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レベル1のおっさん、ダンジョン配信を始めたら世界最強だった  作者: tama


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26/61

第四の選択――世界を作り直す

 ――静寂。


 世界中の時間が、


 一瞬だけ止まった。


 空に浮かぶ三つの選択肢。


【① 世界を救う】

【② 世界を捨てる】

【③ 世界になる】


 そして。


 そのすべてを否定するように、


 直人は拳を握った。


「④を作ります」


 零が目を丸くする。


「……本当に?」


「はい」


「どんな選択肢?」


 直人は少し考える。


「世界を救うんじゃなくて」


「捨てるんでもなくて」


「世界になるんでもない」


 天音が静かに聞く。


「じゃあ……何?」


 直人は空を見る。


「みんなで決められる世界にする」


⸻


■選択肢の拒否


 巨大な瞳が、


 空を覆っている。


『第四の選択肢は存在しない』


「そうですか」


『選択肢は三つ』


「でも」


 直人は笑う。


「俺たちには関係ないですよね」


『……』


「誰かが用意した選択肢から選ぶ必要なんてない」


 直人の拳に光が集まる。


「自分で作ればいい」


『それは――』


 初めて、


 巨大な瞳の声が揺れた。


『許可されていない』


「また許可ですか」


 直人は苦笑する。


「じゃあ」


 一歩前へ。


「許可なしでやります」


⸻


■世界の反撃


 ――ゴォォォォン!


 大地が揺れる。


 空が割れる。


 海が逆流する。


 世界中のダンジョンが、


 一斉に開き始めた。


【最終防衛機構】


【起動】


 地上に、


 無数の魔物が現れる。


 しかし。


 その姿は今までとは違っていた。


 巨大。


 異形。


 そして――


 すべてが直人を見ている。


 恒一が剣を構える。


「来るぞ!」


 美月も武器を握る。


「数が多すぎる!」


 蓮が前に出る。


「なら、全部倒す」


 天音が直人を見る。


「直人」


「はい」


「私たちも戦うよ」


 直人は笑った。


「お願いします」


⸻


■最後の防衛線


 魔物の群れが押し寄せる。


 ――ドドドドドッ!


 恒一が駆ける。


「うおおおおっ!」


 剣が閃く。


 一体。


 二体。


 三体。


 次々と魔物を倒していく。


 美月は後方から魔法を放つ。


「――全部まとめて!」


 巨大な光が炸裂する。


 蓮は魔物の懐へ飛び込む。


「遅い」


 一撃。


 二撃。


 敵を次々と沈める。


 そして天音は、


 直人の隣に立っていた。


「私たちも行こう」


「はい」


 零も並ぶ。


「兄妹で?」


「もちろん」


⸻


■兄妹


 直人と零が同時に走る。


 直人が拳を振るう。


 零がその反対側を攻撃する。


 ――ドォン!


 巨大な魔物が吹き飛ぶ。


「息ぴったりですね」


 直人が言う。


「当たり前」


 零が笑う。


「兄妹だから」


「そうですね」


 二人は同時に拳を構える。


「「次!」」


 ――ドン!


 世界が震える。


⸻


■最後の魔物


 しかし。


 魔物の群れが消えたあと。


 地面から、


 さらに巨大な存在が現れた。


 高さ――数千メートル。


 その姿は、


 人間に似ていた。


 だが。


 顔がない。


 胸の中央に、


 一つだけ巨大な目がある。


『最終防衛個体』


『名称――』


 文字が浮かぶ。


【世界】


 美月が凍る。


「……世界?」


 恒一が呟く。


「こいつ自体が……世界なのか?」


 天城が答える。


「違う」


「これは世界が自分自身を守るために作った存在だ」


 蓮が聞く。


「つまり?」


 天城は言った。


「世界そのものの意思だ」


⸻


■世界の意思


 巨大な存在が、


 直人を見る。


『佐伯直人』


『お前は世界を変えようとしている』


「はい」


『世界は変化を拒否する』


「でも」


 直人は前へ進む。


「変わらないものなんてないですよ」


『否』


 巨大な拳が振り下ろされる。


 ――ズドォォォン!!


