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 でも最初に紹介されていたら、遥と二人っきりの時間は過ごせなかったかもしれない。澪は照子とは違って(おそらく)自由に研究所の中を動き回っている。それに澪は人工知能だけど、とても、人に近い存在だった。

 人工知能とわかっていても、ここまで人に近いと無関心ではいられない。それに澪は映像や音声を記憶して保存し、それを永遠に残すことも可能だ。人の記憶と違って、デジタルデータは劣化しない。

 世界中、どこにいっても人工知能は存在する。ネットワークとリンクしている。プライバシーなんて、一応法律では保護されているけど、ないも同然なのだ。それは確かに問題である。それも大問題だ。そんなこと全然気にしないというのが一番の解決方法だけど、澪は人格のようなものを持っている。そういうわけにもいかないだろう。


「宇宙船って技術的には可能なの?」夏は遥に質問する。

「理論上は可能。でも技術と技術者が途絶えているから再現するのにすごく時間とお金がかかる。宇宙船開発でもっとも障害となるのは法律で国際的にその開発が禁止されていること。それからさっき言ったように地球上に技術者が存在しないこと。宇宙工学そのものが秘匿情報扱いされていること」つまり無理ってことだ。そんな顔をしている夏を見ながら、遥は優雅にコーヒーを飲む。

「国家が管理しているんだよね?」

「管理しているだけ。誰もなにも知らない。技術が途絶えるっていうことは、そういうこと」

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