第22斤
わっちんがホラゲ配信をしてから早2週間が経過していた。あれからわっちんは今までと変わらず、雑談だったりゲームだったり歌だったりの配信を続けている。
しかし、ゴースティング疑惑が浮上していた富良らんすはゴースティングを行っていたことを全面的に認め、大会の優勝が取り消されるとともに、無期限の活動停止処分を受けた。わっちんの方にもこういう行為は絶対にしないよう事務所から連絡が来たらしい。
それと豚になった方――ドリーマーズオブザーサイは、炎上の原因となったうぇん抜きでの動画投稿が行われていた。他のメンバーはうぇんが不在であることについて全く言及していないけど、多分富良らんすと同じように謹慎処分とかをさせてるんだろう。
僕と白野さんの関係については、一緒に登下校したり、借りた服を返すついでにまた家に行ったり、一緒に昼食を食べたり、配信をまた目の前で見学したり、配信であったことで盛り上がったり、何気ない会話を日々楽しんだりしていた。
僕たちの関係をどう形容していいのかはちょっとまだわからないけれども、とりあえず友達にはちゃんとなれた気がする。オドオドしてないわっちんモードでよく話してくれるようになったし。たまにまた白野さんモードに戻ったりもするけど。
「ねぇ……舞原くん……!」
そして今は、2人で一緒に学校まで登校しているところだ。白野さんはにこやかな笑顔で僕に話しかけてくる。何か嬉しいことでもあったのだろうか。登録者数なんかは段々増えてきてはいるけど。10万人突破もそう遠い未来の話ではないはずだ。
「なに?」
「実はね……明後日……」
「明後日?」
「ムリムちゃんとコラボ配信することになったの……! オンラインでだけど!」
「マジで?」
「マジで!」
マジか。遅かれ早かれやるだろうなとは思っていたけど、思っていたよりも早かったな。
「あれから裏で色々とやり取りしててね、それで明後日一緒に配信しようって話になったんだよ!」
「そっか」
「なんかテンション低くない!?」
白野さんは右隣から僕の顔をジト目で覗き込みながら指摘してきた。初めて他の誰かと絡むわっちんが見られるなんて、僕だって素直に嬉しいのに。
「君のテンションが高すぎるんだよ。2週間前は今の僕よりも低かったよ」
「う……! それは……その……」
「その?」
「舞原くんになら……こういうテンションでも……大丈夫かなって……」
白野さんは足元を見てもじもじしながら小声で言った。
「君がそういうテンションで接したいのならそれでいいよ。僕だってそっちの方が好きだし」
「ほんと……!?」
「本当だよ。あと、その配信は僕も楽しみだよ」
「私も……楽しみ!」
白野さんが屈託のない笑顔で僕を見る。
「可愛いね」
「じゃじふぁふぁえあ!?」
思ったことを素直に言ったら白野さんは理解不能な声を出しながら僕の肩をべしべし叩いてきた。
「もうっ!」
「ところで配信では何するつもりなの?」
「あふぁふぁえ…………えっと……私の方の配信ではディエゴパーティーやるつもりだよ。GSBは今ちょっと……アレだし……」
「ディエゴパーティーも大分アレだけどね」
「それはその……ツッコミまくって盛り上げる方向で……」
「できるの?」
「頑張る……」
自信無さげに白野さんは言った。大丈夫だろうか。
「明々後日はムリムちゃんのチャンネルで配信することになってるんだけど、そっちの方も似たような感じのパーティーゲームやるみたい」
「アレに似たゲームあってたまるか」
「そ、そうだよね。似てないゲームがいいな……」
白野さんの笑顔が苦笑いに変わった。まぁリムリムならどんなゲームでもきっと面白おかしく盛り上げてくれるだろうし大丈夫か。
「ま、とにかく明後日、楽しみにしてるね」
「うん……! 楽しみにしてて!」
そうして僕たちは、白くて四角い豆腐みたいな学校へと、歩みを進めていった。




