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魔王の俺が召喚されたのは異世界でした  作者: 三剣 シン
第四章 異世界の秘密
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♯38 正座と覚悟

「マスター、おはようございます」

「おはよう……、じゃなくて何してるのかな?」

「マスターに添い寝をしておりました」

「いや、添い寝なんてしないでいいですから。着替えるので早く出て行ってくれませんか?」

「嫌です」


 即答かよっ。

 おっとなんで俺は朝っぱらからマナにツッコミを入れなきゃいけないのだろう。昨日はマナと会ってからが大変だった。

 ティーナ達にこれはどういう事なのか。を物凄い勢いで問い詰められた。そんなこと俺に聞かれても知ってるわけないじゃん、昨日会ったばっかりなのに。

 それに俺が女子と知り合うと必ずと言っていいほどティーナ達にこれはどういう事なのか? を質問されている気がする。

 前に「別に関係ないだろ」というと泣き出してしまったので未だに対処法を見いだせずにいる。

 昨日はそれからティーナ達が速攻でゴーレムを倒して、アステナの宿に帰ってきたと思ったら、それが地獄の始まりだった。

 ティーナ、リーナ、シャル、花音に解放されては違う人に呼び出され同じことを延々と聞かれたのだ。そんなこんなで昨日俺がベッドに入ることができたのは午後十時近くになっていた。

 体力の消耗よりも精神が疲れ切っていたのでいつもより早くベッドに入ったのだが、そこからマナがベッドに入ってきて出ていけと言っても全然出て行かず、挙句の果てにその光景を見られてティーナ達に怒られるという怒涛の三コンボがあったのだ。

「俺の平穏を返せー」と天に向かって叫びたくなったほどだ。

 そういう事があったため昨日マナが言っていた、魔王やマスターの意味を聞くのが今日になってしまったわけだが、寝るのが午前二時ぐらいになったので十時位まで寝ていたかったのだ。

 まあ、この状況を女子に見られた場合寝るのはおろかマナに質問することすらかなわないだろう、ならば早くどかさねば。


「早くどいてくれないか? じゃないと俺がまた怒られること位なるから」

「嫌です」

「そうか、分かってくれたか……、今なんて?」

「嫌です」


 今、「嫌ですな」って言ったよね、それもものすごい笑顔で。

 マナの声って結構無機質で、機械みたいな声なんだけど表情は豊かなんだよな。

 マナの種族ってなんなのだろう。

 機械? 魔族? 精霊? 思い当たるのはそれくらいだが機械はないだろうな。この世界に来てからそんなもの見てないし。

 それはそれとして、なんで俺は笑顔で「嫌です」って返されてるんだ?

 さっき簡単にだけどきちんと俺が怒られるからって理由説明してどいてって言ったよね。それなのになんで「嫌です」って回答が返ってくるんだ?

 よしこうなったら俺がおきるしかない。そうすれば自然とマナも起きてくるだろう。


「あの、マナ?」

「はい、マスター」

「俺ももう起きるからマナも起きなよ」

「嫌です」

「なんで」

「マサトさん、おはようございます。マナさん知りませんか? 朝起きたらベッドにいなかったんですが」


 俺とマナが「早く起きて」「嫌です」と口論をしているとティーナがマナを探しに来てしまった。あ、積んだ。


「あ、」

「おはようございます。ティーナさん」


 マナ? なんでそんなに普通にあいさつできるの? 今から俺は女子四人による尋問が始まるのに……。


「マサトさん? 何をしてるんですか?」

「あ、いや、これは」

「問答無用です。マサトさんこっちに来てくださいね」


 ちょっとティーナさん笑顔が怖いですよ。

 勘違いなんですよ。話を聞いてください。まあ、この様子じゃマナの話を聞くのは今日の夕方になりそうだな。それまで俺は生きていることができるのだろうか?



「で、あれはどういう事なんですか?」

「どういう事って言われましても、朝起きたらマナが俺の布団の中にいたんだよ。それで部屋に帰そうとしたらそこでティーナが来たんだよ」


 体勢として俺がマナの上に覆いかぶさってたりしたわけじゃないからきちんと説明すれば分かってくれるだろう。


「それで?」

「それでも何も、それで終わりだよ」


 納得絶対にしてないな。ここにティーナしかいないで良かったけど。残り三人がいたらそれどころじゃなかったからな。特にシャルは怒りそうだな。一応婚約者だし。


「そういえばリーナ達は?」

「リーナ達ならギルドまで行ってます。クレープを食べに行くって言ってたので、そろそろ帰ってくと思いますけど」


 ああ、良かった。ティーナの口調がいつもの口調に戻った。少しは怒りも収まったかな?


「ただいまー」


 どうやらリーナ達が帰ってきたようだ。そのまま足音が二階に近づいてくる。やばい、このままだったら正座している俺の前にティーナが腕を組んで座っている状況を見られると俺はまた冤罪で怒られることになりそうだ。どうにかしなければ。


「ただいまー」

「あ、」

「お帰り、リーナ、シャルちゃん、花音さん」


 遅かったか。なんで一日二回も積み状態にならないといけないんだよ。今思ったけどシャルちゃんって違和感しかないな。

 皆が呼び捨てで呼ぶのもそうだけど、皆さん付で呼ぶティーナがちゃん付けで呼ぶってところが一番の違和感だな。

 おっと、現実逃避している場合じゃないな。

 この状況どうしよう。


「お、お帰り」

「お姉ちゃん、マサト、またなんかやったの?」


 あ、何かやったことは決定事項なのね。冤罪って可能性すら出てこないのね。俺の扱いひどくない?


