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自称コンサルタントのギャルが僕を魔王にしようとしてくる  作者: 結生
第二章 枯れた花は夢を見る

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秩序の破壊者

「ここ、だよね?」



 学校を途中で抜け出し、竜胆の家があるという場所まで来たんだけど……。



「これどういうこと?」



 周囲には人だかりができており、そして、当の竜胆家は焼け落ちていた。



「なにがあったんですか?」



 近くにいたおばちゃんに声をかける。



「見れば、分かるだろう? 火事だよ火事。昨晩、この家が燃えちまったんだよ。被害がここだけで済んでよかったよ」


「え!? 家の人は大丈夫なんですか?」


「家の中には誰もいなかったみたいだからねぇ。けが人は1人もいないって話だよ」



 そっか、よかった。巻き込まれてなくて。

 でも、せっかく来たのに家がこれじゃ、会えそうもないかも。



「ちなみにここに住んでる人がどこにいるかとか分かりますか?」


「なんだい、ここの子の知り合いかい?」


「ええ、まぁ、そんなとこです」



 おばちゃんは一瞬ギョッとした後、周りを確認してからそっと耳打ちしてきた。



「悪いことは言わないから、あの子に近づくのだけは止めときな」



 僕もそう思う。

 けど、近所の人たちにもそう思われているのか、一体何したんだ?



「なにかあったんですか?」


「あったなんてもんじゃないよ。あの子、ついに黄統会(こうとうかい)にまで手を出したって」


「こ、黄統会(こうとうかい)?」


「え、知らないのかい? ここらを牛耳ってる極道さ」


「ご、極道!?」


「しっ、声が大きいよ」


「す、すいません……」


「で、だよ。この火事もその極道の仕業じゃないかって噂なのよ」


「ま、マジっすか……」



 それじゃあ、昨日のガラが悪い連中もその関係者……?

 ヤバい。どうしよう。僕、顔見られてる。竜胆の関係者ってことで狙われたりしないかな。



「よう、兄ちゃん。ちょっといいかい?」



 そんなことを考えてしまったせいか、後ろからポンっと肩を叩かれた。

 フラグ立ったかな?



「な、なんでしょう……?」



 ゆっくりと振り返ると、顔に傷があったり、スキンヘッドだったり、白鞘持ってたり、ステレオタイプのヤクザさん達がそこにいた。



「ちーーーっと、向こうでお話しようか?」



 あ、これまずいかも……。



「ごめんなさい、この後、塾あるんで!」



 怖い人たちの手を払い、トップスピードで逃走する。



「待てや、ゴラァ! 学校サボってここに来てる奴が、塾なんか行かねぇだろ!」


「ごもっともです!!!!!!!」



 半泣きになりながら、僕は走る。



「うぅ……最近、こんなんばっか」



 プリムラのクソメニュー関係なく、めっちゃ走らされてる気がするし、そのせいでちょっと体力ついてきちゃってる。

 いいか悪いかで言えば、確実に悪いんだけどさ。



「おい! そっち行ったぞ!」



 正面からもなんか集まってきた。逃げ場なくなっちゃうじゃん。

 人目が多いけど、覚醒状態になるしか。

 と、丸薬を口に含もうとしたその瞬間。



「へ? せ、先輩!?」



 横道から慌てた様子の竜胆が出てきた。



「よし! ナイスタイミング!」


「少々立て込んでいますが、いいでしょう。勝負なら受けてたつっすよ」


「お願い! 助けて!」


「…………はい?」



 土下座してる僕を見下ろしながら、竜胆はポカンと首を傾げる。



「見て分かんないの!? 追われてるの! 主に君のせいなんだけどさ! だから、責任もってあの人たち何とかして!」


「し、仕方ないすね。そこまで言うなら助けてあげるっす。まぁ、自分、困ってる人はほっておけないタイプなんで」



 なんかすっげぇ嬉しそうなんだけど。今までこうして頼られることなかったのか? だとしたら可哀そう。泣けてきた。うるうる。



「あら、あなたには他人に構っている余裕はないと思うのだけれど?」



 空から声がし、見上げた瞬間、何かか降ってきた。


 ズドンっ!



