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魔王の俺が召喚されたのは異世界でした  作者: 三剣 シン
第三章 王都での休日
35/52

♯35 徹夜と妹

 あれか俺達はギルトハートさんにシャルの日常の様子などをさらに詳しく問い詰められた。

 俺が了承しなかった場合の事が心配で最初の方は詳しく聞けなかったという。絶対嘘だと思うが。その間夕食時で腹の減っていた俺達はずっとギルトハートさんがおいしそうに夕食を食べるのを見ていなければいけないのだった。

 その反動かギルトハートさんの質問が途切れた一瞬をついてギルトハートさんに挨拶を済ませすぐに王宮を出ると門の前でワープを使った。あの一瞬をつけた時の自分をほめてやりたい。もしあのまま質問に答え続けていたら確実に夜十時頃まで宿に帰してもらえない。そんな勢いだった。腹が減っているときに目の前でステーキなんて食べられたら早く帰って夕食を食べたいと思うのが普通だろう。

 シャルがお見合い相手だと分かった以上あそこはお見合い会場のような場所になっていた。

 と、いうより元々王宮に行った時からお見合いは始まっていたのだろう。宿屋の前には宿の食堂から夕食のいい匂いがあふれてきている。今日の夕食のメニューが楽しみだ。



 それが、どうしてこうなった。


「と、いうわけでシャルの婚約者になりました」


 今の俺の状況を簡潔に言うと食堂の床に正座させられている。

 夕食のメニューに心躍らせながら宿の玄関を開け、中に入ると玄関から一メートル位のところでティーナ、リーナ、花音の三人が腕を組んで待ち構えていた。


 そして三人につかまった俺はあれよあれよという間に食堂に連れて行かれると六人席の(片側三人の六人席)のど真ん中に座らされると、三人の「マサト(さん)の婚約者は誰

(ですか)?」という質問の攻撃に耐えなければならなかった。


 十分ぐらいは黙秘を貫いていたのだが、俺が答える気がないとみると俺と帰ってきたが着替えやその他もろもろの準備があると言って自分の部屋に入っていったシャルを連れてくるとシャルを問い詰めだしたのだ。

 シャルは自分に不利益になることがないからか今日の婚約の経緯を自慢げに話していた。

 俺との婚約を自慢げに話しても誰も羨ましがったりしないと思うのだがなぜそんなに自慢げに話したかは謎だ。

 するとっその話を聞いた三人は俺の方に向き直り今日起こったことを全て話すように問い詰めてきたのだ。

 シャルに婚約の話を話されて時点で俺としては隠す秘密がなくなったので観念しておとなしく話したのだがすると三人はなぜか激怒。しかもその怒りは俺じゃなくシャルに向いたのだからおかしな話だ。さっきまでの話に怒る要素なんてないし、もし怒る要素があったとしてその怒りが俺じゃなくシャルに向くというのはどういうことなのだろうか?

 その後詳しく話を聞きたいからと言って三人はシャルを連れて食堂を出ていくと、残った俺はレティアさんが出してくれた夕食を食べていたのだが話をすべて聞いたであろう三人が戻ってくるとそれが束の間の幸せであったことを自覚した。

 そこからは三人による事情確認が行われ、それが済むとなぜか俺が正座させられているというおかしな状況になったのだ。


「あのー? 俺まだ夕食が済んでないんですが?」

「それがどうかしましたか?」

「いえ、なんでもありません」


 本当のことを言うと夕食を食べたいのだが三人の視線が怖すぎてすごすご引っ込むしかないのだ。今俺には三人の氷のような冷たい視線が浴びせられている。なぜシャルと婚約しただけでここまでひどい扱いをされなければならないのかが分からない。


「三人とも、さっきの話で納得してくださいましたでしょうか?」


 あれ? なぜか敬語になってしまった。俺そこまで怯えてるのかな? 一応納得しているか聞いてみるがここまで冷たい視線が来るという事は絶対納得はしていないだろう。


「理解はしたけど、納得はしてない。今日は寝る。お休みっ」


 そういうとティーナはドアを開けて食堂を出て行った。俺はどうすればいいんでしょう? このまま三人が寝てしまったら俺は正座のまま朝まで放置という事になるのだろうか。俺はそれで喜ぶような変態じゃないんですが……。まさか本当にこのまま放置されるのでしょうか?


