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第5話 4/16(火)〜4/20(土) それぞれの覚悟 前編

 正記と明がバディを組んでから一夜が明け、正記は嬉しい気持ちでいっぱいのまま登校していた。

 すると、後ろから誰かに呼ばれた。


「おはよう、阿久……正記」


 声の正体は明だった。明らかに正記を下の名前で呼ぶことに慣れていない。しかし、明の方から挨拶してくれるのは初めてのことだ。

 正記は笑顔で応える。


「おはよう! 明くん!」


 正記に挨拶を返されただけなのに、明は少し照れているようだった。

 この時、正記は思った。明は7年前の心の傷があれど、ちゃんと自分と同じ高校生なのだと。

 そんなことを考えていると、隣から明に呼ばれた。


「放課後、時間があったらHNBに一緒に来い。千賀さんに任されたことがある」


「う、うん……」


 千賀さんから? 何だろう? 正記は内心ソワソワしながら、明と教室に向かった。


 そして放課後、正記と明は教室から一緒に出て、HNBの施設に向かうことにした。しかし、その途中、グラウンドの横を通った時だった。


「危ない!」


 声のした方を見ると、サッカーボールがすごい勢いで、正記の方へ飛んできた。やばい! 顔面にクリーンヒットする……!

 すると、瞬時にボールに反応した明が、ボールを上手くトラップし、飛んできた方向に蹴り返した。


「大丈夫だったか?」


 正記はサッカーボールが当たると思い、頭が真っ白になっていたが、明のプレーを思い返すことで正気に戻った。


「うん、大丈夫……!」


「なら、さっさといくぞ」


 正記と明がその場を去ろうとすると、後ろから2人を呼び止める声が聞こえた。振り向くと、サッカーボールを持った、背の高い男子生徒がこちらに走ってきた。


「ごめん! ディフェンスに慌てて、シュート外しちゃって! ケガとかない?」


 正記のことが心配で来たようだ。正記は「大丈夫です」と伝えると、男子生徒は安堵のため息をついた。

 そして男子生徒は、次に明の方に目を向けた。


「君、サッカー経験者? あんな上手いトラップ、初めてみたよ! サッカー部、興味ない?」


 どうやら勧誘のようだ。確かに明のプレーは、素人の正記から見ても、とても上手く見えた。さすがは赤城光の弟、と言ったところか。

 しかし、明は冷たい声でこう言った。


「悪いけど、サッカーはもうやらないんです。急いでるんで、これで」


 明はそのまま、校門の方へ歩いていってしまった。正記が慌ててその後を追いかける。正記が明を勧誘した男子生徒の方を振り返ってみると、その生徒は肩を落としてグラウンドに戻っていった。


 お互いにモヤモヤしたまま、2人はHNBの施設に到着した。中に入ると、エントランスで落ち着きなくウロウロしている中年の男性がいた。HNBの関係者、だろうか?

 すると、明がその男性に声をかけた。


「千賀さんの用って、やっぱり風見さん絡みでしたか」


 明に風見と呼ばれた男性は、明に気づき、足を止めた。


「やっと来たか、明の坊主! 待ちくたびれたぞ!」


 明が正記に、男性のことを紹介する。


「この人は風見研(かざみけん)さん。『ナイトメア』で戦うための、武器開発を担当している」


 武器開発……名前だけ聞くと物騒だ。って、そうじゃなくて、挨拶しないと!


「阿久津正記です! よろしくお願いします!」


「なるほど、お前さんが明の坊主とバディをくんだっていう新人か! 堅苦しいのは苦手だから、気楽にしな!」


 正記はまだ堅いが、少しは力が抜けたようだ。千賀さん以上に気さくで、その上豪快な人だ。

 風見はそのまま施設の中の方へ向かう。


「ついてきな! 俺の工房に連れてくからよ!」


 正記はそのまま明と風見についていき、風見が『工房』と呼ぶ場所に案内された。そこにはホログラムの設計図らしきものや、見慣れない工具があったりと、正記が想像していた工房より、かなりハイテクなものだった。

 風見が机の上にあった、手のひらサイズの剣の模型を手に取った。


「俺の仕事は、『ナイトメア』の怪物共を倒せる『対ナイトメア特殊武器』ってのを作ることだ。オープン!」


 風見の言葉に反応し、剣が大きくなった。これ、前に千賀さんから借りた剣と同じ……!

 風見が剣について説明を始める。


「刃の部分は、『ナイトメア』の怪物共が苦手とされる電磁波を使っていてな、人体に有害にならない程度に調整して、うまいこと可視光線にしたんだ。それとな……」


 か、かし……? な、なんか難しい言葉がいろいろ出てくる……しかし、風見は夢中になって語り続ける。

 正記は明の方を見た。明は正記の目を見て言いたいことがわかったのか、風見へ近づく。


「風見さん、また語りすぎて、時間なくなりますよ。要件、ちゃんと伝えてください」


 風見は明になだめられたことで我に返り、正記に今日呼んだ理由を伝える。


「坊主、正記っていったな。千賀さんに、坊主専用の武器を作ってほしいって頼まれてるんだ」


 自分専用の武器……! 正記は胸が躍った。前使った剣みたいに、自分でも戦うことができるんだ!

 しかし、風見は作業台を手で強く叩きつけ、こう言った。


「だけどな、タダで武器はやれん。条件がある。武器を持つ覚悟と、坊主が持つ武器の形を、俺に示してみろ!」

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