第十八話 祭りの準備
村に春が訪れた。
長い冬を越え、雪解け水が畑を潤し、野の花が咲き始め、鳥の声が響く。
村人たちは一年で最も大切な行事――春の祭りの準備に取りかかっていた。
冬を乗り越えられたことへの感謝と、新しい季節の豊穣を祈る祭りである。
サーシャもその準備に加わることになった。
村人たちはまだ彼女を「聖女」と呼ぶことにためらいを見せていたが、日々の祈りや助け合いの姿を見
て、少しずつ心を開いていた。
もふもふは子どもたちの人気者で、祭りの準備でも大活躍していた。
祭りの中心となる広場では、若者たちが木の枝を組み合わせて大きな門を作っていた。
そこに花を飾り、布を垂らして華やかにするのだ。
サーシャは子どもたちと一緒に花を摘み、色とりどりの花輪を編んだ。
「この花は赤いから、門の真ん中に飾ろう」
「青い花は空を表すんだよ」
子どもたちは楽しそうに声を上げ、もふもふは花を口にくわえて運んだ。
尻尾を揺らしながら走り回る姿に、広場は笑い声で満ちた。
サーシャはその光景を見て微笑み、胸の奥が温かくなるのを感じた。
王国で嘲笑され、孤独に沈んでいた日々とは違う。
ここでは、人々と共に春を迎える準備をしている。
祭りの中心となる広場では、若者たちが木の枝を組み合わせて大きな門を作っていた。
そこに花を飾り、布を垂らして華やかにするのだ。
サーシャは子どもたちと一緒に花を摘み、色とりどりの花輪を編んだ。
「この花は赤いから、門の真ん中に飾ろう」
「青い花は空を表すんだよ」
子どもたちは楽しそうに声を上げ、もふもふは花を口にくわえて運んだ。
尻尾を揺らしながら走り回る姿に、広場は笑い声で満ちた。
サーシャはその光景を見て微笑み、胸の奥が温かくなるのを感じた。
王国で嘲笑され、孤独に沈んでいた日々とは違う。
ここでは、人々と共に春を迎える準備をしている。
祭りでは踊りが披露される。
若者たちは色鮮やかな布を纏い、踊りの練習を始めた。
サーシャも誘われ、子どもたちと一緒に輪になって踊った。
最初はぎこちなかったが、もふもふが輪の中に飛び込むと、笑い声が広がり、緊張が解けた。
「もふもふも踊ってる!」
「尻尾が楽器みたい!」
子どもたちは声を上げ、もふもふは尻尾を揺らしてリズムを刻んだ。
サーシャはその姿に笑い、心が軽くなるのを感じた。
夕暮れになると、広場に焚き火が焚かれた。
炎の揺らめきが村を照らし、準備の疲れを癒した。
サーシャは祈りを捧げ、もふもふは子どもたちの膝に顔を埋めて眠った。
「神よ……どうか、この村に豊かな春を」
その祈りは夜風に溶け、星々に届いた。
村人たちは静かに耳を傾け、やがて頷いた。
彼女の祈りは弱くとも、心を癒す力を持っていた。
準備が整い、村は華やかに飾られた。
花輪が門を彩り、鍋には料理が満ち、衣装は鮮やかに揺れていた。
人々は笑顔を見せ、子どもたちはもふもふと走り回った。
サーシャは広場の端に立ち、胸に手を当てた。
王国で「偽物」と呼ばれた彼女が、ここでは人々と共に祭りを迎えようとしている。
孤独ではない。もふもふと、村人たちと共に歩んでいる。
「またみんなと春を迎えれますように」
その言葉は風に乗り、村の空へと広がった。




