ダンジョン調査・Aチーム①
ダンジョンを調査する日になった。
今回、僕達のAチームは、ダンジョン地下10階位迄を調査する。
11階より深い階層を潜る探索者は、ほぼいないらしい。
それから、このダンジョンは、14階迄しか探索者が探索した記録は無いそうだ。
何でも15階に居る魔物が強くて、倒す事が出来なかったらしい。
そして、その探索者パーティーは、県外に出て行ってしまったそうだ。
いま、このダンジョンで活動中の探索者は、県外に出る気が無い人達で、10階前後の階層の魔物を倒している。
その魔物の魔石やドロップアイテムを納品すれば、生活には困らない。
みんな無理はせず、生活に必要な資金分だけ稼ぎ、安全第一に活動している。
だから、週に2~3日だけ探索をして、それ以外の日は、仕事はお休みだそうだ。
まあ、そうかも知れないな。
ダンジョンは危険が付きまとうし、生活する分だけ稼げれば十分だ。
僕もそう思う。
探索者ランクを上げて、有名になりたい人は、もっとランクの高いダンジョンへ移動して行く。
支店長と、そんな話をしながら待っていると、副支店長が率いるBチームがダンジョンゲートを抜けて、ダンジョン地下1階に入って来た。
「遅くなって、すみません」
副支店長が言う。
「カッパ野郎がAチームが良いって、ごねるからだ!」
「そうだぞ!カッパ!お前のせいで遅くなったんだ!皆に詫びろ!」
…どうやら勇者君は、まだ、Bチームに入った事に納得していない様だ。
「遅れて、申し訳ありません!」
勇者君の代わりに梓さんが、お詫びを述べる。
「お嬢さんは悪くない!ちゃんと時間通りに来たからな!」
「悪いのはカッパ野郎だ!Aチームが良いって言って、散々ごねやがって!」
「嫌なら参加しなくて良いんだ!このカッパ野郎が!」
相変わらず、サンダーブラックのメンバー達が、カッパ・カッパと連呼する。
何故?勇者君が、カッパと言われているのだろうか?
「みんな!静かにしろ!正木君…Bチームが嫌なら参加しなくても良いんだぞ!」
「それに、この状況で皆と連携が取れるのか?これから、危険なダンジョンに潜るんだ!分かっているのか?」
支店長が勇者君に問う。
すると勇者君は「…大丈夫です…」チラチラと美鈴さんの方を見ながら答えた。
「よし!それでは出発する!」
支店長の掛け声で歩き出す。
草原の一本道を途中まで進み、Bチームは新しく繋がったダンジョンへ行く為、途中から道を右に逸れて行った。
周りに僕達以外が居なくなる。
「済まないが転移門を開いてくれないか?一気に5階迄行って、そこから下の階層を調べたい。4階迄の階層は、異常が無い事は確認済みだからな」
転移門の事は秘密なので、Bチームのメンバーが居ると開けない。
支店長から言われた美鈴さんが「バッハお願い!」と言う。
するとバッハが「承知しました」
そう言って、転移門を開いた。
★★★★★
バッハが開いた転移門を抜け、僕達は地下5階、6階と順調に調査を進めて行った。
「今のところ、異常は無いみたいだな!」と支店長が嬉しそうに言う。
この調査が終わらないと、探索者達がダンジョンの浅い階層しか潜れない。
浅い階層の魔石では、たいした金額にならない。
探索者達の生活も困るし、支店の成績にも影響する。
僕は地下5階の調査の時、土の上位精霊に会いに行った。
上位精霊から異常は無いと聞き、僕はほっとした。
ヨモギが通訳してくれるから、コミニュケーションも取り易くなって、大助かりだ。
美鈴さんが召喚した黒蜜の背中に乗って、7階層の砂の城にも行ったが、そこも異常は無かった。
そして僕達は、地下8階に到着した。
以前、宝箱を発見した場所が見たいと美鈴さんが言い、支店長の許可が出たので、いま、岩の前にやって来たところだ。
岩を横にスライドすると、地下へ続く通路が現れる。
僕達は通路を進み、広い場所に辿り着く。
前回と同様に、左側から調査する事にする。
風精霊のアネモネが先頭を飛ぶ。
途中にいっぱいある罠には、僕が付けた目印が付いている。
新しい罠は無いみたいだ。
そして僕達は、一番奥に到着した。
円形状で、1段高くなっている場所に乗ると、魔物が召喚されてくるハズだ。
僕は美鈴さんに「火精霊のダリアだけが、まだ、下位精霊だから経験を積ませたいんだけど、良いかな?」と聞く。
美鈴さんは「うん。良いよ!」
そう言って笑う。
僕は「ダリア!お願いね!」
そう言って、1段高くなっている場所に乗る。
すると、光の粒子が集まり出す。
光が収まると、前回と同様に蜂の魔物が“ブン~ブン~”羽音を立てながら空中でホバリングしていた。
数は…11体。
前回より増えてないか?
僕がそう思っていると、蜂の魔物目掛けて炎が飛ぶ。
そして炎が渦状になって、蜂の魔物をぐるりと囲む。
炎が収まると、地面に蜂蜜の瓶が6本と、魔石が5個落ちていた。
「ダリア!ありがとう!」
僕がお礼を言うと、ダリアが嬉しそうに、くるくると回りながら空を飛ぶ。
アンバーが土魔法で、蜂蜜と魔石をバッハの近くに運び、バッハが収納する。
蜂の魔物が居なくなると、再び光の粒子が集まり出す。
すると、その場所に宝箱が現れた。
美鈴さんが「わーい!宝箱だ!」
嬉しそうに言った。
「アネモネ!罠は無いか?」
僕が聞くと、アネモネが“うんうん”と頷く。
「美鈴さん!罠は無いから、開けても平気だよ!」
僕が言うと、美鈴さんが宝箱を見つめながら「分かった!」と言った。
美鈴さんが宝箱に近く。
そして宝箱を開けて、中身を取り出す。
宝箱の中から出て来たのは、獣魔の卵だった。
「見て!拓哉さん!獣魔の卵だよ!」
美鈴さんは、凄く嬉しそうだ!
美鈴さんの笑顔を見て、僕も嬉しくなった。
卵を回収した僕達は、通路の広くなった場所へ戻った。




