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自称コンサルタントのギャルが僕を魔王にしようとしてくる  作者: 結生


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2/22

カプ厨委員長

「はぁはぁ……生きてる?」



 学校までノンストップで逃げ切った。後ろを見てもプリムラの姿はない。



「もしかして、僕を学校に行かせるためだけに、あんな風に追い立てたとか?」



 なくもないけど、ここでもし回れ右して帰ったら、あの鎌で殺されそうではある。

 どのみち学校には行かなければならない。





 1年5組。

 それが僕のクラスだ。

 何か月ぶりか分からないけど、久しぶりにその教室に入った。

 まだほとんどの生徒は登校してきていない。朝早い時間帯。



「ん……」

「お?」



 僕が一番乗りかと思ったら、先客がいたようだ。

 しかも、最悪の。




「おおおお!!!! 憐太郎じゃないか! 久しぶりだな!」

「うっ……委員長……」



 その人の名前は恋羽衣朱鳥。

 長身でかつ長い黒髪をポニーテールにしているかっこいい系の女子である。

 さらに彼女の肩書は多い。クラス委員長で、風紀委員長で、生徒会長で、剣道部主将。

 ……つまり、真面目の化身だ。

 役職とか1つでも任されれば、責任感と緊張で吐き気を催す自己肯定感の低い僕とは大違いだ。

 あと、それから……。



「朝早く来てくれたということは、ワタシの補習を受けてくれるということだな! よし、今すぐやろう。君は随分と学校を休んでいたからな。君の分までノートを取っていたんだ。はいこれ。それでどこからやろうか? 数学? 英語? 現国……は後でいいか。古文とかの方がいいか?」



 僕はこの人が苦手だ。



「いや、あの、別にそこまでしてもらわなくても。補習も別にやらなくていいし」

「なんでだああああああ!!!!!!!!!!」

「うお! びっくりした。急に大きな声出さないでよ。なに? ストレス発散?」

「君はこのままじゃ留年になってしまうんだぞ? 少しでも成績を上げておきたいではないか」

「いや、別に。留年どころか退学ウェルカム」

「それは良くない。君を退学にはさせない」

「そこまでやってもらう義理ないよ? 会ったことあるのたった7日だけだよ?」

「決まっている。ワタシは生徒会長だからな。ワタシの目の黒いうちは誰一人退学になどさせん!!」



「お゛え゛ーーーー!!!」



「ど、どうした、急にえずき出して」

「重い重い重い重い重い重い!! 気持ちの重さに胃もたれしちゃった。ちょっといい感じ風に言ってるけど、誰も委員長にそこまで求めてないって!」

「…………あ~、ツンデレ?」

「ポジティブすぎる!」

「人の好意は素直に受け取っておけ。じゃないと、君を好きになった子が可哀そうではないか」

「僕なんかを好きになる人なんか、いないよ」

「それを決めるのは君じゃない」

「ん……」



 確かに委員長の言う通りかもしれない。

 僕ごときが人の気持ちを決められるわけはないんだ。



「そうだよね。好きになるかどうかはその人、本人が決め「ワタシが決める!」

「……………………………は?」



 僕のセリフの上から食い気味に無理やり被せてきた。



「誰が誰を好きなのかはワタシが決める。最近、おススメはうちの会計と書記だな。間違いなくあれは両想いだ」



 この人マジで何言ってんだろう。ツッコんだら負けってゲーム?



「あ……えっと……一応なんでか聞いていい?」

「あの2人、よく会話をしているんだ」

「うん、それで?」

「2人とも会話をする時、笑うんだ」

「それから?」

「今のところそれだけだが?」

「今のところ?」

「成人式の時に2人が付き合っていることを同級生たちにバレて冷やかされているところまでは妄想済みだ」


「カプ厨が!!!!」


 バンッ!!!!!!


