第43話 スカウト②
俺は佐藤から警察手帳を見せて貰ったが本物だとは信用出来ず、名刺を貰い、更に警視庁の電話番号を自分で調べ、本当に佐藤正人という警察官が存在するのか電話をして確認した。
それからポストコグニション(過去知)を使い、実際に佐藤が警視庁本部に出入りする映像を頭の中で確認したところで信用する事にした。
「…行動力!…
お前本当にスゲェな、そこまで確認するか?」
「当たり前だろう!
高校生の警察官なんて聞いた事が無い、ヘンな犯罪組織だったらどうするつもりだ!」
そこで漸く自分が能力者だと認め、両親との事、不幸体質、鳴沢澪の事、佐藤と出会って初めて澪がアンチ・サイの能力者だと知った事、まだ澪には超能力の事をバラして無い事を説明した。
「……なるほどな、だからあの時ヒュプノシスを鳴沢澪に使ったのか…
なら鳴沢澪にも早く超能力の事をバラしてしまおう。」
「待て待て!
そんな簡単に大事な秘密をバラしていいのか警視庁!?」
「仕方ないだろう、鳴沢澪が居ないとお前はオチオチ外出も出来ないんだろ?
だったらバラして付いて来てもらうしか無いじゃないか。
それに、そもそも鳴沢澪だって超能力者なんだから、普通にスカウトするつもりだったぞ。」
「…という事は?」
「鳴沢澪にも警察官になってもらう。」
「…ハァ…知らんぞ、いくら何でも本人が納得するとは到底思えない…。
それに俺もまだ警察官になるとは言ってない。」
「…最初に謝っておくぞ、済まない…。
オレがお前を見出したせいで、お前という超能力者の存在は、既に一部の人間に知られてしまった。
人の口に戸は立てられない。
お前の能力が凄ければ凄い程、これからあっという間にお前の事は裏の人間や超能力者業界に知れ渡るだろうよ。」
「超能力者業界って何だよ!?」
「超能力者を有する各国の政府関係者、軍関係者、警察関係者、その他の犯罪組織等だよ。」
「おいおい、マジかよ、ウソだろ……
超能力者なんて俺以外には周りに誰も居ないと思ってた…
片田舎に住むちっぽけな存在だぞ、俺は!」
「 お前が鳴沢澪という存在を得て、片田舎から皇居に出て来た瞬間、総ては始まってしまったんだ。
オレ以外の軍関係者や犯罪組織に、先に見つからなかっただけ良かったと思ってくれ。
残念だが平穏に生きる事は諦めろ。
お前には幾つかの選択肢がある。
1つ目は警察官となって治安維持、簡単に言えば悪い犯人を捕まえて、影ながら国家と国民に安心、安全を与える存在となる事。
2つ目は、自衛隊にも超能力者の特殊部隊がある、そこに所属して国を外国の脅威から守る存在となる事。
3つ目は、警察官や自衛隊員となるのを断って、お前の超能力を犯罪に使ってやろうとする組織等から狙われるのを覚悟し、死ぬまでビクビク怯えながら生活する事。
後は超能力を悪事に使わないかどうか、警察関係者から監視が四六時中付くだろうな。」
「……解った、何日か考える時間を貰っても良いだろうか。
澪には俺から話をする、必要があったら立ち合いを頼む。」
「あぁ、お前の人生の分岐点だ、よく考えろよ。
良い答えを期待している。
それから、親御さんの説得が必要なら、警察庁の大人達が出向いて上手く丸めてくれるから心配すんな。」
俺達がスマホを出して連絡先を交換したところでチャイムが鳴った。
「おいおい、昼休み終わっちまったよ、パン1個で午後を乗り切れるか…。
じゃ、又な。
あぁ、言い忘れてた、お前の連れのもう1人の平川七瀬な、彼奴も野良の能力者だぞ。
お前達が警察官を選んだ場合、彼奴を誘うつもりがあるなら、ついでに話しておいてくれ。」
「あっ、オイ!何の能力者だよ!
いつ調べたんだ、オマエは…。」
「さっきの休み時間に、コッソリな。
本人に聞けば分かるさ、やっぱ能力者は自然と集まっちまうものなのかねぇ…
そんじゃな。」
佐藤はパンに齧りつきながら校舎に繋がる扉を開け、階段を降っていった。
俺は突然訪れた人生の選択に戦慄き、フェンスに身体を預けながら、その場で立ち尽くした。
ブサイクな俺が夜空を見上げていたら…
という作品も読んでいただけたら嬉しいです、よろしくお願いいたします。
アンチ・サイ
その人のそばにいる事で、他者の超能力を消す事ができる。自身の超能力も相殺する為、他の超能力を同時に持つ事はできない。また、霊的存在もアンチ・サイ能力者には憑依できない。
澪の場合は凪の不幸も相殺する力とする。
ポストコグニション(過去知)
予知とは逆に、過去を見る事が出来る能力。
ヒュプノシス(催眠)
他者に催眠をかけ、眠らせたりすることができる。




