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自称コンサルタントのギャルが僕を魔王にしようとしてくる  作者: 結生
第一章 野に咲く花に祝福を

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魔王候補抗争 対ハート陣営戦 閉幕

「っは! ここはっ! いっ!」



 意識が戻り、咄嗟に起き上がった瞬間に全身の痛みに苦悶する。



「僕の……部屋?」



 痛む体を気遣いながら見渡すと見慣れた光景があった。



「お、レンタロー元気そうじゃん」



 ベッドの横に座っていたのはギャル風の格好をしたプリムラだった。



「目覚めのチッスが聞いたかにゃ?」


「お、お前! 寝てる僕に何をした!」



 咄嗟に口を拭おうとしたが、腕の痛みで口まで手を持っていけなかった。



「もう冗談だってー。でもでも、そんな反応されちゃうとあーしへこむな~」


「そう言うのいいから。それであの後どうなったかだけ教えてよ」


「もうちょっとかまってくれてもいいのに」



 プリムラはむすっと不貞腐れながらも、僕が気を失った後のことを教えてくれた。


 メイさんは風真さんの魔法のおかげで狙い通り元に戻ったそうだ。

 梗夜君や白撫は僕と同様にまだまともに動けず部屋で安静にしているとのこと。

 リリアナたちはクリスとの戦いが終わった頃には姿を消したらしく、あの後どうなったかはプリムラも知らないらしい。

 とは言え、ハート陣営とのいざこざはひと段落したとみていいだろう。とプリムラは言っていた。



「あ、そうだ! 茉奈花は? もう平気なの?」


「うん。今は夕ご飯作ってくれてるよ?」



 うっすらといい匂いが香っていたが、どうやら茉奈花が料理をしている匂いだったようだ。



「それで、あの時襲われたこととか僕たちの怪我については何か言ってなかった?」


「それなら安心して。ばっちしフォローしてあげたから」


「不安しかないけど。何って言った?」


「サッカー大会に巻き込まれたって」


「そんな超次元サッカーみたいな言い訳通じるわけないでしょ!」


「テニスの方がよかった?」


「それはテニヌになっちゃうじゃん。じゃなくて! そんなので茉奈花が納得するわけないでしょ!」


「そう? 『お兄さまがチームスポーツを!?』って感動してたよ」



 わが妹ながらアホすぎる。

 確かに多少変なところがあることは認知していたが。

 おかげで今回の一件を詮索されなくてよかった。



「なんにしても、みんなが無事でよかった」


「へ~」



 プリムラがニマニマした表情で僕の瞳を覗き込む。



「な、なに?」


「意外だと思って。だってみんなのこと毛嫌いしてたでしょ?」


「確かにうちに住みつかれて、騒がしいし、トラブル持ってくるしで全然いいことなんてないけど」


「けど?」


「だからって別に傷ついてほしいわけじゃないから」


「ほほ~、これは次期魔王としての自覚が芽生え始めてきたかしらん?」


「そんなんじゃないって。どうしてすぐにそっち方向の話へ持ってこうとするんだ」



 僕は魔王になるつもりはない。

 今回の件で余計にそう思うようになった。

 リリアナは自身の種族を守るって野望があった。

 僕にそんなモチベはない。

 たまたま魔王の魔力を持って生まれ、プリムラによって強制的に巻き込まれたに過ぎない。



「プリムラはなんで僕を魔王にしたいんだ?」



 プリムラの体液が僕の魔王の魔力を覚醒させるために必要だったとしても、プリムラが僕を魔王にする意味はないはずだ。

 それこそリリアナが言っていたみたいに彼女を魔王にすればいいはずだ。



「それはね、レンタローが望んだからだよ」



 いつものようにはぐらかされると思って答えを期待していなかったが、予想外の返答が返ってきて戸惑う。



「い、いやいやいやいや、僕は魔王になりたいだなんて生まれてから一度も考えたことないよ!」


「そう言うと思ったから、今まで言わなかったんだ、ぞ」



 ツンっとプリムラに額をつつかれた。

 本当にそんな記憶はない。

 というか――。



「プリムラと以前にどこかで会ったことがあったのか?」


「さ、どうだろうね」



 またしてもプリムラははぐらかす。

 いや、もし僕だけが忘れているのだとしたら、プリムラの態度も理解できる。

 自分だけが覚えているのに相手が忘れてるなんて、いい気はしないだろう。

 これ以上追及しても答えは得られないな。



「それでも僕は魔王になる気はないよ」


「レンタローがその気でもあーしは魔王にしてみせるよ」



 今はまだ平行線だ。

 きっといつかこの平行線に答えが出る時が来るのだろう。


 その時、僕が魔王になっていないことを願おう。



**********************




 ――勇者軍本部特別顧問執務室。



「た、大変です!」



 そこに1人の男性が慌てた様子で飛び込んでくる。



「大変なのはいつものことでしょう? つい先日魔王軍の大規模侵攻があったばかりで仕事が立て込んでいるのです。そちらで対処出来ないのですか?」



 そんな男性に落ち着いた様子で対応するのは、長くうす桃色の髪をなびかせた女性。

 しかし、彼女は人間ではなかった。

 頭にはヘイローと呼ばれる輪が浮かんでおり、腰には4枚の白い羽が生えていた。



「それが日本で魔族による被害が出ているとか……」


「魔族? 魔王軍が日本にも攻めていたということですか?」


「関係はあるかと。その暴れていた魔族と言うのが魔王候補ではないかと言う話でして……」


「魔王候補ですって!? 魔王軍の攻め方に違和感を感じていましたが、やはり裏があったのですね。そうなりますと、本命は日本だったということ……?」


「それだけではなく、大罪魔法の発動も観測したとのことです!」


「なんですって!? 勇者パーティは全員魔王軍との戦闘で各地に散っているはずです」


「はい。なので、何かの間違いだとは思うのですが……」


「いえ、一人心当たりがあります」



 女性は小さく舌打ちして、ある男の顔を思い浮かべる。



「あの男、魔導書をちょろまかしましたのですか。クビにした後でも問題ごとばかり起こすとは。はぁ……仕方ありませんね」


「では……」




「――――私が日本へ出向きましょう」


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