 渾身の叫びと共に机の上をぶっ叩いた。



「風紀委員じゃなかったの!?」

「もちろん。だから……」



 委員長はスッと竹刀を取り出す。



「推しカプの風紀を乱す奴は取り締まる」

「決め顔で言ってるところ悪いんだけど、推しカプの風紀って何?」

「ラブコメ雰囲気をぶち壊すとかだな。そう言うクソ野郎は必ず処すと決めている」



 目が完全に殺し屋のそれなんですが。



「あ、いたいた」

「ホントだ。恋羽衣会長!」



 委員長が怖すぎるので逃げようとした時、廊下から2人の生徒が顔を覗かせていた。

 男子生徒の方は犬の獣人、女子生徒の方は恐らくエルフ。



「みんな登校して来たので、早く生徒会室に来てください」

「うむ、報告感謝する。すぐに行くから、2人は先に行っていてくれ」

「はーい」



 あ、委員長がいつものカッコいい委員長に戻ってた。



「で、どうだ。あの2人」

「何が?」

「さっき言ったうちの会計と書記だ」

「あー」



 ただの同級生にしか見えなかった。

 会長の誇大妄想にしか思えないが――。



「もしかして、異種族カプにハマってる?」

「な、何故それを!?」



 今のを見れば誰でも分かるって。

 それよりも委員長が本物のナマモノカプ厨だったことに軽くショックを受けた。

 もう二度と関わらないでおこ。



************************



「あ、朝から疲れた……」



 僕は机の上にだらーっと突っ伏し、寝たふりをする。

 これ以上、面倒事はごめんだ。朝のホームルームまでこれでいこう。

 僕が登校するのは稀であるため、クラスの人たちが僕の方をチラチラと見てくる。

 話しかけられるのはとてもとても嫌なので寝たふりで声をかけるなオーラを出しておく。

 それにしても、あのプリムラって人は何なんだろうか。

 急に知らない人の家に押しかけてくるとは。流石に学校にまでは来ないよな。



「はーい、みんなホームルーム始めるから席についてー」



 いつの間にかチャイムが鳴り、担任の夢咲先生がやってきた。



「皆、夏休み明けなのにちゃんと登校出来て偉いね。でも、悲しいお知らせがあります」



 新学期早々不安を煽るな。先生の目が死んでて何言われるか怖いんだけど?



「昨日、また先生の推しキャラが死にました」



 だからなに!?!?!?!?



「大丈夫だよ、元気出して!」「先生、奇遇ですね! 私もです!」「きっとまた新しい推しに出会えるよ!」



 そして、なんでクラスの人たちは先生の対応に慣れてるの? 日常茶飯事なの?



「いつもなら学校を休むのですが、今日はちゃんと出勤しました」



 偉い! 休むの偉い! 僕も休みたい!



「それには理由があります。そう、なんとこのクラスに転校生が来ます。しかも、めっちゃ可愛い」

「「「「おおおおおおおお!!!!!」」」」



 先生とクラスメイト達は大盛り上がりだが、僕は嫌な予感がした。

 このパターン知ってる。アニメや漫画でいっぱい見た。


 朝に初対面の女の子と印象的な出会いをした後に、学校で転校生が来ますと言われたら、もうあれなんだよ。知ってるんだよ。見聞色使えなくても分かるんよ。



「じゃあ、どうぞ。入ってきて」



 来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな。



 多分絶対そうだけど、死ぬほどお願いする。マジで来ないでくれ。テンプレ展開とか知らん。辞めてくれ。



「ちゃろー! みんなよろしくね!」

「じゃあ、自己紹介を」

「はーい! 私の名前はプリムラ。苗字はないよ。ただのプリムラ。ってことでよろー」



 ……………………………………………………………は?



「それじゃあ、プリムラさんの席は……」

「せんせー。あーし、あの席がいいー」

「ん? アタシの席か? まぁ、構わないが」

「ありあとー」



 その転校生は委員長の席を指定した。

 そして、そこは僕の隣の席。



「よろしくー」


 そいつは僕の方を見て、いたずらっぽく笑った。

 ま、まさか……い、いや、そんな……。



「さっき家で会って以来だね。レンタロー」



 このクソ脚本が!!!


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