキは、まだ半分も残っている。……遥が全然食べないからだ。

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