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自称コンサルタントのギャルが僕を魔王にしようとしてくる  作者: 結生
第一章 野に咲く花に祝福を

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インペリアルドラグーン

「ディスペラード・ブラスター!」



 白撫の左腕に装着されたリボルバーから雨のようにエネルギー弾が放たれる。

 二人の魔女はそれぞれ左右によけながら白撫との間合いを詰めてくる。

 システィは白撫の方に注意が向いていたが、リリアナは僕の方を真っ直ぐ見ている。



「まずいのう」



 白撫もリリアナの狙いが分かったようだ。

 すぐさま僕を抱えて、コンテナが降って来た天井の穴を通り屋上へと向かう。



「うひぃ……!」



 思った以上にGがかかり情けない声が漏れてしまった。



「白撫」


「分かっておる。あちらさんはあくまでもお主が最優先のようじゃ」


「ごめん。完全に足手まといだ」


「気にするでない。と言いたいところじゃが、わし一人であやつらを倒しきる余裕はないのう」



 もしかしたら白撫一人で何とかなるのではないか。そんな期待は出来ないようだ。

 せめて、この結界が破れれば、下にいるプリムラの援護が期待できるが。

 僕では無理だし。白撫にもそんな余裕はないだろう。



「わしに一つアイデアがあるが、乗ってみるか?」



 今の僕にできることは何もないし、策も思いつかない。

 だから、と白撫の言うアイデアを聞いてみる。



「――そんなこと可能なのか?」



 白撫の案には一点だけ不確定要素があった。



「わしの眼を信じるのじゃ」



 僕に代案があるわけでもない。何より、これは白撫がやることだ。



「好きにしていいよ。失敗しても恨まないから」


「そこは上手くいくことを前提にしてほしいのじゃが。相変わらずネガティブじゃのう」



 白撫は僕を屋上に降ろし、離れるようにジェスチャーする。

 僕はそれに従い、結界の壁ギリギリのところまで下がる。

 白撫と作戦を話していた内にリリアナとシスティも屋上まで上がってきていた。



「“アルファ・リリース”!」



 僕を視界に入れるやいなや右足に魔力を宿したリリアナが飛び蹴りをかましてきた。



「“ヴァイスクロー”」



 白撫は右手のブレードを五本に分割し、爪のように変形させる。

 そして、その右手でリリアナの蹴りを受け止めた。



「この距離なら外さぬぞ。全砲門展開」



 白撫の声に反応し、肩と腰の左右にある2門ある砲門がリリアナに向く。



「“パーティカルキャノン・フルバースト”」



 4つの訪問から終息された光が一直線の軌道を描き、リリアナに撃ち込まれる。



「うおおおお!! ビームだ、ビーム!!」



 やっぱあれ、僕も欲しい!

 梗夜君もこの光景を見ていたらきっと欲しがるだろう。二人分頼んでみようか。


 爆炎と煙で彼女の姿は見えないが、あれを食らって無事で済むはずがない。



「よし、勝ったな!」


「そんなわけなかろう。この程度で死ぬ輩が魔王候補になれるわけなかろう」



 どうしてそんなこと言うの? その言い方だと、僕もあれ食らって平気みたいになっちゃうじゃん。そんな化け物になった覚えはないよ?



