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第3話 4/12(金)、13(土) 正記の異能力 後編

 現れたヌシは、手に携えた2つのバズーカから弾を発射した。しかし、弾速が遅かったため、正記たちは弾を見てからしっかり避けることができた。

 しかし、避けた弾は方向転換し、再び正記たちの方へ飛んできた。名取がすぐに気づき、弓矢で弾を撃ち落とした。

 名取はすぐにヌシの方に目を向け、異能力『分析』を発動した。金色に変化した目に、ヌシの情報が入ってくる。


「やっぱり……さっきの弾、ホーミング弾だ。あいつの攻撃手段はそれしかないけど、弾数無限、下手したら弾に囲まれてゲームオーバーだ」


 ホーミング弾って確か、狙った人をずっと追いかけてくる弾だ! 正記は考えた。今とれる行動は、えっと……!

 赤城が名取の分析を元に行動に出る。


「あのバズーカを何とかできれば、こっちの勝ちですよね? 俺が行きます。名取さんと阿久津は援護を頼みます」


「ちょっ、明!」


 名取の制止を無視し、赤城が怪物に向かっていく。正記は思った。赤城は、早期に収拾をつけなければという、焦りの感情任せに動いていると。この前も感情任せに動いてピンチになったばっかりじゃないか! とりあえず、今は赤城を支援するしかなさそうだ。

 名取が正記に指示を出す。


「とりあえず、俺ができるだけ弾を撃ち落とすから、正記はヌシの攻撃力とかを下げてほしい。さっき教えた制約に気をつけてね」


 そうだ、僕の異能力はあくまで『書換』。何かを生み出すことはできない。気をつけて、かつ、赤城くんを手助けして……!

 ヌシが今度は、ホーミング弾を4発放った。あの数の弾、赤城くんに到達する前に、名取さんが全て撃ち落とせるか……⁉︎

 攻撃力低下の書換の準備をしながら、正記は必死に考えた。何か手立てはないか……ヌシのバズーカ、無限の弾数、ずっと追いかけてくるホーミング弾……ホーミング弾……

 すると、正記はあることを閃いた。僕の力が『書換』だから、できるかもしれない! 多分これなら、制約にも引っかからない!


「名取さん! 赤城くんと協力して、弾をできるだけ撃ち落とせますか⁉︎ 僕の異能力を使えば、ヌシを追い詰められるかもしれません!」


 正記は別の書換の準備に入った。不思議な文字が正記の周りに浮かび、ヌシに意識を集中させる。

 名取は正記の目と言葉から覚悟を感じ、正記を信じることにした。


「明! 弾を撃ち落とす方にシフトチェンジ! 正記がすごいことやってくれるってさ!」


 赤城は足を止め振り返り、正記の方を見た。あいつ、一体何を……? 赤城は指示に従うのを不服に思いながら、弾がすぐそこまで迫っていたため、炎でホーミング弾を2つ撃ち落とした。残りの2つは、名取が矢で撃ち落とした。

 ヌシは弾が当たらないことに怒りを感じたのか、今度は弾を10発以上放った。天に向かって打ち上げられた弾が大きく弧を描き、正記たちに向かって降り注いでくる。

 その時、正記の周りの不思議な文字が均等に並んだ。書換が完了したのだ。正記が大きな声で叫ぶ。


「『書換』其の弾の標的を、自分自身に!」


 正記の詠唱の後、正記たちに向かって降り注いでいた弾が軌道を変え、ヌシの方へ向かっていった。ヌシは訳が分からないまま、10発以上のホーミング弾の餌食になった。

 その影響で、ヌシのバズーカが粉々になり、ヌシ自身も体勢を崩した。書換、大成功だ!

 赤城がヌシの前まで歩いて行き、手の炎を向けた。


「覚悟は、いいな?」


 赤城はそのまま炎でヌシを焼き尽くし、灰にしてしまった。

 すると、『ナイトメア』が消え去り、正記たちは八重岳神社に戻って来た。

 名取が弓を小さくすると、正記の肩に腕を回した。


「正記やるじゃーん。『書換』の異能力でここまでできるなんて、正直びっくりだよー」


 正記は自分のしたことに驚きつつも、名取の賞賛を素直に受け入れた。


「あ、剣小さくしとかないと、目立って警察呼ばれるかもよー?」


 正記は名取にそう言われ、慌てて剣を小さくした。名取はまだ人をからかう余裕があるようだ。

 そこに赤城が近づいてきた。正記は赤城に言うべきことがあった。言わずに後悔したくないから。


「赤城くん、僕はやっぱり、赤城くんとバディを組みたい。赤城くんの隣で戦いたいし、戦わせてほしいんだ」


 赤城は正記の顔を見つめたが、しばらくして首を横に振った。


「気持ちは十分に伝わった。けど、俺はお前とバディは組めない。お前は眩しすぎる。そんなお前を、俺の『復讐』に付き合わせられない。悪いけど、先帰るぞ」


 赤城はそう言って、先に八重岳神社から去ってしまった。

 復讐……? 赤城くん、君に何があったの? 僕じゃ、君の力にはなれないの……?

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