第六章 獣人の村6
炎に包まれたリフレの身体から、
突如として無数の衝撃波が四方へ弾け飛んだ。
爆ぜる音とともに炎が裂け、
熱風が地面をえぐり、焦げた土が舞い上がる。
リフレがゆっくりと正面を向いた瞬間──
左右から二つの影が飛び込んだ。
シンハとルナだ。
二人の斬撃が、ほぼ同時にリフレへ迫る。
カンッ!
甲高い金属音が響き、
二人の攻撃はリフレの鋭い爪に受け止められた。
続けざまに、
金属が擦れ合うような連続音が戦場に響く。
シンハの爪とルナの剣が、
リフレの爪と火花を散らしながらぶつかり合う。
そのとき──
リフレの顔面に、
ルミナの放った炎が直撃した。
「……っ!」
リフレの動きが一瞬止まる。
その刹那を逃さず、
シンハとルナは左右からリフレの両肩へ斬撃を叩き込んだ。
肉が裂け、黒い血が飛び散る。
リフレは顔を歪め、
一つ目を細めて二人を睨みつけた。
「くっ……ハエも群れるとうるさいわね」
その声には、苛立ちと侮蔑が混じっていた。
そのとき──
「俺だって……!」
背後から震える声が響いた。
三人が振り向くと、
シロが爪をむき出しにしてリフレへ突進していた。
小さな体が、必死に前へ進む。
「バカ! 戻れ!!」
ルナが叫ぶ。
だがシロは止まらない。
リフレの目の前で爪を振り上げ──
リフレは避けもしなかった。
「めんどくさいわね」
冷たい声とともに、
リフレの爪がシロの腹へ向かって突き出される。
「ダメ!!」
ルミナの叫びが響いた瞬間、
シロの身体が横へ吹き飛んだ。
代わりに──
シンハの腹に、リフレの爪が深々と突き刺さっていた。
「……っ……!」
シンハの身体が大きくのけぞり、
黒い血が地面へ滴り落ちる。
時間が止まったようだった。
風の音も、獣人たちのざわめきも、
すべてが遠くへ消えていく。
ただ、シロの声だけが響いた。
「兄貴ぃぃぃ!!」
その叫びは、
戦場の空気を切り裂き、
胸をえぐるほどの痛みを帯びていた。




