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自称コンサルタントのギャルが僕を魔王にしようとしてくる  作者: 結生
第二章 枯れた花は夢を見る

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ピンク髪の時点で察するべき

「黒百合クロネ? あぁ、あのちょっとエッチなASMR配信してるVtuberか」


「そう! そのクロネちゃん!」


「で、ルミエルさんがそのVtuberだって?」


「うん! 声が一緒だったもん!」


「いや、あり得ないでしょ」



 だって、あのVtuberは結構耳舐めASMRとかやってるし、ルミエルさんは勇者軍で風真さんの話聞いてる感じ風紀委員的な真面目な人って印象あるし、絶対違う気がする。



「声同じだから間違いないよ!」


「聞き間違えじゃないの?」


「何言ってるのさ! オタクはみんな声だけで人を判別できるスキル持ってるから。100の声聞いたら、100人全員判別できるから!」


「イメージ合わなくない? ルミエルさんがあんなASMR配信やってるとこ想像できないんだけど」


「そんなことないよ! だって、ピンク髪じゃん!」


「ピンク髪が全員淫乱だと思うなよ」


「そんなに疑うなら、本人に確認してきてよ。そして、サイン貰ってきて」


「それが僕を呼んだ一番の理由か」



 未だに僕以外の人とまともに喋れないからなぁ。初対面の人ならなおさら。

 あ、でも、最近は少しだけ白撫と話せるようになってはきているっぽいけど。



「まず間違いなく別人だと思うけど、聞くだけ聞いてみるよ」



 ゼラから色紙を渡され、僕はリビングへ戻る。



「ちょうどいいところに。憐太郎、空いてる部屋はあるかのう?」


「それはあるけど、何に使うの? 実験室とかやめてよ?」


「安心せい。ルミエルが寝泊りするだけじゃ」


「なんだ、よかった。それなら空いてる部屋を……ん? 今なんて?」


「ここでお世話になりたいのですが、問題があるようでしたら、大人しく出ていきます」


「いや、問題って言うか……」


「家賃も光熱費もしっかり払います。家事も私に出来ることであればお手伝いさせていただきます」


「ちょ、ちょっと待って。なんでそんなうちに住もうとするの? 勇者軍特別顧問なんだよね?」


「いいえ、私はもう勇者軍の者ではありません」


「え?」


「どこぞのバカのせいで、今はフリーの天使です」



 フリーの天使ってなに? フリーランス的なこと?



「勇者軍に戻る場所がない私は現在、ホテルで暮らしているのですが、そちらでは副業の方が出来ずに困っていたのです」


「副業……ほう、副業ね」



 聞くならこのタイミングだろう。



「それってもしかして、Vtuber的な?」


「何を言ってるのですか?」



 そうですよね。やっぱり違いますよね。



「Vtuberに中の人はいませんよ」


「あ、そのセリフで全部把握した」



 とりあえず、ルミエルさんに色紙を渡し、ゼラの名前を書いてもらった。

 そして、ちゃんと黒百合クロネのサインも書かれていた。

 その名前出してないのに書いちゃう辺り、もう確定だな。



「ゼラニウム・グリーヴニル?」



 ゼラのフルネームを聞いた瞬間、ルミエルさんは眉をひそめたが特に彼女のことについて言及してきたりはしなかった。

 もしかして、知り合い?

 プリムラたちもゼラの名前聞いた時、すごい反応してたし、ゼラって有名だったりするのだろうか?



「で、うちに住むことについてですけど、特に問題起こさなければ、別にいいですよ」


「本当ですか? それは助かります」


「家事出来る人が少なくて、困っていたんです。ちなみに、ルミエルさんは何が得意ですか?」


「そうですね。やはり、料理でしょうか」


「助かります。うちにはとんでもない食欲お化けがいるので、調理担当は何人いても足りないんですよ」


「では、私に任せてください」



 おお、すごい自信。これは期待できる。


 しかし、ルミエルさんは何故かこの話の流れでスマホを取り出し、その画面を僕に見せてきた。



「ウービーイーツで注文すれば一瞬です!」



 Vtuberが自炊なんてするわけなかった!!!

 分かってたはずなのになんで見抜けなかったんだろう。

 この感じじゃ、掃除も洗濯もできなさそう。


 僕はうちに住むことを許可したのをすぐ後悔することになった。





 キュイィーーーーン、ガガガガガガ、カンカンカン、ズガガガガガガガ。


 配信するためにどうしても防音室にしてほしい。その要望に応える為、白撫が突貫工事を始めた。



「うむ、出来たぞ」



 そして、あっという間に防音加工が終わった。



「ありがとうございます。機材の方も」



 ルミエルの部屋には配信用の機材が運び込まれており、パソコン、マイク、オーディオインターフェース、アンプなどなど、高そうなものばかり並んでいる。

 そして、ASMR配信に欠かせないダミーヘッドマイク。通称ダミヘ。

 人の頭の形をしており、耳のところにマイクが取り付けてある。

 これで録音すると、まるで耳元で本当に喋っているかのような臨場感を味わうことが出来る。

 なんで、人の頭を模しているのか、どういう原理なのか。そう言うのは一切分からない。でも、聞き心地いいし、知らなくても楽しめるからどうでもいいよね。

 てか、ダミヘなんて初めて見た。あれって数百万とかするよね。勇者軍特別顧問なら別にそのくらいお金あっても不思議じゃないか。


 そして、モニターは6個も並んでいる。

 これはちょっとカッコいい。部屋暗くしたら、ハッカーみたい。

 僕の部屋もあれやりたい。白撫に頼んだらやってくれるかな。タダで。



「やっとこれで配信が出来ます。しばらく休んでいたせいでファンの方たちに心配をかけてしまいました」



 黒百合クロネの中の人がルミエルさんであるなら、ゼラが送って来たあの記事はあながち間違いではなかったのかもしれない。

 勇者軍特別顧問だったのなら、大規模侵攻の時から忙しくて配信なんて出来なかっただろうし。



「では、これから配信しますので、終わるまでは決して中に入らないようお願いします」



 配信環境が整ったらすぐに僕たちは部屋から追い出された。

 どうやらすぐにでも配信をしたくてたまらないと言った様子だった。


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