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召喚のみでやってきます!  作者: オスめこ
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初めての冒険①


 大した活躍は出来ていないのだし、せいぜいがポーションの補填だと思っていた特別報酬。

それは明らかに今の段階では持て余すような代物だった。いや、前のがハイエナもどきの石で、今回は竜て。差がデカすぎんだろ。


「いやいやいや、受付さん。それはいくら何でも多すぎませんか。色んな意味で。絶対扱いきれませんよ!」


「ええまあ、正直私個人としてもそう思うのですが、これは仕方がないのです!今回襲撃してきた偽竜ですが、その素材に秘める価値はとても高く、本店の方に今回の出来事を伝えた際、軒並み徴収されてしまったんです……本当なら使いやすい前腕の皮膚とか、鱗棘とかお渡ししたかったんですが……」


そういうと受付さんはよよよと涙ぐんでしまった。じゃあなんで魔石は残ってるのとツッコミたいが、なんだかこちらが泣かせてしまったようで非常にばつが悪い。どうするかと悩んでいると、後ろから声が飛んできた。


「あ~気にせんでいいぞ坊主。全部そいつが悪いからな。3匹炭に変えた挙句、召喚した亀が何匹か齧ったもんだから、分配がぐちゃぐちゃになっただけだ。まったく、偽竜の素材なんざ王都と城砦で常に求められているっちゅうに」


「しょうがないじゃない。タナちゃんも久しぶりに呼んだから張り切ってんだもの。ただ、いくら何でも亡骸をほぼすべて持っていかれるのは誤算だったけど」


そう話すと、僅かにゴルさんの表情に強張った。先ほどまでぱかぱか飲んでいたジョッキを置く。どうにも不穏そうな話題らしい。対する受付さんも気の抜けた顔は失せ、一つの紙を取り出した。


「今回の不自然な偽竜共の飛来、坊主を襲った混沌の兵士。しかも村から離れてすぐの場所だ。半鐘も碌に機能していない辺り、明らかな非常事態だ。ゴブリンズが巡回し確認しているが、王都のほうもヤバいのか?」


「前線は動きなし。局所的な小競り合いはちらほら見られるけど、抜かれた様子はないわね。というかあちら側も攻めてくる様子はないし。とはいえ、生活必需品、糧食の輸送は周辺の地区を調べても増量傾向にあるから、何かしら動きがあるのは確実でしょうね…今回の件は北部との因果関係は薄いと判断したらしいけど、こっちの事情も気になるみたい。調査の為何人か探究者が派遣されるらしいわよ」


「そいつはありがたい。しかし北部とは違うとなれば、今回の件は≪裂け目≫からか…?ま、今は気にしてもしゃあない。ほれ坊主。報酬受け取ったらさっさとこっちこい!まだ飲みたりんだろう」


「……いろいろ質問したいですけど、先ずは魔石の方です。どのくらいの大きさになるのでしょうか?」


またこちらが分からない単語だらけだが、とにかく今の俺が気に掛ける部分はそこだ。まさか腰に付けた雑嚢に入りきる大きさとも思えないし。部屋の木箱に収納できるだろうか。


「そうですねぇ、サイズは凡そ人間一人分くらいです。あ、場所の確保でしたら問題ありませんよ。こちらで預かりますので。もし調合する際は、必要分を砕いて魔晶液にするか、別途に使用して下さい」


「預かってくれるんですね。でしたら、使い道が分かるまでそのままにしときます」


「ふふっ。竜の魔石ですから、単純な魔晶液に変えるだけでも、かなりの量になります。いずれ新たな呪文書や装飾をする際に必ず使いますから、大切にとっておきましょうね。さて、【ソーニャ】さん。今日はこれからどうするつもりですか?」


「…本当は何かしら依頼を受けて、自力を高めていきたいと思うのです。何か受けることは出来るのでしょうか?先ほどの襲撃でできないとなれば、大人しくゴルさんと飲んでおきますけど」


そう話すと酒飲み爺さんが嬉しそうに瓶を並べだした。多種多様な、色とりどりの小瓶はすべて酒なのだろう。あの爺さん。余程酒飲み仲間が出来たのがうれしいのだろうか。いや飲みたいけどもさ。海外のお酒って中々想像できないような物も混じっているし、特にこちらはファンタジー世界。いったいどんな色物が出てくるのやら。


「ええ、いくつかの依頼がありますよ。いったんこちらに掛けて下さい。一緒に確認しましょう」


「受けることできるんですか?さっきたしか半鐘がどうとか言ってましたけど」


カウンターの椅子に腰かけ共に帳簿を眺める。この体が小さい為、イスに座り込むと足が浮いてしまうが、この感覚、子供のころを思い出して少し懐かしい。


「本来でしたら、我々秩序側が住まう場所には相応の防衛網を割いております。一定の距離に敵対勢力が近づいた際に警報を鳴らす半鐘。そして生活共同体を襲撃から防ぐ結界。この二点と駐屯する兵士や私達魔術師が対応するといった形ですね。今回の襲来では半鐘が機能していなかったので、現在調査をしている最中なのですが…」


「まあ、偽竜をあれだけ倒したんだ。北の方と関係がないんだったら、今すぐにでかい規模の戦が始まるわけではないだろう。坊主。もし腕を鍛えたいなら依頼をこなしていけ。近くにある洞窟(ダンジョン)に潜り込んで素材をかき集めてもいいし、とにかく魔法を使うこったな。使うだけ徐々に扱える量も増える」


「…そういう訳で、依頼を受けること自体に問題はないと判断しました。そしていまの【ソーニャ】さんにおすすめなのがこれです!」


そういうとひとつの依頼書を差し出してきた。そこには他の村に向かう道付近に虎の魔物がでたという内容で、往来に困る為討伐して欲しいとのこと。当然写真などはないが、受付さん曰くかなり大柄らしく、以前戦ったフレイマーよりも大きいとか。全長でいったら3mくらいありそうだ。


「こちらのヒュージタイガーですが、討伐した暁には騎獣として扱うことが出来る呪文書を報酬にお渡ししますので、ぜひ頑張って下さい。自由に使える足があるのとないのでは冒険に大きな影響がでますから」


「移動手段が貰えるのはいいですねー分かりました。これを受けます!」


ちなみに今回受けられるランクはE-らしい。ランクとは依頼を受ける際に基準とする格付けで、F~Aの中いずれも±などをつけて難易度を振り分けているとか。それを実績や受付さんが見極めて進めるらしい。依頼を受けること自体はどのランクでも問題ないらしいが、身の丈に合わんものを受けると、大抵は手も足も出ず敗北するそうな。

E-、新人が挑むには少し難しい部類に入る難易度らしい。だが移動手段を手に入れられるのはデカい。この体だと歩幅が小さく、移動するだけでも時間と労力を使うので、なるべく早く手に入れたかったのだ。


改めて準備する物はなく、先ほど貰った鞄をしょい込み、入口に向かう。


「というわけで、酒盛りはまた次回ですね。ゴルさん。受付さん。行ってきます!」


「なあに、帰ってきたら飲めばいい。行ってきな!」


「私もお待ちしておりますよ。頑張って下さい♪」


遂に一人きりでの冒険。まだ数回しか遊んでいないが、今まで常に誰かしらいたので寂しさも少しある。だが、ようやくなにかが始まったような気がして、気が付けば駆け足気味で外に飛び出していった―






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