第53斤
仙台駅に新幹線が到着し、ルイちゃんを起こすと(どうやら本当に寝ていたらしい)、僕たちは駅構内を歩いて地下鉄へと乗り込んだ。先ほどスマホで色々と調べたところ、終着駅付近に日羽が通う大学と住んでいるアパートがあるとわかったので、そこまで行くのに苦労することはなさそうだった。
そして今は、地下鉄と言いつつ外を走る地下鉄のロングシートに3人並んで座っている。ちなみに真ん中はルイちゃんである。僕が端に座るとすぐに隣を確保してきた。白野さんはそれを見て何とも言えない顔で軽くため息をつくと、ルイちゃんの隣に座った。
平日昼間の地方都市だということもあってか、最寄り駅から東京駅までの在来線とは桁違いに空いていた地下鉄は15分程で終着駅へと辿り着き、僕たちはホームへと降りたった。その瞬間、首都圏とは違う雰囲気や空気を肌で感じ取る。外に出ると、郊外とはいえ大きな駅ビルや周囲に立ち並ぶ商業施設から住みやすい都会といった印象を感じた。
「とりあえず、住んでるマンションに向かおう」
「う、うん……」
見慣れぬ風景への戸惑いからか、すっかり無口になってしまっている白野さんとルイちゃんを引き連れて、僕は広い通りを歩き、舞原日羽の住むマンションへと足を進めた。
川沿いにある大きな公園のすぐ側に、日羽が暮らしている真新しいベージュ色をした5階建てのマンションはあった。
それなりの急勾配である階段を最上階まで登りきり、最端にある扉の横にあるインターホンを鳴らす。しかしインターホンから声が返ってくることはなかった。後ろにいる2人に悟られないように、滲み出る汗を腕で拭い取る。
もう一度LINEからメッセージを送り、通話を試みるが、やはり出ることはなかった。アプリを閉じ、ブラウザで『八木やまい 炎上 』と調べてみるが、関連性のありそうなものは出てこなかった。もう一度インターホンを鳴らすが、何も反応はなかった。ノックもしてみるが、何も起こらなかった。嫌な予感が背筋を伝い、足下に零れ落ちる。
「大学……とか……行ってみたらどうかな……」
何も見えないドアスコープを覗いていると、隣から白野さんがそう言ってきて、少しだけ冷静さを取り戻す。
そうだ。決めつけるのには、まだ早い。
「……行こう」
僕は振り向き2人に言うと、スマホの地図マップに「仙泉大学」と入力し、そこに向かってマンションを後にした。




