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第69斤

 配信が終わる。


 そしてそれを待っていたと言わんばかりに、僕の手が蒸発を始めた。


 白くて、温かくも冷たくもない煙が、僕の指先を蝕みながら勢いを増していく。


「ははははあっはああはあっはあはあはははははっっはあははあはは!!!!! やったぞ! 成功だ!」


 うごたがビデオカメラの操作を中断し、自身の両手から猛烈な勢いで立ち上る煙を見て興奮を隠しきれない様子で笑った。ビデオカメラが床に落ちる音は、その声でかき消された。


「後は賭けだ。このまま永遠に消滅することになるかあいつらの元に行けるかどうかのなぁ! せっかくだから教えてやるよ。なんで俺たちがこれから消えることになるのか、そして陽咲がなんで消えたのかなぁ! それはなあ! この」


 うごたは目にも止まらぬ速さで全身を侵食していく煙に足先から口までを瞬時に消された。


 僕が瞬きした後にはただただ天井に昇り、次第に薄くなってゆく煙だけが残った。


 ポケットからスマホがけたたましい音で着信を告げた。一体誰だろうか、そう思ってスマホを取り出そうとしたが、取り出すための手はもう残っていなかった。でも、切断されたような痛みは無かった。その感覚すらも消滅したかのように。


 脳裏に、彼女の顔が浮かんだ。


 僕は、必ず、君を――。


 続きの言葉を口に出そうとしたときには、口すらももう消えていた。


 そして、僕の意識は途切れた。

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