♯36 その後とパフェ
最近だんだんサブタイトルが臣思いうかばなくなってきてしまいました。
今回から四章です。
これらもおつきあいよろしくお願いします。
シャルとの婚約騒動から一週間がたった。
この一週間特に特別な事は何も無く、シャルと俺の婚約が決まる前までと変わらぬ日々を過ごした。
女子四人は俺が正座させられていた次の日の夜、皆で夜遅くまで喋っていたらしい。何を喋っていたのか聞くと皆にはぐらかされた。
その日を境にティーナ、リーナ、花音は前の日までとは一転して怒らずに普通に接してくれるようになった。皆で僕の悪口を夜遅くまで言い合ったりしたのだろうか? とりあえずシャルがなだめてくれたようだ。こればかりはシャルに感謝だな。
「ちょっと、マサト聞いてる?」
「ん? ああ、何の話だっけ?」
今、俺達はギルドのクエスト掲示板の前にいる。
今日は久しぶりに討伐クエストでも受けよう。というリーナの提案にのってギルドに来たのはいいが周りの視線が凄くこちらに向いている。ギルドの入り口を開ければすべての人がこちらを向き俺に注目する。
なにか悪いことをしただろうか? 気が付かないうちにしてしまったマナー違反があっただろうか? マナー違反で注目の的になるのは嫌なのでティーナになんでこんなに俺が注目されてるかを聞くと大きな大きなため息をつかれた。
どうやら魔法士ギルドにはいった事により注目されてるみたいだ。そういえばあの日からアステナのギルドには来ていなかった気がする。ほとんどの視線が尊敬やその類の意味を持っている中その中に地味に殺気が混じっている気がするのが怖い。
ああ、また考え込んでしまったようだ。幸いなことにリーナは俺にもう一回いうために掲示板の前でクエストの張り紙を探しているみたいだ。一回見つけたなら探さないでいいように外しておけよ。
すると目的の張り紙を見つけたリーナが乱暴に張り紙を剝がしこちらに持ってくる。
「このシルバーウルフのクエストでどうか? って聞いてるのよ」
リーナが持ってきたクエストはシルバーウルフのクエストだった。正直に言うと飽きた。
「いや、それよりこっちのゴーレム討伐の方がいいと思うぞ」
決して飽きたとは口にせずさらりと違うクエストを進める。飽きたと口にしようものならリーナに殴られそうだ。それに俺だけに聞かないで他の三人にも聞いたらいいと思うがどこにも見当たらない。
「あれ? ティーナ達は?」
リーナは俺の質問を聞くと気づいてなかったのとあきれ顔だ。
「お姉ちゃんたちなら向かいのカフェでパフェを食べてるわよ」
クレープはないのにパフェがあるってどういうことだろう。話を聞いてるとパフェを食べたくなってきた。おいしいよねパフェ。
「分かったわ」
「何が?」
「クエストよ。確かにマサトの言うようにゴーレムの方が報酬も多いし素材も高く売れるからゴーレムにするわ」
どうやら、シルバーウルフの討伐クエストは行かなくて済みそうだ。最初の方飽きないんだが何回もやっていると一回の討伐クエストにつき倒す数は多いし報酬もそこまで高くないので飽きるのだシルバーウルフは。
「そうと決まればさっさとクエスト申請するわよ」
そう威勢のいい声で言うと自分で「おおー」と効果音までつけ受付まで走っていく。俺の仲間は見事にキャラがかぶっていないと思う。ティーナはおっとりしているがしっかり者でリーナは何でも突っ走るタイプ、シャルはおしとやかで花音はやる時とやらない時の区別がしっかりできている、リーナを止めるのは花音の役割になっているがやる時とみたら突っ走るのでそれを止めるのがティーナの役目、シャルは、そばで見守っているという構図がすでに出来上がっている。はっきり言って物凄く落ち着く空間だ。俺とシャルとの婚約で皆が少し遠慮してこの空間が壊れるかもと心配していた俺だったがそんなことはなく今まで通りで安心した。
「マサトー、どうしたの? お姉ちゃんたち呼びに行くよ」
