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「澪はどうしてクジラの姿をしているの?」

「僕は生まれたときから、この姿をしているよ」

 どうして澪は人の形をしていないんだろう? 澪が人の形をしていれば、それはもう人間と呼べる存在と同じなのではないか? なぜ遥はそれをしないんだろう? 澪が望まないのか? それともまだ、心と呼べるほど、人工知能の技術が完成していないからか? 澪はクジラなのか、人なのか? もう遥にはそんなことは興味がなくなってしまったのか? 照子につきっきりで澪はただのおまけ。もしくは研究所の番人としての役割しか求めていないのか? ではなぜ澪に木戸澪という名前を与えたのか? それとも遥は人の形にこだわってはいないのか?

「澪は男の子?」

「そうだよ」

「ここで生まれたの?」

「そうだよ。遥が僕に命をくれたんだ」命。命を与える。

 澪の受け答えは遥の教育の賜物なのか? それとも自己学習による自我の獲得なのか? 道具である人工知能が人格や感情を過度に、人間と変わらないほど、備えることは道具を扱う人間にとってはむしろマイナスなのではないのか?

「普段はなにをしているの?」

「決められた仕事があって、それをしている。でも仕事が終わればあとは自由。好きなことをして遊んでいるよ」

 自由。自由とは孤独のこと。遥はそう言った。澪は孤独。だから自由。

「好きなことはなに?」

「興味のある学問を学ぶこと。それからいろんな道具やプログラムを実際に作ってみること。それから運動をしたり、音楽を聴いたり、絵を描いたり、とにかくいろいろなことだよ」

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