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闇空  作者: 闇の使徒インフェルノカイザー
第零章 ~明かされる真実~
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悲劇への引き金

ボゴォォォン!!!


謁見の間を硬く閉ざす厳かな扉が轟音と共に弾け飛ぶ。

闇に飲まれた豪華絢爛な扉は無残にもバラバラになり、構成する木材、貴金属は廃材と化す。

この扉一つで中流家庭が住まう一軒家のローンを完済できる程度には高価な扉だが今はそんな事を気にしている場合ではない。

暗黒の爆炎を突っ切ったインフェルノカイザーは室内へ飛び込むようにエントリーした。


「インフィー!?」


謁見の間の中にいたインフェルノカイザーの父ことストリームカイザーは驚いた様子で我が子の愛称を呼ぶ。

そう、無理もない。突如扉が爆散したと思ったら息子が飛び込んできたのだから。そう、無理もない・・・。


「父上!ご無事で・・・」


ドゴォ!!


インフェルノカイザーが父の安否を確認しようとしたその瞬間、首元と背中に衝撃が走った。


「ガッ・・・!アッ!?」


一瞬の間に首根っこを掴まれ、壁に叩きつけられたインフェルノカイザー。

一体何が起こったか分からない様子で目を開ける。


「な・・・!?タケシ・・・?なん・・・で・・・?」


そう。インフェルノカイザーを壁に押し付けているのはつい先ほどまで行動を共にしていた旅人ことタケシであった。

何が何だか分からないインフェルノカイザーとは対照的にタケシは白い歯を見せ、ニチャっと笑った。


「フフッヒ・・・!これは僥倖だねェ!!?」


タケシは上機嫌でそう言い放つ。

だがその言葉の意味をインフェルノカイザーは理解が出来なかった。


「テメェ・・・その子を離せ・・・!!」


ズッ!!


ビシビシィッ!!!


ストリームカイザーは怒りを押し殺したような声色で言うとタケシをギロリと睨みつけ、静かに闇のオーラを身体に纏う。

深い夜空のような漆黒のオーラは触れるモノ全てを闇に葬らんと言わんばかりに迸り、その圧倒的な圧力プレッシャーはストリームカイザーを中心に部屋全体に亀裂を生じさせた。


「おっほ♪怖ェ~!!でもストリームカイザーの旦那ァ?下手な事しない方が身の為だぜ~~?」


対照的にタケシはふざけた様な態度と口調でストリームカイザーをなだめる。

しかし、その口調とは裏腹にインフェルノカイザーを押し付ける右腕はガッチリと固定されていた。


「タケシ・・・!なんで・・・!?」


そんなタケシに対し、インフェルノカイザーは言葉をひねり出し、訊く。


「あ、まだ理解してない感じかw」


タケシはインフェルノカイザーを冷たく冷笑し、続ける。


「残念でした!君、騙されちゃったの!」


タケシは目を見開くと嘲笑うかのように大声で言い放つ。

だがインフェルノカイザーはその言葉の意味を理解できなかった。いや、理解を拒んでいた・・・。


「な・・・に言ってんだよ・・・。騙すって・・・謁見は・・・」


「頭悪いなー君!謁見なんて始めっからウソだよ。オレっちが良い感じに宮殿の懐に忍び込む為のネ・・・」


「え・・・」


「この際だしネタバラシしてやんよ。オレっちの目的はねェ・・・最高戦力と目されるストリームカイザーのオッサンの足止めor殺害する事だったんよ」


目を泳がせ、酷く動揺するインフェルノカイザーに対し、タケシはご丁寧に解説を始めた。


「とは言え、ヘル・イン・ザ・ダークネス中枢宮殿に従事する大魔王様(笑)に直接会うなんて大変じゃん?って事でとある不穏分子にウソの情報を流したんよ。ソイツが闇の勢力とコンタクトを取る事を期待してねェ・・・」


「なるほどな。それが”シャイン”なる人物か。それに応じた俺はまんまとお前に一杯食わされたって事か・・・」


ストリームカイザーはタケシが語る言の葉と今の状況を整理し、そう理解する。

しかし理解した所で解決するワケではない。今の状況的に下手に動けないのもまた事実なのだ。


「ソイツは予想通り動いてくれたよ。あとはオレっちが身分偽ってソイツになり替わる事で無事忍び込めたってワケ。まぁこの子が馬鹿みたいに案内してくれたから想像よりスムーズだったわ!サンキュー!!」


