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闇空  作者: 闇の使徒インフェルノカイザー
第十七章 ~聳え立つ巨塔。解き放たれるは救済か破滅か~
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ポラリス・レクイエム

「貴様の野望は・・・”ここ”で終わる!!」


ポラリスはタケシに対しそう言い放つと意識を一点に集中する。


(我が身に刻まれし闇の因子よ・・・力を貸せ・・・!!!)


ゴゥッ!!!


「うぇ!?」


その瞬間、ポラリスの左腕に刻まれた古傷が裂け、闇のオーラが解き放たれる。

闇のオーラは瞬く間にポラリスとタケシの二人を包み込んでしまった。

これには糸目のタケシも思わず目を開眼させ取り乱す。だがそれ以上に驚いてた者達が居た。


「何だと!?なんでアイツが・・・闇のオーラを!?!?!???」


二重のダーク・ウルフは目を丸くして動揺する。

そう、無理もない。ポラリスは光の世界に属する者であり、調和の要の一族の者。

光のオーラや治癒力のオーラはまだ分かるが闇のオーラを使役するなどあり得ないのだ。そう、無理もない・・・。


「まさかあの方も闇の力を・・・」


「違う」


シャイニングカイザーが驚きながらも何か言おうとした所にインフェルノカイザーが食い気味に否定する。


「あれは・・・ファドが残した闇のオーラだ・・・!!」


ファド・・・かつて闇の世界、ヘル・イン・ザ・ダークネスの四天王的な集団「四蜃ヨンシン」に属していた強者。

だがファドはこの戦いが始まるより以前にポラリスと戦い、その中で命を落とした。

しかしその際、ファドは死ぬ間際に闇の因子をポラリスに刻んでいた。そして先のインフェルノカイザーとの戦いにて時間差で発現した。

そのおかげでインフェルノカイザーはギリギリポラリスに勝利する事が出来たのだが今度はポラリスが闇のオーラを使役しているではないか。


《その覚悟・・・しかと見届けた!》


ポラリスの脳内に響く声。それはファドが因子と同時に刻み込んだファドの思念体の声だ。

かつて敵対した二人が互いを認め、ファドはポラリスの呼び声に応えたのだ。熱い展開だぜ。


「死にぞこないのジジイがよォ~!ウゼェんだよォ!!!」


一方でタケシはイラ立ちを露にすると、ポラリスを葬らんとネイチャーオーラを発動しようとする。


「・・・オーラが練れん!?」


「無駄だ。この闇のオーラに侵されたものはオーラの発動を阻害される。諦めろ・・・!」


「・・・ハッ!それがどうしたん?だとしてもオレっちにはコレがありますからァ!!!」


オーラの使用を御されたタケシだったが左手に持っていた竹刀バンブー・セイバーは健在であった。

切っ先を翻すとポラリスの胸部に鋭く突きつけた。


バブスゥッ!!


鈍い刺突音と共にポラリスを貫く凶刃。血しぶきが飛び、ポラリスの呼吸が一瞬乱れる。

治癒のオーラを扱えるポラリスと言えど度重なる回復で大きく弱体化している。

このままでは長くは持たないだろう。だがポラリスは離さないどころかニヤりと笑った。


「無駄だタケシ・・・。貴様の邪悪なる野望は我が命を使い切ってでも阻止する・・・!」


「あァ・・・?」


「・・・インフェルノカイザー!!」


バッ!


刹那、ポラリスはインフェルノカイザーの名を呼ぶと右手に握っていた指輪を投げ渡した。

その瞬間、稼働が停止していた星の核は再度活性化し、先ほどまでと変わらぬ輝きを放ち始めた。


「これより君達をこの塔の外へワープさせる!そしてこの塔ごと・・・タケシを封印する!!」


「えぇ!?」


ポラリスが唐突に言い放ったその言葉にインフェルノカイザー達一同は仰天する。

そして驚いたのも束の間、インフェルノカイザーの足元に白色の魔法陣が展開した。

それはインフェルノカイザーだけでなくダーク・ウルフやシャイニングカイザーやエルリークやアージョの足元にも同じように発現していた。


「ポ、ポラリス!お前・・・!!」


ポラリスが行おうとしている事を察したインフェルノカイザーは思わずその名を呼ぶ。

同時にポラリスは理解していた。自身の命は長くないという事を。

インフェルノカイザーとの闘いで限界を超えた治癒能力の酷使は老化という形でポラリスの身に降りかかった。

今もなおポラリスの身体の老化現象は進んでいる。体が動かなくなる前にタケシに引導を渡すには今しかない。

そしてタケシを倒すという事は”調和の要”の一族であるポラリスの使命であった。


”近い未来、外界より破壊を齎す存在顕現す。選ばれし者、世界にバランスを齎さん”