リーナがギルドのドアの前で叫んでいる。はっきり言ってすごく恥ずかしい。早くやめてほしいので駆け足でリーナがいるところまでいく。リーナには恥ずかしいという感情がないのか? と思うほどこういうことを普通にする。ティーナ達を呼びに行くついでに俺もパフェを食べれないだろうか。
「おいしー」
良かった。ティーナを向かいに行くついでにパフェにありつくことができた。
「それで? 今日はどんなクエストにしたの?」
花音が聞いてくる。花音はこの世界に来てから二週間ほどしかたっていないが俺がこの世界について知っていることを話したりしていたので今は俺とほとんど同じ知識量だ。最近は時間も空いたので花音と二人でスマホでオロスピアをしながらこの世界との違いを実感していたりする。その時間がとても楽しい。元の世界だと身近にオロスピアをしている友達はいてもなかなか俺達レベルになると一人もいなかったので余計に楽しく感じるのだろう。
「ああ、今日はゴーレムの討伐クエストだ」
「ゴーレムですか。結構強いらしいですが大丈夫でしょうか?」
「大丈夫でしょ、なんたって私たちにはマサトがいるしね」
「そうですよ、マサトさんは剣の腕も凄いですが、魔法の威力が桁違いなんですよ」
ティーナとリーナの姉妹に変なプレッシャーをかけられた。どうやらリーナは俺が初めて使った魔法がとんでもない威力を発揮したのを知っているらしい。そんなに期待されても困るのだが。
だがそれを聞いてもシャルは結構不安そうだ。俺と花音は神様に貰ったチートがあるし、ティーナとリーナは結構な実力者だ。たぶんよっぽどのことがない限り大丈夫だと思うがそれでも心配なのだろう。シャルは主に魔物を召喚して戦うタイプなのでそこまで心配はしていない。
シャルに聞いた話だがシャルの魔法は霊獣魔法ではなく魔獣魔法という種類の召喚魔法らしい。
違いがよくわからないのだが霊獣魔法は光属性の魔法、魔獣魔法は闇属性の魔法らしい。
その他にも霊獣魔法はある一定以上の魔力量を保有していないとだめだとか、魔獣魔法より霊獣魔法の方が契約の条件が厳しい代わりに強いモンスターしかいないとか明確な違いがいくつもあるらしい。
強さの心配なら一応これでも魔法士ギルドに推薦してもらうくらいの実力はあるしドラゴンも倒しているのだからドラゴン位の強さのモンスターでも大丈夫だろう。
「あー、おいしかった」
「ご馳走様でした」
俺とティーナは食べ終わる。残りの三人はちまちま食べているのでまだ終わっていない。特にリーナなんかはまだ半分も食べきっていない。
「はやっ。そんなに早く食べたらおいしい物もおいしく感じないよ」
「リーナが遅いだけだろ」
俺の勝手にさせてほしい。それにそんなにゆっくり食べていても一口の量が少ないからあまり味が分からなくて余計においしくないと思う。まあ人の勝手だし、俺がとやかく言う事ではないが。
「ご馳走様」
「おいしかったです」
花音とシャルは食べ終わったようだ。これで残りはリーナだけになった。ちまちま食べてるからだ。今日は他に予定もないのでちまちま食べていても困りはしないのだが、それでも食べているのを待っている時間は暇だ。
「ごちうさまー」
ようやくリーナが食べ終わったみたいだ。時間にして十分ほどだが物凄く長いように感じた。
「じゃあ、マサト。お会計よろしくねー」
「よろしくー」
四人はそう宣言するとさっさと席を立ちカフェの外に出る。どうやら嵌められたらしい。いつ相談したのだろう。ここに来てからは四人でこそこそ話している様子はなかったので恐らく昨日のうちから相談して決めていたのだろう。
もしかすると今日のクエストを受けに行くというのでさえパフェを俺に奢らせる口実だったのではないのかと思う。
さすがにそれはないと思いたいがここまで綺麗に嵌められると「その可能性もあながち間違ってはいないかも」と思えてくる。
なんともまぁ悪知恵の働く女子四人組のおかげで、俺の財布が一気に軽くなったのは言うまでもないだろう。
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次回は二、三日後の十時ごろに投稿する予定です。