「最低」

「ほんと、最低」


 どうやらそのまさかのようだ。リーナと花音はそれぞれ俺にむかって「最低」という言葉を残すとそのまま食堂を出て行った。三人になぜここまで俺は罵られないといけないのだろう? それに選択肢が婚約する、という選択肢しか残っていないのにその選択をしたら仲間に罵られるというのには驚いた。しかし何が最低なのだろう? 三人の中で誰かと付き合っているつもりもないし、そんな事実もないだろう。なぜ、三人はここまで怒っているのか全く見当もつかない。シャルなら何か知ってそうだが、当の本人は三人に連れられて食堂を出てから食堂に帰ってきていない。

 無理やり連れてこられたみたいだから部屋に帰って着替えやその他もろもろの事をしているのだろう。

 今日あったことを思い出しながら三人が何に怒っているのかを夜あいだ正座で悩まなければいけないことをまだこのとき俺は知らなかった。




「おはようございます」

「おはよう、ティーナ」


 昨日のあの地獄の拷問とでも呼べる問い詰めから一夜が明けた。

 あれから俺はずっと正座のままでいた。動くことは可能なのだがもし今日起きた時に俺が正座をしていなかったらどんなふうに怒られるか分かったもんじゃない。そんな考えがおきどうしても動く勇気が出なかった。どの世界でも女子が怒ると怖いのは同じようだ。

 昨日の怒り方よりひどかったらと考えると正座をやるのが一番安全な気がしたのだ。そのため夕食の続きはまだだし、ふろにも入っていない、一睡もしてないという状況で朝レティアさんに会ったとき若干引かれてしまった。何故俺がこんな仕打ちを受けないといけないのだろう。


「マサトさん、まだ正座していたんですか」


 そうですよ。悪いですか? 昨日あれだけ怒られたり、攻められたり、質問攻撃を受けていると、正座をやめたらまた怒られる可能性があったのでね。あれ? 若干引かれている気がするんだが。まさかレティアさんだけでなくティーナにまで引かれるとは。まさか昨日あれから正座をやめて風呂などに行っても良かったのだろうか。


「しょうがないだろ。正座してないとどんなふうに怒られるか分かったもんじゃなかったからな」

「マサトさんは私たちをなんだと思っているんですか」

「うーん? 怒ったら怖いけどいつもは優しい妹?」


 うん。この表現が一番合っている。花音は例外だがティーナとリーナそれにシャルは皆年下だし可愛い妹みたいに思っているからな。時々、ティーナからはお姉さんみたいな空気が出ているときがあるけど。あ、もうティーナが起きて来たから正座を崩してもいいよな。

 足がしびれてたのは始めて一時間から二時間くらいの時だけで、そのあとは足の感覚がなくなっていた。あのカルタを舞台にした青春漫画の主人公たちは少し立つことはあってもほとんどが座っているカルタでよく足がしびれないな。感心どころか尊敬する。立ってみたがうまく立てない。なんというか立ち方を忘れてしまったそんな感覚だ。立ち上がろうとするがどうしてもよろけてしまう。近くのテーブルの椅子にもたれかかりながらなんとか立ち上がる。


「妹……ですか」


 あれ? なんかティーナが一気に落ち込んだぞ? どうしたんどうしたんだろう。


「おはよー」

「おはよう」

「おはようございます。マサト様、ティーナさん」


 他の三人が起きてきたので、ティーナはすぐに落ち込んだ雰囲気を隠しいつも通りに振舞っている。なににそんなに落ち込む必要があったのだろうか。



 この時ティーナが落ち込んだ理由は意外と速くわかることになる。(速くといっても二、三か月先だが)


いつもお読みいただきありがとうございます。

これからもがんばっていきますのでお園していただけると嬉しいです。

評価、感想、ブックマークしていただけると嬉しいです。

次回は九月二十八日午後十時ごろ投稿予定です。

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