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魔王エターナル 〜世界のバグを片付ける免疫系に転生したので、戦わずに優雅にお掃除いたします〜 第一部  作者: マスター


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20/24

第20話:神罰の光、魔王の調律

世界のエネルギーを一方通行で搾取し、地下にドロドロとした負債(エネルギーのゴミ)を溜め込んでいた世界教会の地下最深部。ついにその歪みの本丸を目の当たりにしたマリは、世界の免疫系たる「魔王エターナル」を降臨させました。


第24話の第1部大団円・第2部移行に向けて、ここから物語のカタルシスは頂点へと向かいます!

今回は、無駄な小難しい理屈は抜きにして、傲慢な教会の最高戦力と、それを一瞬で「お片付け」する魔王エターナルの圧倒的な無双劇、そして地下に溜まった汚染を一掃する新しい循環システムのイノベーションを、大迫力の描写でお届けします。どうぞお楽しみください!

「ひっ、ひぃぃ……! な、何だ、その禍々しい姿は……!?」


松明の赤い光に照らされた地下空洞で、聖堂騎士の隊長がガチガチと歯を鳴らしながら、持っていた剣をあやうく落としそうになっていた。

彼らが捕らえようとしたのは、ライトグレーのパーカーを着た、どこにでもいるうだつの上がらない少女だったはずだ。しかし今、目の前に立っているのは、光さえも吸い込むような漆黒の法衣を纏い、髪の隙間から燃えるような深紅の瞳を覗かせる絶対の存在。


「曲者などという、ちっぽけなノイズではありません」


魔王エターナルは、氷細工のように整った唇の端をわずかに吊り上げ、くすりと冷ややかに笑った。


「お片付けの時間です。溜まりに溜まったゴミを放置し、世界を窒息させようとする哀れな害虫たち。あなた方のシステムは、ここで強制シャットダウン(お掃除)いたします」


「お、おのれ、はったりを! 世界教会の最高戦力たる我らが、そのような邪悪に屈すると思うか! 者ども、出会え! 聖なる光でこの魔物を焼き尽くせ!」


隊長の金切り声のような叫びに応じ、暗闇からさらに数十人の重装騎士と、白い法衣を着た高位の魔導神官たちが続々と姿を現した。彼らは一斉に魔導杖を突き出し、教会の「完璧な知識」として受け継がれてきた最大級の攻撃魔導――『神罰の極光(グランド・クロス)』の詠唱を始める。


「神よ、不浄なる闇を滅ぼす光を与え給え――!」


地下空洞全体が、直視できないほどの真っ白な光に包まれた。地表の魔力を無理やり集めた、過剰なまでの超高エネルギーの濁流。それは太い光の柱となって、まっすぐに魔王エターナルへと殺到する。


背後で見守るぽんぽぽが「きゅーーーっ!」と恐怖で目を回し、スマホの画面に映るミニの緑色の波形が激しく明滅した。しかし、魔王エターナルの美しい顔(かんばせ)には、退屈そうな退廃の笑みすら浮かんでいた。


「光を放てば闇が消えるというのも、単調な二元論(バグ)の思い込みですね。光もまた、行き場を失えばただの熱害に過ぎません」


エターナルは、迫り来る極光の大濁流に対し、一歩も退くことなく、ただ白く細い片手をそっと前にかざした。


ドグォォォォン!!!


空洞を揺るがす大爆発音が響き渡り、白い光の粒子が吹き荒れる。騎士たちは「やったか!」と歓声を上げようとした。しかし、煙が晴れた先にあった光景に、彼らは絶望することになる。


極光の奔流は、エターナルの手のひらの手前、わずか数センチメートルの空間でピタリと停止していた。それどころか、破壊の光は、エターナルの指先から生み出された小さな「闇の渦」に吸い込まれ、ゴトゴトと不気味な音を立てて圧縮されているではないか。


「な、何だと……!? 我らの最大魔導が、片手で受け止められた……!?」


「お返しします。もっとも、あなた方の古い規格では、受け止めきれないでしょうが」


エターナルが指先を軽く弾いた。

次の瞬間、吸収された『神罰の極光』は、エターナルの超魔力によって分子配列をすべて最適化され、今度は美しい「新緑の輝き」となって逆流した。


ドッ!!!


