↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
自称コンサルタントのギャルが僕を魔王にしようとしてくる  作者: 結生
第二章 枯れた花は夢を見る

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
75/81

生き抜く覚悟

 見晴らしのいい田園で、憐太郎とアカリが一進一退の攻防を繰り広げていた。



「はああ!!!」


「…………!!!」



 憐太郎が上段の回し蹴りを繰り出すと、アカリはかがんで躱し、その直後、憐太郎の首筋に向かってナイフを突きつける。



「このっ!」



 憐太郎はナイフを持っている手の方を払い、アカリの腹部に叩きこもうとする。



「…………」



 しかし、アカリにその拳が届く前に、空いた方の手から銃弾が放たれる。



「っあ……!」



 左拳に銃弾を撃ち込まれた憐太郎は血をまき散らしながら、後ろに後退する。



「っ……はぁはぁ……見たところ、人間ではあるようだが。この強さは一体なんだ……? 接近戦だけなら確実にリリアナを超える」



「へぇ~、彼凄いね」



 憐太郎とアカリの戦いを静観していたメグは感嘆の声を漏らした。



「彼、人間なんでしょ? 何者?」



 メグはインカムでミユキに訊ねる。



『ん~~……ボリボリ……わかんなぁーい……ボリボリ』


「ポテチ食べてないで、調べて。咀嚼音うるさいんだけど」


『…………』


「え、なに? ミュートした? なんで? 咀嚼音指摘したから?」



 メグが何度もインカムで話しかけるがミユキの反応はない。



「会長、リモートワークやめよ。サボる人が出てくる」


「あの子は現場に出てきても変わらないわよ」


「それは……そうだけど。にしても、人間相手にアカリがここまで手こずるなんてね」


「そうね。動きは悪くないわね。でも、結果は見えてるわ」



 ドッ!


 アカリの蹴りが憐太郎の腹部に入り、そのまま田んぼの中に落ちる。



「彼はあの黒いオーラのようなもので、アカリの視界を限定させ反応を鈍らせていたわ。けれど、あの子ならもう目が慣れた頃でしょう。メグ、彼女を連れてきて。彼は仕事に関係ないから、これ以上、相手をしてあげる必要はないわ」


「了解」



 メグは動けなくなった真澄に近づき、連れて行こうと彼女の腕に手を伸ばす。



「“ベータトロン”!」



 その瞬間、憐太郎が闇の魔力で加速し、速度の乗った拳を叩き込む。



「はぁはぁ……真澄に手を出すな」



 手負いの憐太郎だったが、今のは渾身の一撃だった。手ごたえもあった。だからこそ……。



「で、気は済んだ?」


「っ!」



 平気な顔をして片腕で受け止めた彼女に驚きを隠せなかった。



「ん? あぁ、私が無傷なのは気にしなくていいよ。魔力の総量が違うからね。人間の魔力じゃ相手にならないよ」



「っく!!!!」



 憐太郎は倒れている真澄を掴み上げながら数歩後ろに後退する。



「なに? 諦めないの? 力の差は歴然だと思うけど?」


「なにがだ……」


「君じゃ、私たちには勝てないよ。だから、彼女を渡して。今なら軽い怪我程度で済むよ」


「そう、です……先輩……。先輩には関係、ないんすから……私が、私が捕まれば先輩は助かるんす。だから、ここは……」



 フラフラの足で立ち上がった真澄は憐太郎の前に立つ。



「私に任せて、さっさと逃げてください……」


「逃げるつもりはない。言っただろう、君にもう血は流させないと」


「バカなこと言ってる場合じゃないんすよ。このままじゃあなたも殺されてしまいます。だから、私が代わりに……」


「死ぬのか?」


「え?」


「俺の代わりに死ぬつもりなのかと聞いたんだ」


「当然でしょ! 人々の窮地に駆け付ける勇者は命を張って助けるんだから!」


「そうか。なら、君は一生勇者になることは出来ない」


「な、なんで! 今それ関係なくない!?」


「お前はなれない」


「だから、なんで………」



 そんな文句を言っている2人の隙を見逃すはずもなく、オイル社の人たちは2人に襲い掛かる。

 それを察知していた憐太郎は彼女たちに向かって両手を突き出す。



「生身の人間に使うのは気が引けるが仕方ない」



 憐太郎は両手の平から黒の魔力を凝縮させ、放つ。



「“ガンマ・バースト”!!!」



超電磁砲と勝るとも劣らないエネルギーの波動が螺旋状に吹き出す。



「2人とも下がっていなさい」



 それを見たサクヤが一歩前に出る。



「邪魔よ」



 そして、サクヤは左手に握っていたシャベルを振り上げ、憐太郎の魔法を弾いた。



「……これは流石に参ったね」



 サクヤたちの圧倒的な力を前に憐太郎は冷や汗をかく。



「だから、言ってるじゃないすか。私を置いて、先輩は逃げ……」




「自分一人救えない奴が一体何を救えるんだ」




「っ!」


「世界を救うんだろ。その君が死んだら、その後はどうするんだ。命を懸けるなんてのは弱い奴のすることだ。いいか、自分でやると決めた未来があるなら、死んでる暇なんてないぞ」


「………………!」



 その背中に父の姿が被って見えた。






『私もね! 大きくなったら勇者になる! パパに負けないから!』


『ははは、いいじゃないか。でも、真澄には覚悟はあるかな?』


『もちろん! みんなを守るためなら命を懸けられるよ!』


『逆だよ、真澄。生き抜く覚悟が必要なんだ』


『?』


『あー、まだ分からないか。いつか知れたら、きっとその時は……』






「もう、先輩は仕方ないですね」



 真澄はゆっくりと立ち上がる。



「どうせ人の言うことなんて聞かないんすから」



 真澄の頭上で再び星の髪飾りが円を描きだし、彼女の傷を治癒していく。



「私が救ってあげますよ」


「魔力が尽きて死にそうだったが、平気か?」


「ええ、生き抜く覚悟を決めましたから!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。