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闇空  作者: 闇の使徒インフェルノカイザー
第十七章 ~聳え立つ巨塔。解き放たれるは救済か破滅か~
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勝利の方程式

「タケシを倒す作戦を説明するぜ・・・」


ダーク・ウルフは小声でエルリークとアージョに自身の作戦を伝える。


「アージョ、アンタはその傷じゃまともに動けないだろう?よって、アンタは援護だ」


「不服だが仕方ない・・・。で、何をすればいい?」


先のタケシのカウンターで体中に無数の切り傷を負ったアージョはダーク・ウルフの指示に素直に従う。

それに対しダーク・ウルフは作戦の説明を続ける。


「タケシの姿が見えなくなったタイミングで青色のオーラを使って奴の居場所を見破ってくれ」


アージョが会得している青色のオーラこと”洞察力のオーラ”・・・。

これを発動すればアージョの感覚がいい感じに強化されるという物だ。

ダーク・ウルフはこのオーラであれば姿が見えなくなったタケシを見破れるのではないかと踏んでいた。


「分かった・・・が、俺だけ見えても意味なくね?アンタ達にも居場所教えるったってなァ・・・」


「問題ない。これを使ってくれ」


そう言うとダーク・ウルフはアージョにピンポン玉サイズのボールを手渡した。


「これはペイントボールだ。セーフティを外した状態で衝撃が加わると炸裂して周囲にペイント液を見き散らす」


「あーコンビニのカウンターの奥に置いてあるアレな。でも透明になったら当たらなくね?」


「そうとは限らない。これは俺の予想だが・・・タケシは透明になってるワケじゃなくて周囲に風景に姿を溶け込ませる能力チカラを持ってるんだ。だから俺達からすればまるで消えたみたいに見えてたワケだ」


ダーク・ウルフは自身の考察を下にタケシの能力について持論を展開する。


「で、実体が存在するのならその上から見えるようにしてやればいい。そこでペイントボールの出番ってワケだ!液体が付着すればいくら姿を消せてもそこに居る事は分かるからな」


「なるほど!お前頭いいな!」


ダーク・ウルフの説明にバカのアージョは能天気に返す。


「でもよォウルフ。透明化を見破れてもタケシの野郎にはあのクソ硬い綿があるぜェ?あれはどうするんや?」


と、そこに黙って聞いていたエルリークが異議ありと言わんばかりに割り込んできた。

だがダーク・ウルフはニヤリと口角を上げ、エルリークの質問に答える。


「アイツの綿の防御はたしかに難攻不落だ。殆どの攻撃を無力化するだろうな。だがアージョがやったように貫通力が高い攻撃は防げない。だからこそタケシは姿を消してまで回避したんだろう」


「あ、そっか~!」


「そして、強烈な風圧効果に対しても耐性が低いみてぇだ。体全体を包む綿の要塞は無理かもしれねぇが正面に展開するタイプの綿の盾ならエルリークのくしゃみみてぇな技で吹っ飛ばせただろ?」


「”ドラゴニック・ブロア”な。だがまぁ納得したぜ。お前頭いいな!」


ダーク・ウルフの説明に満足したハゲのエルリークはそう返した。


「それらを踏まえた上で、タケシを倒す流れは次の通りだ」


①タケシを透明化させる

②アージョが透明になったタケシを見破り、ペイントボールでマーキングする。

③捕捉出来た所に攻撃を叩き込む


「タケシは俺達に対し舐めた態度で遊んでやがる。だがその慢心こそがアイツの弱点であり突破口だ。まずはさっきと同じような状況を作って油断を誘う」


「また綿の要塞で防御させるって事か?」


ダーク・ウルフの説明に対しアージョがそう訊く。

コクリと頷いたダーク・ウルフは更に続ける。


「そうだ。まずはエルリークの”ドラゴニック・グランド・なんたら”で綿による全方位防御を誘発させる」


「ドラゴニック・グランド・キャニオンな」


「そこに、俺が貫通力の高い技を繰り出し、綿の要塞を貫く。そうなると次に奴が取る行動は姿を消し、俺達を攪乱する事だろう」


「そこで俺の出番だな?」


アージョはドヤ顔で言う。


「ああ。アージョがタケシを見つけて、マーキングする。奴は油断してるはずだ。そこに一気に畳みかける・・・!」


チャキッ・・・!


