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月と二人の勇者  作者: あると


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第九章 オルタネーション2


ルミナたちがエルフの里に到着した瞬間、

空気が異様に静まり返っていることに気づいた。


風が止まり、

世界樹の光は弱く、

森全体が息を潜めているようだった。


「……嫌な気配だな」

ソフィアが低く呟く。


三人は門へ向かって駆け出した。


門へ向かう途中、

地面に沈み込むように倒れた影が目に入った。


「ラクマ……!」


ルミナは駆け寄り、抱きかかえる。

呼吸はあるが、意識は戻らない。

身体の骨は所々砕かれ周囲には、重力が乱れたような魔力の痕跡が残っていた。


ソフィアが杖を構える。


「ここは私に任せい。

 お前たちは先に行け」


杖を地面に叩きつけると、

柔らかな光が森一帯を包み込んだ。


魔力の流れが再び繋がり、

倒れていたエルフたちの身体がゆっくりと緩む。


ルミナは涙を拭い、サンと共に門へ走り出した。


門をくぐった瞬間、

ルミナは息を呑んだ。


里のあちこちにエルフたちが倒れている。

魔力の乱れが空気を重くし、

世界樹の葉は茶色に変色し始めていた。


「ひどい……

 まさか……ルナが……?」


胸が締めつけられるように痛む。


サンは無言で周囲を見渡し、

黒い瞳にわずかな揺らぎを宿した。


その時、

最奥から強烈な魔力の波が押し寄せた。


ルミナたちが駆けつけると、

そこには信じがたい光景が広がっていた。


ルナとリフレが並び立ち、

その前にはリーフが膝をつき、

腕の中で里長が静かに横たわっていた。


里長の背には、

深い傷が刻まれていて周囲は真っ赤に染まっていた。


リフレが振り返り、

楽しげに笑った。


「おやおや、遅い到着ですね」


サンの表情が険しくなる。


ルミナは里長のもとへ駆け寄り、

震える手で回復魔法を放った。


淡い光が里長を包むが、

傷が深く血が止まらない。


里長は薄く目を開け、

ルミナを見つめた。


「……ルミナ様……

 申し訳……ありません……

 お役目を……果たせそうも……」


「だめ……もう話さないで……!」


ルミナは必死に魔力を込める。

だが、里長の光は弱まるばかりだった。


里長はリーフの頬に手を伸ばし、

微笑んだ。


「……でも……最後に……

 母親らしいことが……できたかしら……」


その手が、静かに地面へ落ちた。


「お母様……!

 いや……いやぁぁぁ……!」


リーフの叫びが、里に響き渡った。


その声を聞いた瞬間、

サンの胸の奥で何かが弾けた。


「ルナ……お前……何をしてるんだ……!」


怒りが魔力を揺らし、

サンの首の黒い痣が不気味に蠢いた。


痣は脈打つように広がり、

空気が震えた。


「……っ!」


サンは膝をつき、苦しげに首の痣を押さえた。


ルミナが駆け寄ろうとするがサンが叫ぶ。


「来るな………大丈夫だ」


だが、サンの影が揺れ、

黒い魔力が滲み出す。


リフレが笑った。


「今のうちにやりなさい、ルナ。

 あいつを倒せば……あなたは完璧な勇者になれる」


ルナは無表情で手をかざした。


重力がねじれ、

サンの身体が吸い寄せられるように引き寄せられる。


「サン!」


ルミナの叫びが響く。


サンは剣を構え前に突き出す、

ルナも剣を持ち上げた。


二人の身体が重なるようにぶつかり合い、

空間が歪む。


光が弾け、

世界が白く染まった。



そして──

光が収まった時、 二人は重なり

ルナの背後に剣が突き刺さっていた。


辺りは血で染まり二人は同時に崩れ落ちるように跪いた。

ルミナは思わず腕で顔を覆う。

「いやだよ……いやぁぁぁ」

静けさの中

ルミナの叫び声だけが虚しく辺りに響いた


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