第42話 スカウト①
昼休みに購買でパンとお茶を買ってから屋上に行くと、先に佐藤がイラついた表情で俺を待っていた。
「おい佐竹凪、普通は真っ先にオレの正体とか、何で彼奴が学校に…とか、心配したり気になったりしないのか!?
パン買いに行くとか、結構余裕じゃねーか!
意外と待ったぞ!?」
「勿論気になるが、人間誰しも腹は減るし、もうオマエ一応この学校の生徒だろ?
だったら今更ジタバタしたって仕方ねーじゃねーか。」
「そりゃそうだがお前…結構大物だな。」
佐藤は苦笑しながらも俺からパンを1つ取り上げる。
「おい、黙って持って行くなよ、図々しいヤツだな…
まぁ一応オマエの分も買って来たが。
転校初日で購買の場所なんて知らねーだろ?」
「お前どう見ても陰キャぼっちなのに気が利くな、有り難く貰っておくよ。」
「陰キャぼっちは関係ねーだろ!
…で、オマエは何者で、どうやって俺の事を探し出せた?
そして何故俺の前に現れたんだ、態々転校までして来て。」
「やっと本題に入れるな、あれからお前を捜すのに苦労したよ、尤も苦労したのはオレじゃ無いがな。
改めて自己紹介だ。
オレは警察庁から警視庁公安部特殊犯罪対策室に出向している警察官、巡査部長、佐藤正人だ。」
「ハァーっ!?
オマエ、どう見たって高校生だろ?
高校生が公務員になれるワキャねーじゃねーか!
頭大丈夫か?」
「うるせぇ、人の話は最後まで聞け!
オレもお前も能力者だろが!
テレパス使って直接お前の脳みそに話し掛けてもいいが、お前オレのテレパス弾くだろう。
…お前は知ってるか知らないか判らないが、この世の中少ないとはいえ能力者は世界中に存在している。
だが世間じゃ、超能力なんて科学的に証明出来ないモノは存在しない事になっている。
しかし実際はその無い事になっている能力を使って常識の無いアタマのイカれた連中が罪を犯すんだ。
そんな特殊な犯罪者を捕まえるのがオレ達特殊犯罪対策室の警察官だ。
普通は試験を受けて公務員として警察官になるんだが、超能力を持った警察官なんてまず居ない。
だから、超能力を持った人間を警察官に任命するんだよ、善の心を持った人間をな。
オレは高校生だが、とある人にスカウトされて特別に警察官になったのさ。
さて、本題だ。
佐竹凪、オレはお前をスカウトに来た。
警察官になって、オレ達に力を貸してくれないか。」
「オマエ、急に…何を話すのかと思ったら…。
…善の心なんて、どうやって判断するんだ、俺が罪を犯す者だとは思わないのか?」
「お前と接触する前に、少しはお前の事を調べたさ。
先ず、この場所が判ったのは普通に防犯カメラを辿ったのさ。
さっきも言ったが超能力を持った人間なんて極少数だ、お前の事を能力を使って辿れる能力者が居なくとも、オレ達は警察官だ、現代の科学力とマンパワーを使って捜査をするさ。」
「…しまった、油断してた(ロジックマスター使うの忘れてた)、まさか人海戦術で来るとは…。」
「…それからお前の過去も、お前が住んでいるこの街も調べた。
聞き込みによるとお前の両親は、お前の交通事故を境にお前の事を気味悪がっているな、そしてそれからお前の活動範囲内では事故が多く発生している。
それは都内に引越して来てからもだ。
しかし車両損傷の大きな事故の発生がある割には負傷者や死亡者が居ない。
それは何故か?
…最近、事故現場にあった防犯カメラには、ガードレールに車で突っ込んでグッタリしている負傷者とお前が偶々映っていてな…
後は言わなくても解るだろう。
これだけの情報でもお前が良い奴だという事は解る。
しかし、解らないのはこの事故の多さだ。
…まさか、お前がわざと事故を起こしてるんじゃないだろうな?」
「そんなワケねーだろ!
…その話をする前に、本当にオマエは警察官なのか?
証拠を見せろ。」
「……ハッ……!!
そういえば今思い返すと凄いな!
お前、オレとの会話の中で、自分が超能力を使えるって事を一切口に出して認めて無いよな。」
「超能力?知リマセンナ。
ナニソレ、オイシイノ?」
「…お前、そのスタンスをいつまで続けるつもりだ?」
「…オマエが本物の警察官だとハッキリしてからだ。」
「お前…ブレねぇな…
ある意味スゲェ、本当に大物だよ…。」
凪は第3話の本音でも言ってましたが、場合によって、口調も砕けます(笑)。
ロジック・マスター
近年確認されるようになった、コンピューター関係の能力。簡単に言えば、精神的にコンピュータに干渉し、コンピュータを自在に操る能力。アンチ・サイの影響を受けないこともあるらしい。




