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「これ本当は遥専用なんだよ? 夏が疲れた疲れたって言うから教えてあげたのに、そんなに怒らないでよ!」澪は言う。

 足が痛いとか、疲れたとかいろいろと駄々をこねていたら、澪が自転車の存在を夏に教えてくれたのだ。夏はそのことが素直に嬉しかった。甘えた(騒いだ?)甲斐があったというものだ。

「だって本当に疲れたんだもん!」夏は言う。

 この一年間、ドームにたどり着くまでの間、夏はずっといろんな意味で歩きっぱなしだった。スイッチが入りっぱなし。だから本当に疲れていたのだ。

 ドームの入り口ゲートから続いていた、草原の中の一本道は塗装がされていなかった。(ドームの中の道はちらほらと見えた他の道も含めて塗装が終わっていない。ドームはまだ未完成だ)

 夏の歩いてきた道も土色をしていて、(靴が汚れないから、それも本物じゃないんだけど)コンクリートの塗装はどこにもされていなかった。この自転車道はどうやら将来、この道の上に線路を引く予定のようで、そのために最優先で塗装がされているらしい。

 澪の話によると遥はたまに研究の気分転換として、早朝や夕方の時間帯に、この道の上を自転車に乗って、一人で走っているようだ。地底湖での水泳といい、遥はインドアなのか、アウトドアなのかよくわからない。分類しづらい。

 線引きをしない。やりたいことをやる。自分をある一点に固定しない。そんな風に自分という枠にとらわれていないところが、遥らしいと言えなくもない。

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