第41話 来訪者
ー1週間と2日後ー
「来ちゃった。ハァト」
「来ちゃった、じゃねーよ!!」
……ハッ……!
俺は陰キャぼっちの設定なのに、月曜日の朝のホームルーム中にクラスの皆んなの前で椅子から立ち上がりながら思わずツッコミを入れてしまったではないか…!
教室の中は俺が大声でツッコミを入れたせいか、はたまた転校生がウチのクラスに来たためか、かなりザワついている。
澪も俺の方を見ながら、知り合いなの…?みたいな表情をしている。
俺はその疑問に対して、頭を左右に振って否定する。
どうして俺がクラスの中で目立つ様な失態を犯したかというと、何故かあの金髪ツンツン変質者が髪を黒色に染め上げ、学校指定の制服を着て伊東先生と共に教壇に立っているからであった。
「何だか佐竹と知り合いの様だな。
まぁ後で話せや、取り敢えず自己紹介をしてくれ。」
伊東先生が変質者…イヤ、転校生に話を振ると、転校生は黒板にチョークで名前を書き出した。
「オレの名前は佐藤正人、訳あってこの学校に転校して来た。
これからヨロシクな、特に佐竹凪…フッ…。」
「キャーッ!! 何、何!?
あのゴリマッチョイケメン、佐竹君の知り合いなの!?
まさか、訳って、佐竹君を追い掛けて来た感じ?」
「BLでも始まっちゃうの? キャーッ!」
「でも相手が佐竹じゃあねぇ…
萌えないわ…。」
「「「それなー。」」」
という女子の会話が聞こえる。
ちょ、ちょっ、待て待て、そんな訳あるかーいっ!!
って、名前も把握されてる…当たり前か、態々同じクラスに転校して来るくらいだから、こちらの個人情報は既にバレていると思った方がいいし、学校にも融通を利かせられる力もあるのか、もしくは先生達に何か能力を使っているのか…。
しかし、どこまでコチラの調べがついているのか、家族関係から能力から全てバレているのか…
どうする…?
イヤもう、どう仕様もない、アイツとよく話し合いをするしか無いか…。
「じゃあ、廊下から2列目の1番後ろの空いている席に座れ。」
なんと、席まで直近か!
伊東先生が佐藤に指を指して席の場所を教えると、佐藤がコチラの方に向かって歩いて来る。
佐藤が俺の方をニヤニヤしながら見ているので、
「後で話がある、昼休みに屋上に来い。」
俺が小声でそう言うと佐藤は席に座りながら、同じく小声で答えた。
「お前の彼女も一緒じゃなくていいのか?」
「あぁ、俺が独りで行く。」
「…じゃぁ、後でな。」
佐藤は笑いながら、黒板の方を向いた。
昼休みに変質者と話をするから、七瀬と2人で俺の事を探しに来ないでくれ、と授業の合間の休みで澪に頼みに行った。
「凪君、彼とは本当は知り合いなの?
貴方には珍しく、皆の前で大声をあげてたから…。」
俺と澪が佐藤の方を見ると、佐藤は自席で数人のクラスメイトに話し掛けられながらも不敵な微笑みを浮かべ、コチラを見ていた。
「全然知らない変質者が、突然同じ学校の同じクラスに転校して来たんだ、驚かないワケが無いだろ?
それに天守台の時みたいに突然襲われたら澪が危険だから、先ずは俺1人で話をさせてくれ。」
本当は襲われてはいないが、適当にウソをついてしまった。
「…本当に大丈夫なの?」
「あぁ、俺が荒事に強いのは知ってるだろう?
任せておけ。」
「私、荒事…とか言ってる人、初めて見たかもしれないわ…。」
「……………。」
…もう澪の口ぐせの様になってるが、俺の言葉遣いはそんなに古臭いだろうか…
まぁいい、澪は能力の事を知らないので、話し合いには参加させられない。
俺は過去に無い、能力者との話し合いという初めての経験に緊張していた。




