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魔王の俺が召喚されたのは異世界でした  作者: 三剣 シン
第三章 王都での休日
34/52

♯34 お見合い相手と驚愕

 今俺はギルトハートさんの正面に座っている。

 バルダさんは部屋に入ってギルトハートさんの前の席に座るよう俺とシャルにいうと、自分は剣の練習があるとかで早々に部屋を出て行った。

 少ししゃべっただけだがダンさんの言うように机の前で勉強するより体を動かしたりするのが好きなタイプのような気がした。

 直ぐに話を切り出そうとしたのだがギルトハートさんは俺に

 シャルの様子はどうだ?

 とか

 ティーナやリーナは元気にしているか? 

 シャルは他の仲間と仲良くしているか?

 など質問してくるので話がなかなか切り出せない。シャルはシャルでギルトハートさんに聞かれたくない話のときは俺に「マサト様、言わないでください」とか俺に言ってくるのだが国王様のいう事を聞かないわけにはいかない俺がしかたなく話すと耳まで真っ赤にして耳をふさいで会話が聞こえないようにするなどとても本題を切り出すことのできない雰囲気になってしまった。早く本題を切り出したくてうずうずしている俺の気持ちを知ってか知らずか俺の目の前でギルトハートさんはのんきに夕食をとっている。

 メニューはステーキみたいだ。ステーキなんて俺みたいな一般庶民にはなかなか食べられないのに見せつけながら食べてるようで、だんだん俺も食べたくなってきた。それにつられるように今日ここに来た目的を忘れてしまいそうになる。


「それで、今日はどうしたのかな?」


 どうしたのかな? ってあんたが呼び出したみたいな物でしょ。あんな手紙を見せられたらそりゃ来たくなるでしょ。なんたって自分の結婚相手が決まるかもしれない事態なのに。

 もちろんお断りするつもりだけどな。てか、日本じゃ男子は十八歳まで結婚できないし。いくら異世界だからって日本の習慣は残っているから結婚するつもりは全くない。


「えっと、俺のお見合い相手について教えてもらいに来たんですが……」


 するとギルトハートさんはぽかんと口を開けると急に笑い出した。今の話のどこに笑いたくなる要素が含まれていたのだろう。


「ああその話か」


 まるで今さっき思い出したような口ぶりで言う。いや、事実今さっき思い出したのだろう。じゃないと「今日はどうした?」という質問は飛んでこないいはずである。


「ああ、お見合いの話か。お見合い相手はシャルじゃぞ」


 は? 今なんて言った? なんでそんなに可笑しそうにケラケラ笑ってるの? 結構な衝撃発言をした気がするが。


「え、嘘ですよね?」

「いや、ほんとじゃよ」

「ええー」


 お見合いの話をアルが持ってきた時より大きな声が出た。

 そりゃびっくりするでしょ。お見合いの話を持ってこられてギルトハートさんがお見合い相手を知っているから教えてほしかったら来い。みたいな文章を読んで来たらまさかのお見合い相手がシャルだったんだから。


「え、シャルの婚約者とはまだあってませんが?」

「いや、あっているぞ。だって君だったんじゃもん」


 は? この人なんて言った? シャルの婚約者が俺? 何言ってんだこの人? 婚約者探しを手伝えといってきたのはこの人だったはずだが……。


「じゃあなんで婚約者探しを手伝えって言ったんですか?」

「ちょっとの間一緒にいることによりシャルの事をもう少しよく知ってもらおうかと」

「はぁ、シャルもなんか言ってくれ」


 シャルに嫌と言ってもらえれば俺が婚約者になることもないはずだ。そんな考えは無意味だったようだ。なぜならシャルは顔を赤くしてこちらを向くと


「末永くよろしくお願いします」


 と、言ってきたのだった。そういえば初めてこの家に来たときシャルが一方的に惚れているだけだ、とか何とか言ってたな。ならそれが俺だってことはシャル的にうれしいことではあっても、嫌な事じゃないわけだな。だが俺とシャルは一週間前にあったばかりのはずだ。それ以前にあっていた可能性もなくはないが一国の王女だし一人くらいは護衛がついていないとおかしいと思う。俺が今まであった人の中で護衛がついてるのを見たことがあるのはエレナだけなので前にあったという線は薄いだろう。


「ねぇ、シャル、俺とシャルは一週間前にあったばかりだよね?」

「はい。そうですが」


 シャルはそれがどうしたのかという風に首をかしげてくる。どうやら一週間前にあっていたという事はないらしい。なら、もし俺のことが好きだったとしていつ好きになったのだろう。俺とシャルが初めて会ったのはギルトハートさんに連れられてシャルと一緒と一緒に婚約者探しの旅をすると決めた時だったはずだ。それからシャルの婚約者がすでにいるってことを知ったのは風呂の時だったからいつ決めたのだろう。


