第七章 コントラスト5
ルミナの放った眩い閃光がルナの足元を撃ち抜き、
砂埃が再び舞い上がった。
その光を見たリフレは、
目を見開き、震える声で呟いた。
「……ま、まさか……?
あの勇者の片目......光った.......?
この行動.......この反応……
わたしと同じ......あの方の......“予言の力”なのか.......?
......信じられん..........なぜなんだ....まさか......あの方が....」
ぶつぶつと呟きながら、
ボサボサの髪を掻きむしる。
「おかしい.......おかしい......
私の予言が.......」
その狂気じみた姿に、
ルナは冷めた声で言った。
「.......追わなくていいのか?」
リフレは肩で息をしながら答える。
「.......出直しましょう」
ルナは鼻で笑った。
「ビビったのか?
お前の予言の力も大したことねぇな」
その言葉に、リフレは怒りで顔を歪めた。
「予言の力は“月に一度”、満月の夜にしか使えないのよ!
そもそも──
お前があのダークエルフを殺せないのが問題だろうが!!」
怒鳴り声が森に響く。
そして、低く呟いた。
「.......あの勇者を先に殺す予言をするべきよね.......」
そしてルナを睨み
「お前が光の勇者を殺せ....
そして完全な勇者になれ...」
と言うと
その言葉を聞いた瞬間、
ルナはニヤッと笑い──
影のように消えた。
リフレはその姿を見て、
不気味な笑みを浮かべた。
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サンは後ろを気にしながら、
森の中を大きく迂回して走っていた。
「......追ってきてないな」
胸を撫で下ろし、
アリスの元へ向かう。
アリスは地面に大の字で倒れ、
息も絶え絶えだった。
「はぁ......はぁ......
最低限の回復はしたわよ......」
指差した先には、
ぼんやりと空を見つめるルミナがいた。
サンはその姿を見て、
ようやく肩の力を抜いた。
「......無事でよかった」
そしてルミナに向き直る。
「ルナと......何があった?」
ルミナは唇を震わせながら呟いた。
「そんなの....私だって.......
わからない.......
わからないわよ.......!」
最後は叫び声になった。
サンはそれ以上追及せず、
黙って同じ空を見上げた。
しばらく沈黙が続き──
ルミナの呼吸が落ち着いてきた頃。
「.......ねぇ、サン。
なんで.......私が襲われるってわかったの?」
サンは無言で、
自分の片目を指差した。
ルミナは息を呑む。
金色に輝いていたはずのサンの片目は、
白く濁っていた。
「.......未来視の力だ」
サンは静かに言った。
「使った時間だけ.......視力を失う」
ルミナは悲しそうに俯いた。
「.......ごめんなさい」
サンは優しく笑い、
ルミナの肩を軽く叩いた。
「心配するな。
すぐ戻る」
そして、少し間を置いて──
ルミナに問いかけた。
「.......ルミナ。
これから、どうしたいんだ?」
ルミナはしばらく黙り込んだ。
燃えた家、ルナの剣、リフレの笑い声──
全部が頭の中で渦巻いて、答えが出ない。
「.......わからない.......
今は本当に.......どうしていいかわからないの.......」
サンはその言葉を否定せず、
静かに頷いた。
「.......そうか。
じゃあ──
一緒に王都に戻るか」
ルミナは驚いたようにサンを見た。
その瞳にはまだ不安が揺れていたが、
ほんの少しだけ光が戻った。
「.......うん.......」
その返事を聞いて、
サンはようやく肩の力を抜いた。
「よし。じゃあ帰るぞ」
その瞬間、地面に寝転んだままのアリスが両手を上げて叫んだ。
「つかれたー! むりー! もう動けないー!
サン、おんぶ!!」
サンは深いため息をついた。
「.......はいはい」
アリスを背負い、
ルミナと三人でゆっくりと王都へ向かって歩き出した。




