形而上の地平線
インフェルノカイザー一行はシャドウレイクに向け、霧のかかった草原をただひたすら歩いていた。
「全く、前が全く見えやしねぇ。エルリーク、本当にこの道で正しいのか?」
「さぁなぁ。何しろ闇の湖の周りにはこの死の霧―デス・ミスト―通称デストが覆ってやがる。ブルジョワシティはその中に佇んでいるらしいが正確な位置はマップに記載されてない、つまりまだ把握できてねえんだ」
「そういえばマップにも国境みたいなのが書いてなかったな」
霧は一年中闇の湖を覆う。
此処で迷ったりしたら二度と戻ることはできない…と噂されているほどだ。
そういうことなので普通の人間はこのような場所に踏みいれたりはしない。
「しかし今更戻れる訳でもなし、進むしかなかろう」
「そりゃァそうだけど俺等は光の連邦を倒すっていう使命があるんだ、光を闇に飲ます前に霧に飲まれちゃ元も子もねーんだよ」
「俺達は霧に飲まれる程ヤワじゃない、安心しろダークウルフ」
インフェルノカイザーが反発するウルフを宥める。そう、此処で色々言っても霧は晴れる訳ではないのだ。
この霧は先の見えない冒険のようなものだ。
先の見えない道を進んでいくことによって何か見つかるのかもしれない―そう、エターナルだ。
三人は更に歩を進めると一つの建物に辿りついた。
コンクリート造りの廃墟のような建物だ。
三人は此処で休息をとることにした。
「それにしてもどうしてこのような場所に、建物が…」
「さぁなあ…こんな所に建物を建てるやつなんているとは…変わり者もいたものだな」
「やはり誰もいないみたいだな…ここの家主は、どうしたのかな?」
『死の霧に潜む死神にやられた―』
「!?」
エルリークの後ろで声が聞こえた。
三人は吃驚してやはりバックステップをとった。
『ククク、驚いたか…?』
ボウッ…
なんと透けている気持ちの悪い男性が壁の中から現れた。
「これは…いわゆる…」
『そう幽霊って奴さ。お前等、勝手に人の家に入るんじゃねぇよハゲ』
「好きでハゲになってるんじゃない!」
エルリークが言った。
『全く、こんな所に来るなんて…何があるっていうんだ。此処にあるのは霧、霧、霧じゃねえか。だが、俺は此処に居場所があるかもしれないと思っていた。そう、俺はブルジョワシティから追放されたんだ…仕方なくこの霧で暮らすことにした…そしたら』
シャキ…
突如、刃が床を引きずるような音がエルリークの背後で聞こえる。
『ほうらやって来た…お前等の命を貪りにな…』
そう言って幽霊はまた霧と同化するように消え去った。
(消えた…!?)
「さっきの音は何なん…」
エルリークが後ろを振り返ると、そこにはとんでもない生物のようなものがいた。
「シャアアアアアアッ…」
「うおお!?」
エルリークが驚く。
そこにはなんとエルリークの倍はあるだろうか、それ程の背丈の骸骨が大きな剣を持って立っていたのだ。
そしてもう片手には、通常の人間の骸骨を持っていた。
「なんなんだコイツ!?」
「知らねえよ!逃げろっ!!」
エルリークは巨大な骸骨に背中を向け、猛ダッシュで建物を出ようとした。
しかし
ジャキイイイイイイッ!!
ガラガラァ!1
「チクシャォオ!」
骸骨は剣で出口のある扉の上の天井を剣で突き、天井に穴を開け、瓦礫で出口を塞ぐ。
「なっ…これじゃでられない…!」
「戦うしかねえみたいだな…」
「こんな奴と戦うのか…!?」
「何怖気ついてんだ!こんなんじゃ闇の覇王になれねえぞ!オラァッ」
ダークウルフはパワー全開、凄まじい闇のオーラを繰り出す。
「ダークネス・スプラッシュ!」
ダーくウルフが闇のオーラを水しぶきのように骸骨に放つ。
骸骨は勿論避けられる筈もなく、闇のオーラをまともに受ける。
しかし…
「ガアアアアアッ!!」
ドゴオオオオオオッ
「うおっ!」
骸骨はそれをものともせず、ダークウルフにカウンター、その大きな剣を素早く一振りする。
ダークウルフは間一髪それをよけた。
「こいつ…闇のオーラが効かないのか?」
「なんだと…!?」
「それじゃあ、こいつはどうだ。ドラゴン拳、月光に佇む竜の炎風味の拳!!」
キラアアアアアアアリインッ!!
シュバシュバシュバ…
「胴ッ!!!!」
ドボボオオオオオオオオオオオ
エルリークが骸骨の胴に炎の拳を突きそうとした。
しかし…
スカァ…
「えええ!?」
なんとエルリークの拳は骸骨をすり抜けたのだ。
「物理技が効かない!?」
「こいつも幽霊ってことか?くそ!実態がつかめない…」
エルリークはすり抜けるとは思わずに、着地の態勢を崩す。
そこを見逃さず骸骨が大きな剣を振るった。
「エルリイイイイク!!!」
(くそ…!)