「マサトさんが、マナさんを襲っていたのです」

「へー」


 いや、待て待て。いったいどこからそんな話が出てきた? 今さっきの話の中でそんな話でてなかったよね。

 リーナも真に受けんな。そりゃ見ていなかったから状況を知らないのは攻めないけど、俺の話も聞いてから俺を攻めるかどうか決めてくださいよ。一回落ち着いてくれ。笑顔が怖いですよ。やめてくれ話を聞いてくれ。俺がそういおうとしながら後ろに下がると背中に誰かの足が当たる。


「え?」

「マサト様、逃げようとするってことは襲ったのは事実という事でよろしいのですね」

「へー、マサトはああいうのがタイプなんだー」


 ちょっと待ってよシャル、花音。一回落ち着こう。襲ってたわけじゃないからね。起きたらマナが俺の布団の中に入り込んできていて、その状況をティーナに見られただけだからね。それは事実無根だって。

 信じてくれよ。そんな俺の心の叫びが聞こえるはずもなく。ティーナの嘘に騙されたリーナ、シャル、花音、そしてなぜかまた怒りが戻ってきたティーナによって俺の正座で平謝りをする時間が増えたのは言うまでもない。



「はー、散々な目にあった」


 俺は自室のベットの上で寝転がっていた。

 時刻は十九時過ぎだろうか。外は雨が降り夜の闇を一層引き立たせている。雨が窓にあたる音がひどく心地よく感じる。心の奥まで落ち着いた雨の音が響き渡る。

 ティーナ、リーナ、シャル、花音の尋問は十時間に渡った。いつもなら一人一人が別々に尋問してきて同じことを多い時では四回言わないといけないのだが今日はそれがなかっただけよかったのだろう。

 しかし、今日はそれがない代わりにどんどんと過去の事を持ち出してくるので困った。過去も言われるとたとえその過去が冤罪であっても悪いことした気になるから。俺が全く悪くない状況から俺をまるで大犯罪者みたいに仕立て上げるから怖い。人の話を聞いてほしい。今日はそれプラス、昼食と夕食が抜きだ。

 ティーナ達がレティアさんに頼んだのだろう。レティアさんもなんやかんやで悪乗りしてるし、ここに俺の味方はいないのだろうか?

 そしてなんで俺は二日連続で怒られなければいけないのだろうか?

 するとドアがコンコンとノックされる。


「マスター、マナでございます」

「開いてるよ」


 そう返事をするとマナがお盆にコップを乗せて入ってくる。ここからじゃ中身は見えないが紅茶かコーヒーだろう。


「マスター、お疲れ様です。コーヒーをどうぞ」


 コーヒーだったようだ。


「ああ、ありがとう」


 マナがコーヒーをお盆に乗せて持ってきてくれたのでありがたくいただく。

 元はと言えばマナのせいなのだが、そんなことを気にしてはいられない。マナはまるでメイドみたいに働いてくれるが時々ひどくさびしそうな、そして落ち込んだ顔をする。その原因は俺には分からないが元気づけたいと思う。

 マナに入れてもらったコーヒーを半分くらい飲んだところで急にドアが開いた。


「マサト様。失礼します」


 シャルだった。どうかしたのだろうか?


「どうしたの?」

「マナ様について思い出したことがありましたので」


 今日怒られる後に少しシャルにマナについて知っていることがないか聞いてみたのだ。マナがあったのはアステナの近くの森。正確な場所は拾ってきた花音しか分からないが少なくともこの国の中だったことには違いはないはずだ。なら、王族であるシャルならば何か知っているのではないかと思いきいてみたのだが少し


『いきなりそういわれましても少し考える時間をくださいますか?』


 といわれたので待っていたのだ。


「私は席を外した方がよろしいでしょうか?」


 いつも通り無機質な声だが表情からとても何かに怯えている。そんな感じがした。


「いてくださってかまいません。マナ様は何も覚えていなのでしょう」

「! ありがとうございます」


 何も覚えていないとはどういう事だろう。この二人のさっきの会話の意味は俺には分からない。だがそのシャルの言葉でマナは物凄く心が軽くなったのだろう。さっきまでしていた何かに怯えている表情から打って変わってとても嬉しそうな表情に変わった。


「それで、何を思い出したの?」

「その前に、ここから話すのは、恐らくこの国でも最高級に危険な秘密です。マサト様にはその秘密を知る覚悟がおありですか?」


 どんな話だろうと疑問には思う。しかし国の最高級の危険が伴う秘密を知るのを止めたがっている自分もいる。俺に与えられた選択は聞くか聞かないかの単純な選択だがこの先の俺の人生に多大な影響を及ぼす選択。そんな気がした。だが、やはりここは知っておきたい。

 マナに関する秘密そして、もしかしたら俺のギルドカードの称号、魔王についても知れるのかも知れないから。


「分かった。覚悟はできた」

「分かりました。ではお話しいたします」


 そういうと、シャルはポツリポツリ、と喋り始めた。


二日前からPVが今までと比べ物にならないくらい(といっても全然ですが)増えていて驚きました。

これからも渡航がんばりますので応援していただけると幸いです。

評価、感想、ブックマークしていただけると嬉しいです。

次回は十月五日投稿予定です。

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