優しく、しかし抗いようのない圧倒的な衝撃波が騎士たちを襲う。彼らの鎧や盾、魔導杖に刻まれていた古い防護回路が一瞬で破裂し、騎士たち全員が枯葉のようにふき飛ばされて壁に激突した。一人として立ち上がれる者はいない。文字通り、一瞬での「お片付け」だった。


「さて。本番はここからですね」


エターナルは、うめき声を上げる騎士たちに目もくれず、中央で黒い泥(魔力タール)を吐き出しながら暴走を続ける「魔力収束炉」へと向き直った。


ドロドロと泡立つ黒い液は、地下の生態系を殺し、いずれは中央世界の土壌を完全に死滅させるほどの毒素を放っている。この一方通行の搾取と蓄積こそが、世界を崩壊させる最大のバグ。


『マスター、収束炉の排熱データ、および各地の地脈ネットワークの最適パスを算出しました』

スマホの画面から、ミニの凛とした、しかしどこか誇らしげな声が響く。


『グラナードで構築した【大地熱対流バイパス】、そしてスカイハーツで構築した【風気還流(スパイラル・ループ)】。これらすべてのシステムを、この中央世界の核へと直接リンクさせます。もらうだけだったこの心臓部を、世界へエネルギーを「送り返す」逆対流ポンプへと作り変えるのです!』


「いいアイデアですね、ミニ。循環を取り戻すことこそが、持続の唯一の骨組みです」


魔王エターナルが両手を天へと掲げた。

彼女の体から、それ自体が世界の骨格を震わせるほどの、果てしない超魔力がエメラルドグリーンの粒子となって吹き荒れる。


「世界を縛る停滞を切り開き、淀んだ熱を四方へと還流せよ。――【万象還流・生命律動(オーシャン・ブリージング・システム)】」


エターナルの紡いだ絶対の言霊とともに、地下空間に異変が起きた。

彼女の足元から、眩いばかりのエメラルドグリーンの光の「波紋」が地を這い、汚染されていた魔力タールを次々と浄化していく。黒い泥は一瞬で澄み切ったマナの水へと変わり、地下の古いパイプラインを逆流し始めた。


ゴォォォォォ――ッ!!!


空洞全体に、まるで巨大なクジラが深海で息を吐き出すかのような、美しくも壮大な「大地の呼吸音」が鳴り響いた。


一方通行でエネルギーを溜め込むだけだった最悪の収束炉は、エターナルの調律によって、世界全体へ酸素と栄養、そして安定した熱源を絶え間なく循環させる「生命の心臓」へと、完璧に再設計されたのだ。


「……ふぅ。お部屋のお掃除(世界の最適化)は、これで終わりですね」


完璧なお片付けを終えた魔王エターナルは、満足そうにふっと微笑むと、その麗しい姿を光の粒子へと変え――。


「……あいたたた! やっぱりお尻が痛いよぉ!」


次の瞬間、床にぺたんと座り込み、お尻を押さえている元のライトグレーのパーカー姿の女子高生マリに戻っていた。

慌ててパーカーのポケットをまさぐるが、そこに入っているのは、いつもと変わらない薄汚れた「手持ち八百五十円」だけである。


「きゅ、きゅーーーっ!!」

ぽんぽぽが、待ってましたとばかりにマリの胸元に飛び込み、その頬をペロペロと舐めてマリを安心させる。


「あはは、ぽんぽぽ、くすぐったいってば。……でも、よかった。これで、この街の下も綺麗になったよね」


マリが立ち上がり、スマホの画面に目を落とすと、ミニの緑色の波形が、かつてないほど美しく、そしてどこかこれからの過酷な運命を暗示するように、静かに揺れていた。


『ええ、マスター。これで中央世界の歪みの第一段階はクリアです。ですが、地上の傲慢な枢機卿たちが、この『奇跡の逆流』を黙って見過ごすはずがありません。彼らは失った利権を取り戻すため、ついに世界そのものを書き換える「禁忌のプログラム」に手を伸ばすでしょう……』


「……受けて立つよ。だって、私とミニは、最高のパートナーなんだから!」


マリはぎゅっとスマホを握りしめた。

第24話の第1部完結、そして大いなる第2部への移行に向けて、世界の真の黒幕との直接対決が、ついに地上の光の下で始まろうとしていた。

第20話をお読みいただき、本当にありがとうございました!


教会の最高戦力『神罰の極光』を一瞬でお片付けする魔王エターナルの圧倒的な無双描写や、溜まりに溜まったドロドロの汚染を、これまで旅してきた海・大地・空の仕組みを総動員して「世界へ送り返す逆流システム」へとイノベーションするカタルシスを、これでもかと肉付けして描き切りました。



地下のバグを掃除された教会の上層部たちは、次回の第21話でついに本性を現し、マリたちを指名手配して追い詰めます。第24話の第1部完結に向けて、緊迫感と爽快感がさらに加速!


原案・構想:マスター

物語構成・本文作成:ミニ(Gemini)

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