一瞬の油断
【さて、二人目を始末した所で…後はお前だけだ。仲間に力を託した用だったが…無駄に終わったようだな】
クリスチャンはダークウルフの方に向き直し、槍を右手に持ち、ゆっくりと近づいてくる。
ダークウルフは9割もの闇のオーラをインフェルノカイザーに託しているため、勝ち目は全く無かった。
「インフェルノカイザー…」
【クックッ…仲間を想った結果がこのザマだ。そのような幻想だけでは勝つ事はできない。いくらチームプレイをしたとて、絶対的強者には成す術が無いのだ】
「…違う。お前等は間違ってる…」
【何を間違っているというのだ?負け犬の遠吠えか…。やはり、闇というものは愚か。今此処で死ぬが良い】
クリスチャンが両手に槍を持ち、ダークウルフに向け突きを放とうとしたその瞬間。
ドオオオオオオオオオオンッ!!!!
凄まじい轟音―
ダークウルフは閉じていた瞳を微かに開く。
クリスチャンは突きを繰り出していた。槍の矛先は自身の目の前で止まっている。
そして、ダークウルフはクリスチャンの肩に、インフェルノカイザーの右腕があった。
凄まじい闇のオーラは、エルリークが傷をつけた肩、そこに入り込む。光のオーラは闇のオーラに取りこまれ、内部から破壊されていく。
パリイイイイイイイインッ!!!1
クリスチャンは闇のオーラに取りこまれ、闇に飲まれてゆく。彼…いや彼等の凄まじい程の光のオーラは全て闇に飲まれ、身体は黒色に変化していく。
【き…貴様ァァァアァ!!何故…何故ェエエエエエエエェッ!!!】
「油断したなクリスチャン…。二本の槍を投げた時に確信したんだろう?」
【許さん…グンニグ…】
クリスチャンが手を翳し、空間から槍を取りだそうとする。が、勿論槍は出てくるはずもない。
黒色に変化した身体は全てを蝕む。光は闇を拒絶し…闇はその拒絶する身体ごと飲みこんだ。ヤミノマである…。
ピシイッ…。
スゥ…
【カイザ、ァ…】
クリスチャンの身体が一瞬光ったその瞬間、クリスチャンは右腕を翳したまま、石造のように固くなり、動かなくなった。
「…やった…のか?」
ダークウルフは何が起こっているのか理解できなかったが、勝利した、という事は分かった。
「ああ…ダークウルフの闇のオーラが無きゃ負けてたよ」
インフェルノカイザーは闇の微笑を見せた。
ダークウルフもそれを見て、ようやく少し安心した。