一族に代々伝えられてきたこの予言を成す為ポラリスは今まで尽力してきた。

タケシが”破壊を齎す存在”である事はこれまでの事象からして確定的に明らか。

であれば、その命を以てタケシを打倒することに迷いなど皆無。

同時にそれこそがポラリスが今まで犯してきた業に対しての贖罪であった。


「オイオイ!まさかオレっちと刺し違えるつもりかい?そんなよぼよぼの体で何ができるってんだYO!?」


「良い事を教えてやろう。この塔が創られた真の意味を貴様は知っているか?」


「あ?」


ポラリスは不敵に笑うとタケシに語り掛ける。


「調和の要の遠い祖先がこの塔を作り、星の核この場所に封印した・・・。だが同時に、星の核を狙う者に対する処置も施されていたのだよ・・・!」


「は?何を言って・・・」


「調和の要の権能を行使する事でこの塔は地中深くに沈み、脱出不可能の牢獄と化す!星の核を狙う者を封じ込めるためのな・・・!!」


ここに来てポラリスは新たなる事実を開示した。

それは・・・タケシに対抗する最後の手段でありポラリスの切り札。

この作戦にポラリスは文字通り全てを賭けていた。


「貴様と刺し違える気など毛頭無い・・・!貴様は朽ち果てるまでこの塔で一生悔い続けるのだな・・・」


「・・・んだと・・・!?」


タケシは今までの余裕の表情が嘘のように顔を引きつらせた。

ポラリスが何をしてこようと負ける事は無いと確信していた。

だがこの空間に封印されるとなると話は別だ。なぜならタケシはこの塔に干渉できる能力チカラは持っていないからだ。

たとえ星の核を吸収して完全体に成れたとしても星の核が保管されていたこの空間から脱出できるかは分からない。

正にタケシはポラリスの罠にまんまと引っかかってしまっていたのだ。


「こ、この塔を地中へ封印するだって!?」


ここまで黙って見ていたダーク・ウルフはスケールのデカさに思わず仰天する。


「ですが封印と言う策は現時点において一番良い選択かもしれません・・・。封印に成功すればこれ以上の被害が広がる事も無いでしょう」


シャイニングカイザーはその手があったかと言わんばかりにポラリスの作戦を肯定する。

無法な戦闘能力を誇るタケシを本気で仕留めようとした場合、その被害は世界に及ぶかもしれない。

光の領域と闇の領域の大戦争が終結したばかりだと言うのにタケシが完全に復活してしまえば新たなる災いが人々の身に降りかかるのは火を見るよりも明らかだ。

だが完全復活する前のタケシをここで封印することが出来ればその憂いは無くなり、世界の再生は成就されるだろう。


「だが・・・そうなるとポラリスは・・・!」


一方でインフェルノカイザーは気づいていた。

塔の封印には”調和の要”一族であるポラリスがこの塔に残る必要があると。

その証拠にポラリスの足元には脱出のための魔法陣が展開していなかった。


「インフェルノカイザーよ・・・この命に新たな意味を与えてくれた事、深く感謝する。君と共に新たなる世界の形を見届けられないのは残念だが・・・これからは君達の時代だ!生きる為に・・・戦え!!」


ポラリスはインフェルノカイザーに感謝の言葉を述べると同時に未来を託す。


「未来への水先案内人は・・・このポラリス・アルタ=イルが引き受けた・・・!!」


「ちょ!ちょっとポラリスのダンナァ!!一旦話し合おう!勝手に終わらせようとすんなって!」


1年以上続くこの章を締めに掛かるポラリスに対し、タケシは焦りながらもいつもの軽いノリで静止する。

だが当然、そのような事を聞き入れられるワケが無かった。


「ポ、ポラリス!!お前はまだ――!」


インフェルノカイザーは思わず手を伸ばす。

だがその瞬間、インフェルノカイザー達の足元の魔法陣が輝きを放つ。

即ち、ワープする準備が整ったという事を意味していた。

同時に、塔が軋むような鈍い音と同時に空間が小刻みに震え始める。

ポラリスが言うこの塔を地中深くに封印する際の余震と言った所だろう・・・。


「これは・・・死ではない!人類が生きる為の・・・!!」


「・・・っざけんなや!!ドブカスがぁぁぁあぁああ!!!!」


カッ!!


やがてインフェルノカイザー達の身体は光に包まれ、視界が白に染まる。

周囲の揺れは一段と強くなり、轟音と共にダークネス・ダーク・タワーの崩壊が始まる。

光に溶けて行く意識の中、インフェルノカイザー達の耳に残ったのはタケシの憤怒の叫びであった。

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