 地面が砕ける。


 直人は吹き飛ぶ。


「直人!」


 天音が叫ぶ。


 しかし。


 瓦礫の中から、


 直人が立ち上がる。


「……痛い」


 口元を拭う。


「でも」


 笑う。


「まだ立てます」


⸻


■世界より強いもの


 零が叫ぶ。


「お兄ちゃん!」


「大丈夫です」


 直人は拳を見る。


 そこに、


 新しい文字が浮かぶ。


【適応開始】


 さらに。


【対象:世界】


【環境:敵対】


【適応率――】


 数字が高速で上昇する。


【12%】


【35%】


【71%】


【99%】


 そして――


【100%】


 世界が、


 一瞬沈黙する。


『……何?』


 直人が顔を上げる。


「分かりました」


『何を理解した』


「世界って」


 直人は笑う。


「こういうものなんですね」


⸻


■世界への適応


 直人の身体から、


 世界と同じ光が溢れ始める。


【世界構造】


【因果】


【時間】


【空間】


【生命】


【死】


 すべての情報が、


 直人の中へ流れ込んでいく。


 天音が息を呑む。


「直人……」


 蓮が呟く。


「世界そのものに適応してる」


 天城は青ざめる。


「そんなことが……」


 零が笑う。


「できるよ」


「だって――」


 零は直人を見る。


「お兄ちゃんだから」


⸻


■世界との対話


 直人は、


 巨大な存在の前に立つ。


「あなたは」


「世界なんですよね?」


『肯定』


「なら」


 直人は拳を下ろす。


「殴る必要はないですね」


『……?』


「話しましょう」


 世界が沈黙する。


「俺は世界を壊したいわけじゃない」


「みんなが生きていける場所を残したい」


「だから」


 直人は手を伸ばす。


「一緒に変わりませんか?」


⸻


■世界が初めて迷う


『……変化は』


『恐怖だ』


 世界の声が、


 初めて弱くなる。


『変化すれば』


『今まで存在していたものが失われる』


 直人は答える。


「そうですね」


『ならば、なぜ変える』


「失うだけじゃないからです」


 直人は仲間を見る。


「新しいものも生まれる」


「出会いも」


「思い出も」


「未来も」


 天音が微笑む。


 美月も頷く。


 恒一が剣を肩に担ぐ。


 蓮が笑う。


 零が直人の隣に立つ。


「だから」


 直人は言う。


「未来を選べる世界にしたい」


⸻


■世界の答え


 長い沈黙。


 そして。


『……理解した』


 巨大な存在が、


 ゆっくりと膝をつく。


 空が青く戻っていく。


 大地の揺れが止まる。


『第四の選択肢を――』


 文字が浮かぶ。


【④ 世界を共に作る】


 直人が笑う。


「これです」


 しかし。


 その瞬間――


 世界のさらに上から、


 一つの声が響いた。


『――承認しない』


⸻


■本当の敵


 全員が空を見る。


 そこには、


 何もない。


 ただ、


 黒い亀裂だけが存在している。


 その奥から、


 一人の男が歩いてくる。


 黒い服。


 白い髪。


 顔は――


 直人と同じだった。


「……また俺?」


 直人が呟く。


 しかし。


 零が震える。


「違う」


「お兄ちゃんじゃない」


 天音も、


 その男を見て息を呑む。


「じゃあ……誰?」


 男は微笑む。


「初めまして」


「佐伯直人」


 そして。


「私は――」


 その瞬間、


 世界中の文字が一斉に消える。


「お前たちを作った“原型”だ」


⸻


■原型


 直人の表情が変わる。


「原型?」


 男は頷く。


「そう」


「零も」


「お前も」


「天音も」


 天音の名前が出た瞬間、


 天音の身体が震える。


「……私も?」


「そうだ」


 男は笑う。


「すべては私から始まった」


 零が叫ぶ。


「嘘!」


「ならば」


 男が手を上げる。


 零の身体に、


 無数の亀裂が走る。


「……っ!」


「零!」


 直人が駆け寄る。


 しかし。


 零の身体が、


 光へ変わり始める。


「お兄ちゃん……」


「零!」


「逃げて……」


「嫌です!」


「この人は――」


 零が涙を流す。


「私たちより……ずっと強い」


⸻


■最後の一文


 男は静かに笑った。


「当然だ」


 そして直人を見る。


「私は――」


 一歩。


 直人の前へ。


「お前が“無限適応”を手に入れる前の存在だ」


 直人が拳を握る。


 男も拳を握る。


 世界が震える。


「つまり」


 男が告げる。


「お前の力のすべてを――」


「私は最初から持っている」


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