ダーク・ウルフはそう言うと腰に下げていた二本のダガーを抜いた。


「エルリークは見たことあるよな?この二本のダガーはお互いにお互いの場所にワープできる。そこで、マーキングされたタケシに対しこのダガーの一本を投げる。簡単に防がれちまうだろうがそれはブラフだ。本命はタケシの近距離に俺とエルリークがワープする事」


「んじゃあその時を見計らってぶちかましてやれって事やな?」


「そうだ。だがまた綿で防がれる事も考えられる。そこでもう一回くしゃみみてぇな技で奴の防御を無力化してくれ」


「了解だぜボス。でもよぉ、その後はどうするんだ?」


「その後は・・・」


そんな回想を一摘みした所で場面は前回のラストシーンに戻る。そう、ここまでは見事ダーク・ウルフの作戦通り。

エルリークの背後より飛び出したダーク・ウルフはそのまま肩を踏み台にすると、さらに跳躍。タケシに奇襲を仕掛けた。


「俺が決めるッ!!」


タケシに向かい、チェックメイトを掛けるダーク・ウルフ。

だがタケシの余裕は依然として崩れず、後方へバックステップで距離を取る。


ガツンッ!


「あん?」


だがその時、タケシの背中に衝撃が走った。

まるで壁にぶつかった様な感覚。だがタケシの立ち位置は壁際では無かった筈だ。

そんな事を思いながらタケシは後方をチラ見する・・・。


「何か岩生えとる!?」


タケシは大げさなリアクションと共にそう叫ぶ。

そう、何もなかったその場所に岩の壁が生えており、タケシの動きを阻害していたのだ。


「精神力のオーラ・・・<岩盤防壁ガンバンボウヘキ>・・・!」


ドンッ!


地面に手を付き、静かに呟く一人の侍・・・!

そう、この岩の壁を生やしたのは何を隠そうアージョだったのだ。

風林火山の山に相当する茶色のオーラを発動させたアージョは強靭な精神力を得ると同時に頑強な防御力を得る。

そして岩でできた盾を召喚する事ができる。アージョはアドリブで岩の壁をタケシの背後に召喚する事でダーク・ウルフをサポートしたのだ!


「アージョ!ナイス!!」


「へぇ、やるネェ!でも10000光年早いんだヨォ!」


追いやられたタケシだったが次の手を用意していた。

ネイチャーオーラを身体に纏い、ワザを発動する。


「リーフカッター!」


その言葉に呼応するように周囲に吹き飛んでいた綿が無数の鋭い葉っぱへと変貌する。

アージョの身をズタズタに引き裂いた葉っぱの刃だ。中を舞う葉っぱは空中にいるダーク・ウルフへ向け飛翔する。

タケシは確かに追い詰められたが対応できると踏んでいた。故にこの一手には自信があった。


「ウルフ!危ねぇー!」


「うるせぇ!」


アージョの静止など聞かず、ダーク・ウルフは止まらない。被弾覚悟でタケシの懐へ飛び込む。

ダーク・ウルフは予見していたのだ。リーフカッターによる反撃を。

だがここまで接近して止まる事など出来ない。この好機を逃せば次は無いだろう。

そうなるとタケシの警戒心は強まり、勝機は限りなく低くなってしまう。

故に、ダーク・ウルフはその身を顧みず、刺し違える覚悟でこの作戦を立案し、遂行したのだった。


パチュン!パチュンッ!!


だが、ダーク・ウルフへ降りかかった葉っぱは高い音と共に弾かれた。

よく見るとダーク・ウルフの体を覆うように膜が張っている。否、これはバリアだ・・・!


「プロテクト・バリアー・・・!」


オーラを纏った右手をかざし、そう呟くのはこの男~!

光の世界のニューウェーブ、シャイニングカイザー!

ここまで後方にて待機を命じられていたシャイニングカイザーはこのタイミングでダーク・ウルフに光のオーラによるバリアを付与した。

これによりタケシのリーフカッターは無力化され、タケシの攻勢を看破したのだ。


「っ・・・!」


その刹那、タケシの表情から笑顔が消え失せた。


「サンキュー!シャイン!!喰らいやがれェ!!」


ギャウッ!!


ダーク・ウルフの身体から黄金色のオーラがまろび出る!


(また力借りるぞダルク・・・!踏み込みと・・・)


黄金のオーラ・・・それはビーストオーラだ。

ビーストオーラは圧縮されながらダーク・ウルフの右腕に収束していく。


(間合いと・・・)


刹那、ダーク・ウルフはタケシの眼前に着地。

そのまま下半身に力を籠め、地を踏みしめると着地隙ゼロで攻撃態勢に入る。

上半身を捻らせ、右腕に集まったビーストオーラは更に圧縮され、右手に集約される。


(気合だ!!)


ポォン!


両目を見開き、左目の”魔眼”が翠色に発光。蒼い残光が闇に走る。

思いっきり地を蹴り、捻らせていた上半身をバネのように開放させ、一瞬にして間合いを詰めた。

そして右腕を突き出し、爪を立てた金色の右手がタケシに迫る!


「ビースト拳!(ロク)ノ型・・・!獄狼(ゴクロウ)ッ!!!!」


ドギャァァアアアアン!!!!


ダーク・ウルフの爪撃がタケシを貫いた!!

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