サンライズは怪我人を治療し、事の顛末を聞く。
天空の城に戻った僕達は、応接室に向かう。
椅子に座り、ホッと一息付いていると、アリアがやって来る。
アリアの後ろに、メイド服を着た小学生位の少女2名が続く。
アズキもメイド服を着ていて、ヨモギと同様に、アリアから“メイド道”なるものを学ぶらしい。
そして、まだ、殆んど喋れないが、暫くすればヨモギ同様に言葉を覚えるだろうと、アリアが言った。
アリアがお茶の準備を始めると、バッハが戻って来た。
「美鈴様。拓哉様。支店長から大至急来て欲しいと伝言を頼まれました」
「何の用かな?」
「はい。Bチームで重傷者が出たので、治療を頼みたいとの事です」
「分かった!バッハ、転移門を開いてくれる?」
「承知しました」
バッハが、ダンジョンゲート近く迄、転移門を開いてくれる。
僕が転移門を抜けると、後ろから美鈴さんも付いて来た。
「私も一緒に行くわ。白玉も居るし…役に立つと思う」
「うん。分かった!」
僕達は、ダンジョンゲートを抜けて、探索者協会の受付に行く。
「あの~」
「すぐに診療所に向かって下さい!」
僕が話終わる前に受付の人から言われた。
相当切迫しているみたいだ。
それを聞いた僕達は、走って診療所に向かった。
★★★★★
診療所に到着すると「怪我人は診察室です!」
そう言われ、僕達は診察室に入る。
中には、医師と支店長が居た。
「拓哉!美鈴!済まない。重傷者の治療が出来ないか?」と支店長に聞かれる。
ベッドには、2人の重傷者が寝かされていた。
僕は光精霊のフリージアを見る。
フリージアが、うんうんと頷く。
「大丈夫みたいです」
「フリージア!お願い!」
僕が言うと、フリージアが怪我人のところへ飛んで行き、右側に寝ている人に光魔法を発動させる。
うん?
僕が横を見ると、白玉が美鈴さんが持つトートバッグから出て、左側に寝ている人に、光魔法を発動させていた。
どうやら美鈴さんが指示したみたいだ。
フリージアと白玉の光魔法で、2人の重傷の怪我が癒えてゆく。
僕は、軽症者の治療をルピナスに指示する。
光魔法程ではないが、ルピナスの水魔法にも、癒しや回復の力がある。
暫くして、フリージアと白玉の光魔法が修まる。
医師が診察を始めた。
ルピナスの水魔法も修まる。
軽症者達から「ありがとう!」とお礼を言われる。
重傷者2名の診察をしていた医師が「もう大丈夫です!暫く寝ていれば意識を取り戻すでしよう」と言い、それを聞いた僕達は、ホッと溜め息を付いた。
「フリージア、ルピナス。ありがとう!」
僕がお礼を言うと、2体の精霊は嬉しそうに空を舞った。
美鈴さんが白玉を抱きながら「白玉ちゃん!偉いぞ!」
そう言って、白玉をもふった。
★★★★★
診療所を出た支店長と僕達は、探索者協会の支店長室に場所を移す。
僕達がソファーに座ると、副支店長が入室してきて、経緯の説明が始まった。
副支店長によると、不思議な事にダンジョン地下2階~5階迄には、全く魔物が居なかったそうだ。
そして、5階から6階へ向かって歩いて行くと、5階の最奥にボス部屋が出来ていた。
中を確認する為、皆でボス部屋に入る。
フロアボスが、どんな魔物なのか?確認する為、ファイブスターの斥候が1人で、1段高くなっている場所に載ると、光の粒子が集まり出す。
光が修まると、そこには巨人が立っていた。
目玉が1つ。
裸で腰巻きだけを付けていて、巨大で長いこん棒を手に持っていたそうだ。
斥候が皆のところへ一旦戻る。
皆で話し合い、魔法で長距離から攻撃してみる事になる。
魔法職のメンバーが、魔法攻撃をしたが、殆んどダメージがみられない。
そこで、物理攻撃に作戦を変更する事にする。
ファイブスターとサンダーブラックが、中心になって打ち合わせをしていたら、皆の目を盗んで、勇者君が1人で勝手に巨人の魔物に向かって行ってしまう。
巨人からのこん棒攻撃を巧くかいくぐり、巨人に接近。
剣に炎魔法を纏わせて、巨人の足に渾身の一撃を加えるが、皮膚に傷1つ付かなかった。
再び巨人からのこん棒攻撃がきて、勇者君は剣で受けたが、巨人のパワーが凄くて、剣が砕け、勇者君は吹き飛ばされてしまう。
勇者君を助ける為、ファイブスターとサンダーブラックの盾役の人が前に進む。
すると今度は、盾役の人めがけて、こん棒が振り下ろされる。
巨人からのこん棒攻撃を受けた盾役の2人は、吹き飛ばされ重傷を負う。
勇者君は、その隙に自力で脱出したが、盾役の2人は自力で動けない。
魔法攻撃を仕掛けて、注意を引いている間に、何とか2人を運び出し、そしてそのまま撤退してきたそうだ。
その話を聞いた支店長は激怒し、ジャスティスにはペナルティとして、暫くの間は活動停止処分にしたそうだ。
探索者協会の規定で、未成年者には罰金を科す事は出来ず、活動停止処分か、除名処分しか出来ないらしい。
本部の常務から「貴重な存在の勇者を除名にはするな!」と言われたらしい。
支店長が「あのタコ常務の野郎が口出ししやがって!」と怒り出す。
そして、怒りが収まった支店長から、Bチームの応援を依頼された。
僕達はダンジョン8階までの調査を終わらせた。
もう、これ以上の調査は不要と支店長が判断した。
後は探索者次第。
ダンジョン内では、何があっても自己責任が常識だ。
僕達はBチームの応援を受諾する。
ジャスティスは除外し、僕達が入る。
支店長も同行するそうだ。
ファイブスターとサンダーブラックの負傷者の怪我は治療した。
しかし、失った血は戻らない。
ファイブスタートと、サンダーブラックのメンバーが全員復活するまで待つ。
だから暫く時間をおいて調査するから、日程が決まったら連絡を貰う事になり、僕と美鈴さんは天空の城へ戻った。