「大丈夫ですか、リリアナ様」


「あなたが結界を張って防いでくれたからね。問題ないわ。流石の私でもあれを直撃で貰っていたら無事では済まなかったかもね」



 爆炎が晴れ、憐太郎たちは傷一つないリリアナたちを視認する。



「ウソでしょ。あれでなんで生きてられんの? 化け物じゃん」



 いや、どうやら彼女も無傷とはいかないようだ。

 左の頬から少しばかり血が流れている。

 それでも化け物であることには変わりないが。



「それにしても、横の腰巾着が面倒じゃのう」



 結界魔法はその名の通り結界を張る魔法だ。

 時間をかければ自分に有利なルールを設定した結界を作り出すこともできるが、そうでなくても今みたいに即席の盾代わりにすることも可能だ。

 Kキングを補佐するQクイーンらしい魔法。

 プリムラと言いQは補助的な魔法が好まれるのだろうか。



「さて、もう少しギアを上げるかのう」



 白撫の魔力出力が上昇する。

 どうやらあのパワードスーツに搭乗しているパイロットの魔力で動くようだ。

 ブースターから発せられる駆動音が徐々に大きくなっていく。



「“クラッチスラスター”」



 ブースターを加速させながら、右手のブレードを振りかざす。



「“ベータトロン”」



 リリアナも足元から魔力を放出させ、速度を上げながら、右拳を突き出す。


 ブレードと拳がぶつかり合う。


 グシャ……。


 触れたのはたった一瞬。その結果、生じたのはブレードの破損だった。



「こんな簡単に壊れるつくりにはしておらぬのじゃが」



 即座に距離を取った白撫はひしゃげたブレードを見て、ため息をつきながら、右腕の装備を外す。

 ブレードは白撫の腕から伸びており、ひしゃげたのはその先の方であったため、白撫本体の右腕は無事だった。

 けれども、やはり自分の作品を壊されたことには落ち込んでいた。



「次は左腕を貰おうかしら?」



 逆にブレードを破壊したリリアナの右拳はかすり傷一つなかった。



「近接じゃ、分が悪いのう。なら、これじゃな。“ビット・オン”」



 白撫のボイスコマンドに反応したパワードスーツは背中部分から5つの小型ロボを射出した。

 ひし形の手のひらサイズ。それが高速で宙を舞っている。



「なにかしら、それ」


「ロボットアニメでよくある小型の攻撃型端末じゃ。そのうざさをとくと見るのじゃ」



 ビットたちは不規則な動きをしながら、リリアナの周りを囲む。

 ――ピッ 。



「!」



 不意に撃たれたビットからの光弾。

 一瞬遅く気付いたにもかかわらず、リリアナはそれを軽やかに躱す。



「不意打ちのつもりだったのかもしれないけど、残念ね。その程度の速度なら、見てから避けられるわ」


「じゃろうな。じゃから――」



 5つのビットは移動しながら止めどなく光弾を連射する。それに加え白撫自身も周囲を旋回しながら左腕のリボルバーからエネルギー弾を撃ち込む。



「手数で勝負じゃ」


「それしか手がもうなさそうだものね。でも、残念」



 リリアナは雨のように降り注ぐ弾幕を全て躱していく。



「いったいどんな動体視力しておるのじゃ、まったく」



 白撫は呆れた声を漏らしながらも、攻撃の手を休めない。



「なら、避けられないほど範囲の広い攻撃をするだけじゃ」



 リボルバーからのエネルギー弾を撃ち続けたまま、ビットのみ攻撃を止め、白撫の前に集まる。

 ビット同士が光の線で繋がり、白撫の方へ底辺を向け、ビットを頂点とする四角推の形を形成する。

 そこで白撫はエネルギー弾を止め、肩と腰にある4つの砲門を展開する。



「収束、そして拡散――――」



 4つの砲門から放たれた粒子砲はそれぞれ底辺に位置する4つのビットに撃ち込まれ、吸収、そして、そこから残り1つのビットへ、収束。



「“パーティカルキャノン・スペクトラム”!!」



 別々に放たれた粒子砲が一点に収束し、そして拡散する。



「でっか……」



 直径20メートルはあろうかと言う極大レーザーを前に流石のリリアナも息を呑んだ。



「やるわね。なら、私もそれ相応のものを見せないといけないわね」



 リリアナは避ける素振りを見せず、両手を前に突き出す。

 すると、黒い魔力が彼女の掌に集まりだす。



「これならどうかしら」



 黒い魔力はすぐさま白撫のレーザーと同等のサイズにまで膨れ上がり――。



「“ガンマ・バースト”!」



 螺旋状に放たれたその黒い闇が白撫のレーザーと衝突する。



「はああああ!!!!!!」

「っっっ!!!!」



 2人の力はほぼ拮抗していた。

 数秒間、2つの力がぶつかり合い…………一瞬、白撫のレーザーが揺らいだ。

 その刹那、一気に白撫のレーザーが霧散し、ぶつかり合う力がなくなった闇はその先にいる白撫を襲った。

 白撫はなすすべなくその闇に飲み込まれてしまった。


 そして――。




「流石に、決着ね」



 5つのビットは地に落ち、右腕のブレイドは既になく左腕のリボルバーも辛うじて形が残っている程度、白撫本人は全身血まみれのままリリアナに首を掴まれ、宙づりの状態だった。



「最後のは中々よかったわ。私でなければ死んでいたかもしれないわ」


「わし、の……ロマンが、通じぬとは……化け物、じゃのう……」


「残念だけど、あなたたちはここまでね。それになにより、生かしておく理由がないわ」


「妥当な、判断……じゃな。じゃが、わしらが……それをただで見ている、とでも?」


「抵抗する気? どうやって?」


「こうやって、じゃ」



 白撫は震える右腕を伸ばし、リリアナの左頬をつねった。



「にゃにかしりゃこれ?」


「わしの抵抗じゃ」



 パシッ!

 当然、白撫の手は払われた。



「心だけは折れてないようね。いいわ、あなたは生かして、うちで使ってあげる」


「それは……最悪じゃのう……じゃから……」



 リリアナはゆっくりを壊れたリボルバーが装備された左腕を上げる。



「無駄でしょ。それはもう壊れているもの」


「分かって、おらぬのう。ロボット、アニメを、見ておらぬの、か……?」


「何を言って……」


「こう、いうこと、じゃ。“パージ・ディストラクション”!」


「!」



 リリアナは咄嗟に白撫から手を放すがもう遅い。


 ボンッ!!


 左腕のリボルバーが白撫の腕から外れた瞬間、白撫とリリアナを巻き込み大爆発を起こした。



「う…………」

「白撫!」



 僕は咄嗟に爆風に巻き込まれ飛ばされた白撫をキャッチした。



「大丈夫!? 死んでないよね!」


「あまり、大声を、……出すで、ない。頭が、痛い……わい」


「自己犠牲なんて、そんな趣味ないと思ったんだけど。読み間違いだったかしら」


「なっ!」



 あの爆発を至近距離で食らったのにもかかわらず、リリアナはピンピンしていた。



「ほら、早く、せぬ、か……。お主がビビっておっては、勝てぬ、ではないか」


「いまさら何をする気かしら」


「さ、ほら」



 煽るリリアナを無視して、白撫は右手を僕の前に差し出す。



「ごくっ……本当にやるの……?」


「出なきゃ、勝てぬ、じゃろう?」


「ぐぬぬぬ、じゃ、これでもしダメだったら、ちゃんと責任取ってくれるんだろうな」


「うむ、お主の欲しいもの何でも作ってやろう」


「乗った! じゃあ……」



 僕は差し出された手を取り、――――優しく口づけをした。


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