「いつ決めたんですか? そんなこと」

「いやー、シャルの護衛にドランの他にもう一人こっそりつけてたんだけどその護衛が報告してる時に偶然シャルもいて、ね?」


 いや、ね? じゃないですよ。意味わかんないですよ。最初から説明をしてほしいんですけど。


「最初から、説明してください」


 なんで俺がこんなこと言わないといけないの? どうやらこの場で状況が理解できていないのは俺だけらしい。結局どういうことなのだろう。


「わかったから、そんなに食いついてこないで貰えないかな?」


 どうやら興奮のあまりギルトハートさんに詰め寄ってしまったらしい。俺の体はほぼ半分が机の上にあり、ギルトハートさんの顔がすぐ近くにあった。


「すいません」


 一応謝罪しておくが俺としては早く話を進めてほしいのだ。


「どこまで話ったけ?」

「護衛の報告の時にシャルもいたってところまでです」

「そうじゃそうじゃ。シャルもおってその人の事がもっと知りたいと言ってきたのでな、ならついでに婚約者探しの手伝いをして貰おうかと思ってな。そうすればシャルはマサト君の事をよく知れるしわしはシャルの婚約者探しを心配せずに送り出せると思ったのだ。一石二鳥じゃろ?」


 一石二鳥って、よく知らない男に娘を任せて心配しない親がいるかよ。普通は男親って特に娘が誰かと付き合ったりするのは嫌なもんじゃないの? まあ、親になったことがないから分からないけど。……。どうやらこの世界は親の価値観まで違うようだ。


「それで?」

「そうせかすな。紹介しようと部屋に連れて行ったじゃろ、そのときシャルがマサト君に一目ぼれしたとマサト君が風呂に入ってる間にわしの部屋に言いにきたのでな。それを相手がマサト君だと教えずにマサト君に伝えたのだよ」


 隣を見るとシャルが耳まで真っ赤にしてうつむいている。頭から湯気が出そうなほどに真っ赤だ。よっぽど恥ずかしかったのだろう。と、いう事は最初は俺を純粋にシャルの婚約者探しを手伝わせようとしたが、シャルが俺に一目ぼれしたので作戦変更して、婚約者探しを手伝わせるという名目で、俺にシャルの事をよく知ってもらおうって事か。回りくどすぎだろ。なんでこんなことする必要があるのだろう?


「まあそういうことで。シャルの事よろしく頼む」


 どうやら俺はうまくはめられたらしい。最初から計画されていたってことはもう決定事項だよなー。確かにシャルの婚約者はすでに決まっているとは言っていたけどその人の名前も聞いてないしそれ聞いたのお風呂の時だったから勝手に俺が知らない人だと思ったから完全に俺の早とちりだったらしい。婚約者が俺じゃないなんて一言も言っていないのであっていないことに関しては嘘はついていない。だからバルダさんは妹の婚約者に会えたって言っていたのか。納得。ん?


「よろしく頼む?」

「まあ、そういう事だから今日から君はシャルの婚約者ね。まだ、君は身分がないからまだ公にはできないけど」

「ちょ、待ってください。俺、婚約するなんて一言も言っていないんですが」


 そういうと隣に座っていたシャルが「え?」と、声を出す。なにかおかしいことがあったのかと思い隣を見るとシャルがこちらを見ながら徐々に目に涙をためていく。


「マサトさん、私と婚約してくれないんですか?」


 そういうと徐々に涙が多くなっていく。頑張って泣かないようにしているようだがあふれてくる涙の方が多いようで徐々に涙がこぼれていく。あいにく俺は女子の涙を見ても何も思わないわけではない。しかも自分が原因となったら余計だ。


「あ、いや別にそういうわけじゃなくて、俺がいた国では男子は十八歳、女子は十六歳にならないと結婚できないといけないっていう決まりがあるから、それで、それで……」

「そうなのか? なら問題はない。シャルは一国の王女だ。結婚相手にはそれ相応の身分がいる。いろいろ面倒くさいことがあるので今すぐに結婚というわけではないので大丈夫だ」


 あっという間に逃げ道をふさがれてしまった。


「マサトさんは私との婚約嫌なんですか?」


 シャルが上目使いで聞いてくる。シャルはかわいいのでとても反則だと思う。涙目プラス上目遣いのコンボは強力だ。


「いや、というわけじゃないけど……」

「じゃあなんで駄目なんですか? 私がかわいくないからですか? 私はマサトさんが好き、ですよ」


 ちょっとそれは卑怯じゃないかなシャルロッテさん?今告白されたら俺オッケーしてしまいそうなんですが。

あれ?

でもシャルに告白されてて相手の両親もいいと言っているのだからいいのでは。

シャルは可愛いし正直言ってタイプだし。でもやっぱり十八歳までは結婚できそうにもない。なれとは怖いものだ。いくらこの世界が十五歳で結婚できるとしても今まで十五年間ずっと結婚は十八歳を超えてからだと思っていたし、今まで彼女すらいたことがないのに急に婚約者ができるのはどう対応していか分からない。だが、このまま断り続けたら絶対にシャルが泣いてしまう。ここは折れるしかないのだろう。


「わかりました。シャルと婚約します」


 そういったとたんシャルが顔をパッと輝かせる。


「本当ですか!」

「ただし俺はまだシャルの事が好きとは言えません。それにさっきも言ったように俺の国は十八歳まで結婚禁止です。それを破るつもりはありません。それでもいいですか?」

「なんじゃ。そんなことか。マサト君がシャルの事をまだ好きじゃないというならシャルが頑張ればいいだけの事だ。シャルがんばるのじゃぞ」

「はい。お父様」


 シャルの顔はさっきまでの涙が嘘だったのではないかと思うほど晴れ晴れとしていた。


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次回は九月二十六日午後十時頃投稿予定です。

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