十二幹部の力
凄まじい光がエルリークを襲った。
その光は距離を置いていたインフェルノカイザー、ダークウルフまでも怯むほどの力であった。
「…エ、エルリーク!!」
そこにはボロ雑巾のようにされた一人のハゲ、そうエルリークが転がっていた。
幸い息はあるようだが瀕死状態にまで陥っているのが遠目でもわかった。
【この私に傷を付けたのは貴様で"二人"目だ。褒めてやろう】
クリスチャンはエルリークの頭を鷲掴み、持ち上げる。
【さて、まずは一人目だ】
そう言うとエルリークを先ほどの雑貨屋へと放り投げた。エルリークの身体はボドボドダァ!
「てめぇ…!!」
「落ち着け、カイザー」
怒るインフェルノカイザーをダークウルフが宥める様に静止した。
「どけ!ウルフ!!あいつは俺が倒す!!!」
「分かったから!少し待てよ」
「闇の瞑想!!」
その瞬間、ダークウルフがインフェルノカイザーを回復させる。
突然の事でインフェルノカイザーも戸惑う。
「いきなりどうしたんだ?」
「今の俺じゃあいつには敵わねぇ。だから、俺の中の9割以上の力をお前に託す!俺とエルリ-クの分、存分に暴れて来い!」
「ウルフ…!」
【友達への遺言は済んだか?】
水を挿すかのようにクリスチャンが割り込む。
【もっとも、その友達もここで死ぬのだがな…】
「へっ!俺は死なねぇし死なせやしねぇ。ここで終わるのはテメェの方だクリスチャン!」
ウルフの力によりほぼ全快したインフェルノカイザーからはち切れんばかりのオーラが放出される。
「ウルフ、エルリークを頼んだ」
「ああ」
ウルフは距離をバックステッパで取り、戦線を離脱。もはや一対一のガチタイマンとなった。
今、ここにインフェルノカイザーとクリスチャン・ディオールの最終決戦が幕を開けようとしていた。
「行くぞ!!覚醒-バーストォ-!!!」
【全てを終わらせてやろう…!!】
「ッハァァッ!!」
インフェルノカイザーは闇のオーラを推進力に変え、ジェット噴射の勢いでクリスチャンに突っ込む。
その速さ―マッハ。マッハのインフェルノカイザーである。しかし、彼等の戦いにマッハ等"少し速い"程度である。
クリスチャンは素早く左手にオーラを溜め、それによりただでさえ重厚なオーラが更にその一点、重厚になる。
インフェルノカイザーは唸る右手のオーラを素早く振りかざす。
ギイイイイイイインッ!!
カイザーのガントレット、そしてクリスチャンの左手のオーラが激突する。
響くのはオーラを削るかのような、重々しい音。だが、クリスチャンのオーラ量はやはり凄まじいものであった。重厚に重厚を重ねたコットンガード二回分並のその防御力は、カイザーのガントレットでさえも受け止める。
カイザーの右手に衝撃が走る。しかし、カイザーは今度は左手でクリスチャンの肩に拳を突き出そうとする。
【無駄だ】
クリスチャンはガントレットを受け止めた左手を肩に持っていき、左肘でそれを受け止める。
カイザーはバックステップで距離をとる。
クリスチャンはその隙を見て、槍を空間から引きずりだし、クルリ、と回さずそのまま構えた。回す暇が無い、と察知したのかもしれない。
【旋風を巻き起こす突き】
クリスチャンがその柱のような槍でインフェルノカイザーに突きを繰り出す。
カイザーは素早く地に身体を屈め、それを避ける。が、直後凄まじい程の強風がインフェルノカイザーを襲った。
「ックッ……」
カイザーは耐えきれず、吹き飛ばされる。するとクリスチャンの周辺の空間から槍がズズズ…と重音を立て出てくる。
クリスチャンが手を上げると、それは一気に投降される。そして一直線に向かう先は、吹っ飛ばされたカイザーである。
「ヤバイッ…」
カイザーはなんとか体の態勢を整えようと試みる。今、ダークグラビティを使用した所で静止した瞬間、槍が飛んでくる。
しかし、身体は思う様に動かなかった。柱の様な槍がどんどん距離をつめていく。
【これで終わりだ…】
勝利を確信したクリスチャンは、槍をクルリと回した。
ドオオオオオオオンッ!!
クリスチャンの遥か遠方で、爆発が起きたような砂煙が上がった。