「そんな・・・」


インフェルノカイザーは信じられないといった表情で力なく呟く。

だがタケシは畳み掛けるように続ける。


「ほんで、君が慌てた様子でここまで来たって事は幹部の皆さんの襲撃作戦も開始されたって事やね~」


「襲撃作戦だと・・・?」


襲撃作戦。その単語に対しストリームカイザーは目の色を変え、口を開いた。


「そうそう!光の連邦軍の十二幹部ゾディアックの皆さんによる大規模な襲撃作戦だヨ!オレっちはそれを成功させるためにアンタをこうやって足止めしてるのサ!」


「・・・随分と勝手な事してるようだな?こんな事をして・・・タダで済むとでも思っているのか?」


軽口を叩くタケシにストリームカイザーは真剣な表情で問いかける。


「さぁ?襲撃作戦についてはオレっちの管轄外だからぶっちゃけどうでもいいんだよねー。オレっちにとって利用価値があったから協力しただけ。あとの事は幹部の皆さんが頑張る事なんで!」


「随分と他人事だな?その割にもっとも危険な役を買って出たみたいだが・・・まさかお前、このまま無事で帰れるとでも思ってるのか?」


ストリームカイザーは睨みを利かせ冷徹に言う。

戦闘の際に着用する装備でもなく、武器も持っていない状態だがそれでもストリームカイザーは負ける気はしていなかった。

最近は宮殿内の仕事ばかりの為、大戦を終結させた頃の全盛期よりは衰えたかもしれないが今だその力は健在なのだ。


「たはは・・・実際対峙してみて分かったけど、さすがのオレっちでも大魔王様とやり合うのはきちーねェ・・・」


「だったらどうする?黙って降参でもするか?よもや黙って捕まる訳ではあるまい?」


「インフェルノカイザー君が乱入してきたせいでその件言いそびれてたねェ!オレっちがこの役を買って出た理由の一つとしてアンタが持ってる剣が欲しいんだよナー」


「剣だぁ?」


予想外の答えに思わずストリームカイザーは訝しんだ。

剣の為に敵地のド真ん中に乗り込んできたなどおふざけが過ぎた答えだ。


「とぼけちゃって~。”メテオナイトストーン”で作られた剣を持ってるやろ~?あれもともとオレっちのだから返してよね!」


だがタケシは食い下がるように言う。


(剣・・・?何言ってんだコイツ・・・。そんな物の為にこんな事したってのか・・・?)


黙って聞いていたインフェルノカイザーは沸々と怒りを募らせる。

タケシや光の連邦軍が行った行為はとても許せるものではない。

そしてその理由が剣が欲しいというバカげた理由だ。インフェルノカイザーの怒りも至極当然だろう。


「・・・お前の言う剣など知らんな。何かの勘違いじゃないのか?」


「ハァ・・・返す気はないってコトですかい。じゃあ力づくで・・・」


「調子に乗ってんじゃねぇぞ!!」


ゴォッ!!


ストリームカイザーとタケシの会話に怒号と共に割り込むインフェルノカイザー。

そして身体に闇のオーラを纏わせ、周囲に解き放った!!


「うお!ビックリした~!」


思わすインフェルノカイザーを離してしまったタケシは笑いながら言う。

が、この様子からしてビックリしたなど微塵も思ってもないのだろう。


「イ、インフィー!無事か!?」


タケシの手から逃れたインフェルノカイザーは父の左隣へ並び立つ。

インフェルノカイザーの攻撃は目くらまし程度にしかなっていないが拘束から逃れるには十分だった。


「父上!不覚を取りました。申し訳ありません!ここからは俺も戦います!」


戦闘態勢と取るインフェルノカイザーはストリームカイザーに豪語する。

だがストリームカイザーは首を横に振ると口を開く。


「いや、インフィー。お前は撤退しろ」


「え!?」


ストリームカイザーは冷静に指示を出す。

だがインフェルノカイザーは納得がいかない様子で食い下がる。


「待ってください!俺だってコイツにムカついてるんです!一発ぶん殴ってやんないと気が済まないんですよ!!」


「お前の気持ちは分かる。だがな、敵の力量を見定める事も重要だぞ」


イキり立つインフェルノカイザーを宥める様にストリームカイザーは言う。

ストリームカイザーはタケシが只物ではないという事を本能的に理解していた。

そんなヤツとの戦いに息子を巻き込みたくないという心情は至極当然だろう。

しかし、インフェルノカイザーはこの状況で逃げる訳にはいかなかった。

いや・・・逃げたくなかったと言うべきだろうか・・・。


「父上・・・!俺がどれだけ成長したかこの戦いで———」


インフェルノカイザーがそう言いかけた瞬間の事だった。

刹那的に鋭利な竹がインフェルノカイザーの足元から飛び出し、その身を貫かんとしていた。


「ッ!!インフィー!!!」


ドガッ!!


瞬時にそれに気づいたストリームカイザーは怒号と共にインフェルノカイザーを押し飛ばした。


「ガッ・・・うっ!?」


壁に激突したインフェルノカイザーは呻き声を出しながら顔を上げる。

だがその眼前には信じられない光景が広がっていた。


「・・・え・・・?」


腹部を竹に貫かれ、夥しいほどの血液にまみれたストリームカイザーがそこに居た。

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