♯39 秘密と秘密
なぜこうなった……(サブタイトルが)
「魔王剣エクスカリバー、その名前はお父様に聞いたことがあります」
シャルが神妙な顔で話し始める。魔王剣エクスカリバー、というのは花音が持ってきた剣の名前だろう。マナが出てくるときに「魔王剣エクスカバー起動します」的な事を言っていたからそうなのだろう。元の世界じゃエクスカリバーって確かアーサー王伝説に出てくる剣の名前だったような気がする。いや絶対そうだ。そんな伝説の剣の名前が、よりにもよって魔王剣とかいうとてつもなくやばそうな剣の名前と一緒にされているなんて……。どう反応していいのかが分からない。
「王宮の図書室の王族のみしか入ることのできないエリアのどこかにその名前が載っている本があるそうです」
「王族しか入ることのできないエリア?」
「はい。王族しか入れず、警備は厳重で、王族ですら入れることはめったにない場所です。ちなみに私はまだ入ったことがありません。詳しいことは分かりませんが、名前だけは知っておくようにと」
へー。なんかやばそうな気がするのだが気のせいだろうか。王族ですらめったに入れない場所って……。覚悟はしてたけどまさかそこまで凄い秘密だとは思わなかったな。
「それ以外に知っていることは?」
「実は……」
もったいぶらずに早く言えよ。「実は」の後間があるからなんとなくで喉をゴクリってしちゃったじゃん。
「知りません」
その言葉を聞いた瞬間俺とマナは座っていた椅子から転げ落ちた。なんで、あそこまでもったいぶって知らないのかな? 知らないならもったいぶらずに教えてくれてもいいじゃんかよ。「実は」の後の「……」いらないよ。
「知らないのですか?」
マナが不思議そうに聞く。そうだ言ってやれ。知らないのに期待させないでくれよ。
「すいません。お父様からは教えられないと、来るべき時にまた教えるから、と言われたものですから。名前と、その名前を記した本が王宮の図書館の王族しか入れない場所にあることしか」
見るからに落ちこんでしまった。肩をがっくりとおとしている。このままじゃやばい。この状況を誰かに見られたら俺が悪いみたいになってしまう。何とかしてフォローせねば。
「そっか。ありがとう」
「いえ、マサト様のお役にたてたなら幸いです」
少し元気が出たようだ。助かったー。あれ? 俺の心の声漏れてないよね? なぜかマナが物凄い睨んでくるのだが。
「マスター、それは少しシャル様に失礼かと」
ばれてたー。心の声を読まれたのだろうか。いやそんなはずはない。心の声を読むことなど絶対にできない。
「マスター。顔に出ています」
どうやら顔に出ていたらしい。よかったー。心の声を読まれてたら俺死んでたかも。こんな俺の心情を知るはずもなく俺とマナの会話の意味が分からないシャルは落ち込んでいた表情はすっかりなくなった顔で今度は何の話をしているのでしょうか? と不思議そうな顔をしていた。よかったー。シャルには気づかれていないみたいだ。
まあ、それはおといて、分かったことは少なかったが進展は結構あった。最初のうちはこんなものだろう。最初からいろいろ分かっても頭がこんがらがるだけでいいことないからな。ただ想定外だったのは国レベルの秘密だという事だ。魔王剣という名前やシャルの前振りから軽く話していいような内容じゃないことは容易に想像できたが、まさか国レベルの秘密だとは思わなかった。これは外で軽く話していい内容じゃないな、極秘とはいかなくても慎重に調べるべきだろう。
「そういえばマスター」
マナが急に何かを思い出したように口を開く。
「どうしたの?」
「マナも一つだけですが情報を提供することができます。それ以外を言うと、精霊界の条約に反しますがこれ位ならば大丈夫でしょう」
マナが地味にもったいぶりながら言おうとする。精霊界の条約に反するって。条約ってなんだよ。
「どんな情報なのですか?」
シャルが少しせかし気味でいう。そんなに急ぐことはないと思うがここまでもったいぶらずともいいと思う。
「私たち、精霊には契約者というものが存在します。精霊はそれぞれ自分で契約者を選び契約をします。しかし例外が一人だけ存在します」
「例外?」
シャルが不思議そうに尋ねる。例外という事は何かが違うのだろう。
「はい。私たち精霊に約一万年伝わってきた詩がございます」
そういうとマナは深く息を吸い込んで静かに詩を語りだした。
「東の聖剣、西の魔王剣、南の炎剣、北の水剣。東と西は対になり南と北は対になる。対になりしその剣を解き放ちし物、最後の一つ神剣の所有者なり」
「意味は? どういう意味なのですか?」
シャルが勢いよくマナに迫る。そんなに一気に詰め寄ったらテーブルが倒れるぞ。
「落ち着いてください。今説明いたしますので」
「すいません」
なんか今日のシャルは落ち込んでばかりだな。シャルは表所が豊かなところがかわいいと思う。他の三人も同じくらい豊かなのだが、シャルは落ち込んでいるときと、笑顔の時の差が凄いので見ていて飽きない。
「精霊界には私と同じ剣の精霊がいます。聖剣、魔王剣、炎剣、水剣、私たちの事をこの詩は言っています。そして神剣とは最後の一つの事です。意味をお教えすることはできません。そして最後に一つ。神剣も精霊なのですが精霊界には神剣とあったものはいません。それ以上の事も知っているのですが、これ以上は条約に反しますので」
「ありがとう、じゃあ最後に一つだけ」
マナの説明が終わったタイミングで切り出す。これは俺がマナと会ってから一番気になっていたことだ。
「なんでございましょう」
「俺はもうすでにマナをのぞいて二人の精霊と契約をしている。その二人は契約した後もマサト、とか、マサトさんって呼ぶんだけど、なんでマナは俺の事をマスターって呼ぶんだ?」
「すみません、それは言えません、しかしこれだけ、普通の精霊ではない精霊がこの世には存在するという事です」
そういうとマナは「失礼しました」と挨拶をすると椅子から立ち部屋から出て行った。部屋に残ったのはまだ言われたことが理解できていない俺とシャルだけだった。
よし、少し確認しよう。
花音が持ってきて突然発光し始めてマナが現れた時にあったのが魔王剣だと考えて間違いないだろう。
あれ? そういえば魔王剣ってどこにしまってあるんだろう。マナが現れた時にそっちに気が行ってしまってたからな。
おっと、脱線してしまった。そしてその魔王剣は名前が載っている本が王宮の図書館のしかも王族しか入れない場所にあったという事だろう。それにより、シャルが言っていたとんでもない秘密がこういうことだと分かったわけだが、そこからが分からない。
なぜマナは俺をマスターと呼ぶ? あの詩の意味ってなに? 普通ではない精霊ってなに? 頭がパンクしそうだ。今すぐに考えても答えは出なさそうだな。少し落ち着いた方がいいだろう。
国レベルの秘密と精霊界の条例とやらで守られている情報だ。今は精霊界に伝わる詩や、マナと同じような精霊が後何人か」いるという事が分かっただけでも十分な収穫だろう。
「よっし、遅いけど、夕食食べに行くか。行こうぜシャル」
「何を言っているのでしょうか、マサト様? マサト様の夕食はございませんし私は夕食を食べ終わっていますよ」
考えるのをやめてすぐに気分転換に夕食をと思って俺より先に状況の整理ができていたシャルと食べに行こうと思っていたんだが。そうだった、俺、今日、夕食なしだったんだ
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次回は十月七日に投稿します。




