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「そういえば、消毒済みってどういうことなの? シャワーを浴びたこと?」スティール棚に並んでいる小瓶の一つを手にとりながら、思い出したかのように夏が聞いた。

 カラフルな色をした錠剤は、チョコレートのようなお菓子に見える。似たような錠剤はほかにもたくさん並んでいる。真っ白な薬はラムネに見える。飴玉のように見えるものもある。(棒がついてないだけで、遥がよく舐めている飴玉に似ている)そんな陳列物を眺めていると、夏は自分がお菓子専門店にでも来たような気持ちになる。これらの薬を実際に飲む照子のために、わざとお菓子に似せているのかもしれない。

 スティールの棚から直角に曲がった壁の前には、ハンガーラックとクローゼットがある。クローゼットはよく見かける普通のもの。ハンガーラックにはいつも照子が着ている真っ白なワンピースのような服が六着、ハンガーに通して吊るしてあった。ハンガーは丸みを帯びた可愛らしいデザインをしたものだ。(危険防止のためだろう)

 でも、それでもハンガーは危ないんじゃないかと思う。照子は自殺を考えたりはしないのだろうか? それとも照子は自殺などしないと遥は楽観的に考えているんだろうか? この高さのハンガーラックなら照子はここで、首を吊れる。

「地上の森。綺麗だったでしょ?」

「うん。綺麗だった」

「浄化作用が働いてるんだよ。夏はね、ドームの中に入ってからずっと消毒をされていたの」そう言ってから、遥は席を立つと移動を始める。その先には白い箱が三つある。コンテナ室に置いてあった、遥が食料を保存している箱を一回り小さくしたような、人が両手で持ち運ぶことができるサイズの大きさの箱だ。遥はその三つの箱の中の一つの箱の蓋を開けて、その中身を漁り始める。

 さっきから気になってはいたのだけど、あの箱はいったい、なんの箱だろう? もしかしてパンドラの箱だろうか?

「地下にきたときにはもう無菌状態になってたのよ。規定の水準に達していなかったら、列車は動かない仕組みになってるの」

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