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 その風をたどっていくと、そこには白い風車が何本も連なって大地の上に立っている風景が見えた。風車という機械によって人工的に作られた風が偽物の草木が生える緑色の大地の上を駆け抜けていく。その風が夏の元まできちんと伝わって、夏の髪を揺らしているのだ。

 その風の中で、夏の脳裏に先ほどの照子のイメージが浮かび上がり、それが現実の風景と重なり合った。

 部屋の中でじっとしているお人形さんの照子ではない。照子は満面の笑みを浮かべて、自分の足で大地の上を歩いている。走り回っている。太陽の光を反射する白い肌は幻想的なほど美しく、まるで汚れていない青色の瞳は世界で一番自由な光を宿している。それは太陽の光を吸収し、さらに強くきらきらと輝き、見る人に幸福と祝福を与えている。

 木戸照子の、いや、『雨森照子』の本来あるべき姿がそこにはある。照子もまた遥と同じ。洞窟の奥に閉じこもっているような存在ではないのかもしれない。(夏の思考はあっちとこっちを行ったり来たりしている。それは夏のせいではない。ころころと印象の変わる不思議な白い女の子のせいだ)

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