「ふぇ? ……シャ、シャベル?」



 僕たちの行く手を遮るように空からシャベルが降ってきて、そのままコンクリートの地面に突き刺さる。



「やっと追いついたわ」



 そして、少し遅れて青髪の女性が突き刺さったシャベルの上に降り立つ。



「しつこいっすね。秩序の破壊者(エトランゼ)



 なんかめっちゃ目つきの悪い人来たんだけど! スーツの上に高そうなロングコート羽織ってるし、黄統会(こうとうかい)とかいうヤクザのトップ的な人!?



「ねぇ、ちょっと、あれ誰よ? 色んな人に手出し過ぎじゃない? このビッチ!」


「ちょ! 人聞きの悪いこと言わないでください! あれはただの子悪党っすよ」


「そ、そうなの? ヤクザのリーダー的なのじゃないの?」


「全然違いますよ。彼女はオイル社という会社の会長、サクヤっす」


「なんでそんなのに追われてるのさ」


「オイル社は金さえ払えばどんな依頼も引き受ける何でも屋っすからね。金積まれて私を殺しに来たんじゃないすか?」


「ただでさえ人海戦術で押されてるのに、なんで向こうがさらに人で増やしてるのさ。ま、でも、そんな強くはないんだよね?」


「ええ、聞いた話ですと、サウジアラビアの石油王の自宅を爆破したり、勇者軍北欧支部を爆破したり、南米の魔王軍基地を爆破したりして、億単位の懸賞金がついてるテロリストです」


「子悪党は過小評価じゃないかな!?」



 勇者軍にも魔王軍にも喧嘩売ってるって相当頭おかしい人なんじゃないかな!? リリアナの方がまだまともなんじゃない!?



「種族場所問わずにあらゆる被害を出し続けた彼女に付けられた二つ名が秩序の破壊者(エトランゼ)



 誰彼構わず喧嘩売ってるって点では君も大して変わらないけどね。

 にしても、そんな大悪党が目の前にいるとか生きた心地がしないのですが……あれ?



「…………………………」



 サクヤって人、めっちゃ気まずそうに目を逸らしてるんだけど? 変な冷や汗もかいてるし。



「あの、大丈夫ですか?」



 思わず心配になって声をかけてしまった。



「……ええ、問題ないわ。全て私の計算通りよ」



 めちゃめちゃ澄まし顔で言ってるけど、言葉の節々に動揺が見られるんですが? すっごい誤解がありそうな気がしないでもないんだけど。

 とは言え、誤解で勇者軍も魔王軍も敵に回しっちゃうような不幸な人は流石にいないか。

 うん、いないいないあり得ない。



「無駄話はここまでよ。そこの少女を連れてこいってのが依頼なの。だから」



 サクヤは地面からシャベルを引き抜き、構える。



「――邪魔しないで貰えると助かるわ」


「っ!」



 その一言で空気が変わる。

 このプレッシャー、覚えがある。リリアナの時と同じだ。一瞬でも気を抜いたら、


 殺される。



「いいですか、先輩。ここは私に任せて……うぇ!?」


「ふざけんな、バカ! 逃げるんだよ!」



 僕は強引に竜胆の手を取り、サクヤがいる方とは逆の方向へ走る。



「逃がさないわ」


「食らえ、白撫&風真さんの合作……」



 懐から赤色の玉を取り出し、地面に叩きつける。



「超けむり音爆弾 (臭い付き)!」



 地面にたたきつけられた衝撃で玉が割れ、キーンっと甲高い音と主に中から煙が噴き出る。



「ごほごほ! 目くらまし!? っと何よ! この臭い!」



 これはただのけむり玉じゃない。プリムラからも逃げられるように白撫と風真さんに作ってもらった超けむり音爆弾 (臭い付き)。

 視覚だけじゃなく、聴覚、嗅覚も封じつつ、さらに魔力による探知さえも出来ないようにさせた優れもの。

 試作段階でまだこれ1個しか持ってないけど、不意打ちで食らったんだ。これだけで逃げ切れるはず。



「―――――――」



 すぐそばで竜胆が叫んでいるが僕も耳をやられてしまったため、なんて言っているか聞こえない。

 竜胆の文句は後で聞くとして、とりあえず、今はこの場を離れる。



 それと白撫と風真さんには後で鼻栓と耳栓を作ってもらおう。

 鼻と耳がおかしくなりそう。これじゃあ、普段使いは無理だな。


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