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 木戸遥は七歳を境にして専門を人工知能から人工進化に変えた。なぜ専門を変えたのかは誰にもわからなかった。知っているのは遥本人だけだ。この選択はとても問題になったらしい。彼女の身近にいる人物でも理由はわからなかった。その前兆も感じ取れなかった。それくらい突然の変更だった。人工知能分野は遥を失ったことで十年単位で研究が遅れる見込みだ。遥が中心となっていた研究に至ってはおそらく四、五十年は後継者は現れないだろうという悲観的な予測が有名な科学雑誌で発表されていた。国家や企業団体からの事前の遥への投資額も半端な金額ではない。それでも遥は人工進化技術に執着した。難航しながらも遥は自分の意志を貫いて、人工進化の世界に本当にその身一つで飛び込んだ。過去を無理やりその体から引き離すようにして、自分のこれまで得ていた名声と地位と富をすべて失うように消費して、遥は大人の世界を飛び越えたのだ。

 その結果、七年の歳月を経て、木戸遥という天才はこんな辺鄙なところで、へんてこな研究所を所有して、十四歳にして人と交わらず地下にこもりっきりの生活を送るという世界でもとびっきりの変わり者になってしまった。それ以来、世間では木戸遥の名前は綺麗さっぱりと忘れ去られてしまったのだ。それ以後、木戸遥の(表向きの、公的な)情報は完全に途絶えている。

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