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自称コンサルタントのギャルが僕を魔王にしようとしてくる  作者: 結生


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14/22

タブレット

「ただいまー」



 さっきの美人のレイヤーさんに会った後、コンビニで適当に時間を潰して帰ってきた。



「やっと帰って来たー!」

「あ、あー。プリムラ。ごめんねー。帰ってくるのが遅くなっちゃって。いや~、こんな時間だし、もう寝ないとな~。明日も学校あるしさー。あ~、これからお勉強会する時間ないな~。早く寝ないと寝坊しちゃうもんな~」

「白々しいなぁ、もう。けど、寝坊は良くないから、とりあえず、これだけ説明させてね」



 そう言ってプリムラが渡してきたのは錠菓が入っていそうなタブレットだった。



「なに? ミンティア?」



 中を覗くと赤黒く変色したラムネのようなものが入っていた。



「え、なにこれ。マズそ」



 食欲をそそられない色に僕は嫌悪感を示し、プリムラにつき返そうとした。



「だ~め。それはレンタローが持ってなきゃ。いざってとき困るよ?」

「僕の口が臭いとでも言いたいの? 怒るよ?」



 毎日歯磨きしてるし、こんなものに頼らなくてもいいと思うんだけど。

 それにタブレット菓子ってそんなブレスケア効果ないでしょ。



「違くてぇ。それはレンタローの魔力を覚醒させるために必要なものなんだよ?」

「今なんて?」

「だからぁ、レンタローが魔王の魔力を使えるようにするためのものなの」

「なおさらいらないんだけど!」



 思っていた以上にヤバい代物だったので、即座に投げ返した。



「ちょっとー! せっかく作ったんだけどー!」



 プリムラは頬を膨らませながら咄嗟にキャッチした。



「大体魔王の魔力ってこの前覚醒させたんじゃなかったの?」

「あれはきっかけに過ぎないよ。本来は長い年月をかけて体を慣らしていって、好きな時に使えるようになっていくものなんだから。でも、今のレンタローじゃ自分の意思で魔力を解放できないでしょ?」



 言われてみれば、あの日以来、魔法が使える感覚がない。

 魔力が切れて回復に時間がかかっていると思っていたけれど、別の要因だったみたいだ。



「だから、しばらくはこの丸薬を飲まないと魔力が解放できないんだよ」

「嫌だよ。それなんか変な色してるし、お腹壊しそう」

「あーしの血を混ぜてるから、この色になるのはしょうがないじゃんね」

「うげ、それじゃ余計口に入れたくない!」

「え~、それって、またあーしとキスしたいってこと?」

「違う!! そもそももうあの状態になるのは勘弁したいんだよ! なんか自分が自分じゃなくなるような感覚があって、気持ち悪い」

「『誰かの死の上で生きるなんてそんな息苦しい生活なんて、ごめんだね』、だっけ?」

「やめろー!! 思い出させるな!!」

「『何度だって言ってやる。そのためなら魔王でも勇者でも返り討ちにしてやるさ』、……ぷふっ」

「無駄にクオリティ物まねすんな! 余計ムカつく!」

「えぇ~いいじゃん。かっこ……くふっ……よかったよ?」

「笑いこらえながら言ってんじゃねぇ!!」



 毎回プリムラにからかわれるなら、余計あの状態になんてなりたくない。



「ごめんってぇ~」



 まったく悪いと思っていない声音で謝りながら、僕のポケットに無理やりタブレットを突っ込む。



「それはお守りとして持っといて? 使う使わないはレンタローに任せるからさ」



 ここで言い合っていてもプリムラが引いてくれるとは思わない。

 だから、大人しくもらっておくことにした。

 どうせ使わないし、引き出しにでも入れておこう。

 プリムラと別れ、部屋に戻ると同時にタブレットを引き出しの一番下の段に放り込んだ。

 あんな危険物使わないに越したことはないんだから。





 翌朝。

 当たり前のように目が覚めてしまった。

 つい先月まではこの時間に寝始めていたのに、最近はプリムラやら梗夜君やらに無理やり叩き起こされるせいで、体が慣れてきてしまった。最悪だ。

 このまま二度寝を決め込んでもいいが、今の僕にその選択肢はない。

 二度寝するくらいなら朝ごはんを食べる。

 だって、梗夜君が作ってくれる料理がおいしいし。朝食抜いて二度寝するのがもったいない。

 さっそく着替えてリビングへ向かう。

 けど、リビングの扉を前にして違和感を覚えた。

 いつもなら梗夜君が作ってくれた朝食のいい匂いが漂っている。

 けれど、今日はいつもの匂いが全くなかった。

 少しだけ不審に思ったが、気のせいだと頭を振り払った。



「今日の朝食は……?」



 大人しく二度寝をしておくべきだった。

 規則正しい生活なんてするから、こんなことになるんだ。



「梗夜、君?」



 テーブルの横で倒れている梗夜君が目に入った。

 それと同時に聞き覚えのある声が耳に届く。

 視線を少しだけ上げると、優雅に紅茶を嗜んでいる女性の姿があった。



「昨夜ぶりですわね。唯野憐太郎?」



 それは昨日の夜に出会ったメイドのコスプレイヤーだった。


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