♯30 謎の魔法
ふーん、どうやら異空間を作り出しそこに物をしまっておく魔法のようだ。具体的な原理も書いてあったがさっぱりわからない。だがどんなものでもほぼ無限にしまっておくことができるらしい。取り出すのが大変かと思われるが……。だがその心配は無用の用で遠くの物を手に入れる魔法『ゲート』と呼ばれる魔法があるらしい。他にはどんな魔法があるのだろう。
「お、これ面白そうだな」
「どんな魔法ですか?」
「相手から見えなくなる魔法だそうだ。でもこれ呪文の所と魔法の名称の所が破れて読めないな。これじゃ魔法を知ってっても使い物にならないな」
「そうですか。残念です」
ティーナには破れて読めないといったが実際は違う。まるではさみで切り取られたように破れてるのだ。これも今度デイリックにあった時に聞いてみなければいけないようだ。その裏のページを見るとすみか何かに塗りつぶされていた。それもあの魔法の後ろの魔法だけ。
「マサト、お姉ちゃん。もうすぐ王都につくから二人を起こして」
「わかった」
それだけ返事をすると花音をゆすって起こす。シャルはティーナが起こしているようだ。
「おい、花音起きろ。もうすぐ着くぞ」
「あと五分」
まるで朝の寝起きのようなことをいうやつだ。それにしても馬車の揺れ具合が相当丁度良かったのだろう花音もシャルもとてもぐっすり眠っていた。花音が目を開け手を上に伸ばして欠伸をする。
「おはようございます」
どうやらシャルも起きたようだ。眠そうに眼をこすりながら挨拶してくる。
「おはよう」
眠そうな二人とさっきまで新魔法を探していた二人を乗せて馬車は王都の城門をくぐった。城門では警備兵がいるが特別に怪しくない限り取り調べなどは行われていないようだった。
馬車を一時預かり所に預けてギルドにクエストクリアの報告にいく。
「じゃあ、帰るか」
「うん」
ここは人気のない路地裏だ。ギルドにクエストクリアを報告したのだが、クエスト報酬の白貨五枚よりドラゴンの皮やつめなどの売れた金額の合計が王金貨三枚ってどういうことだよ。てかこの世界においてドラゴンってどれだけ希少なんだよ。
「目的地 アステナ 宿屋前 ワープ」
ワープのゲートを開く。この前知ったのだがワープにはゲートに自分から入るタイプのワープとゲートがこちらに迫ってきて自動的に入るタイプのワープがある。この二つの違いの意味は分からない。使い道があるから作ったのだろうが今一つ違いが分からない。やはり過去の人たちが作ったのは意味不明な魔法ばかりだ。使い勝手がいいからうれしいんだけど。
「マサトさん、どうしたんですか? 入らないんですか」
ティーナが顔だけゲートから出して言う。何も知らない人がみたら怪奇現象だな、これは。ここでゲートをずっと開いておくわけにもいかないので帰ることにする。帰るといってもゲートがあるからすぐに王都には来れるのだがそこは気分の問題だろう。
「ただいまです」
宿屋のドアを開けて中に入る。
「お帰りなさい、皆さん。なんか人数増えてますね」
「紹介します。花音とシャルです」
「レティアといいます。よろしくお願いしますね花音さんシャルさん」
「よろしくお願いします」
「よろしくお願いいたします」
やはりというかシャルはスカートのすそを持ち上げてお嬢様の挨拶のイメージそっくりの挨拶をする。こんな挨拶のイメージを持っているのが俺だけなのかは知らないが。一か月分の宿泊費五人分を全て俺が出すことになったのはなぜだろう? だが金の力は恐ろしい。一か月銀貨三枚が五人分で銀貨十五枚を出すことになったのだがあまり金が減ったという感じがしないのである。王金貨を十枚も貰うとこんな風になるとは思ってもみなかった。
「では、お部屋にご案内しますね」
そういって花音とシャルは連れて行かれたので俺は自分の部屋に戻ることにする。なんというかこれは宿屋っていうよりかは下宿って言った方が正しいと思う。この世界に来て四か月近くたった感想は異世界の生活も悪くないという事だった。
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次回は九月十七日午後十時頃投稿予定です。




