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地名は、重要拠点以外は名前をそのままにしています。地勢はワシントン州とオレゴン州の地勢を参考に話を進めています。
地勢のイメージが湧かない場合は調べてもらうと良いかと思います。
マキビトはセントヘレンズ山の頂上にあるイメージ
馴染み深いコロンビア川は流石に変えました。
「我々は新しい境地に挑まなくてはならない!決断は今この時!何故、同胞を見殺しすることが出来ようか!」
怒号と共に机が粉砕される。
会議室の中で一際身体が大きく、存在感のある男が叫んだ。
彼は片目を失った老兵だ。
プリニウス・G・へレンズ
戦士団の総督を務め、冷徹な采配で何度も祖国を救った英雄だ。
並みの兵士はその存在と圧力だけで尻込みする。
が、
そんな彼の怒りはパフォーマンスでしかない。
それを知るのは、弟子である私しか知らないが。
もちろん、その豪腕も名高く見掛け倒しでは無い。
6人の将軍の中でもまだ右に出るものはいない。
「だから、嫌なんだよ。頭硬くて。僕の報告聴いてた?東方には貴人どもの包囲網がなかったから当分は囲まれる心配はない訳。西方のエルレムへ注力すれば戦線は回復出来るってば。」
笑顔で答えてはいるが、全く遠慮がない物言いなのは最年少で将軍となったルカ・サダスだ。
彼が将軍となり得たのは一重に魔術の才能だ。
基本的に、獣は魔法が使えない。
これは抗えない自然摂理として認識されている。
獣と人が交わり生まれた我々の種族は、半人半獣のために制限を半分受けてしまう。
そこで祖先が生み出したのが魔術だ。
魔術は貴人が使う魔法を基に構築されたのだが、
本家を超え密度と威力が高い。
奴らが得意とした魔法が、
魔術により地に堕ちた時奴らは我々を根絶やしにする事を決めたというのもまた歴史の皮肉だ。
しかしながら、実に困難な技術を伴い、限られた者しか扱うことが出来ない。
そんな取り扱いが難しい魔術だが、ルカは戦線最前線の村で生まれ、3歳で魔術を操り始め10歳には戦線で敵を退けたという驚きの実績を持つ。
貴人も限られ者しか魔法は使えないが、何かしらの方法で力を道具に封じ込め、下級兵士でも扱える技術を持っていた。
これに対抗するためには、魔法を相殺以上で打ち勝つことが出来る魔術は非常に有効だ。
魔法さえ無効化出来れば、身体能力で勝る我々に負けはない。
私が将軍になり得たのも魔法を無効化する加護があるおかげでもある。
キビトの巫女は魔術を身体に潜在させる事で神事を務めていたのだが、それが私に発現したようだ。
私には魔法が直接的には通用しない。直接的というには、炎を発現させる魔法は私自体を発火させることが出来ないが、私の鎧に火をつけ、その熱などでダメージを与えることは可能ということだ。
まあ、高等な魔法使いでも標的自体を発火出来る奴は数える程しかいないだろうが。
ルカはその性分の故か、今はあまり戦に対して積極的ではない。
将軍になる前までは戦線を引っ張り、その活躍は国中に轟いていたのだが。
将軍になってからは活躍が芳しくないところは気になるところではある。
「総攻撃して、途中でダメでした。やめて戻りますは出来ないでしょ-?まずは戦線の回復と維持。それから一点突破。まずはプレスコットを落とさなきゃ。キャロルズに戦力を注ぐべきだよ。」
この国の西方端部を流れるコロロ川を挟んだ先に敵国の要塞都市プレスコットがある。そこから川の下流にあるアストリアが海に面したエルレム國の首都だ。このプレスコットを落とすことが出来れば、勝利への足がかりになるのは間違いない。戦局の鍵はこの大きなコロロ川の対岸拠点を手に入れられるかどうかだろう。
「抜かせ!近日手柄も上げておらん貴様の提案など、聞く耳持たんわ!敵もおらん地に行って貴様は何をぐずぐずやっておるのだ!」
「だーかーらー、国周辺の調査だってば。知らない間に囲まれててましたなんて、恥ずかしい思いしたくないでしょー?」
挑発行為の以外の何でも無い。
この場でやり合い始めるにでは無いかと、
入り口に待機している兵はたじろみしている。
「ならば、それが終わった今、貴様がプレスコットを落としてこい!それとも貴様の2つ名は伊達か?!曉の神童よ!!」
「もちろんそのつもりだよー。お・じ・い・ちゃん!」
私でも顔を真っ青にするようなことをさらっと言い、ウインクまでしている。
しかし、師匠の狙いはこれだったんだなと納得する。
周りを牽制しつつ、ルカをけしかける為に一芝居打っているのだ。
難攻不落の要塞都市を落とすにはルカの力が必要だ。
もしくは、ルカと裏で事前取引している可能性すらある。
「なんだと!この若造がぁぁぁぁ!!!!」
机が今度は宙に舞った。
あれ、芝居じゃないのかな。
私の予想通り、戦略会議はただでは済まなそうだ。他の将軍と私は一斉にため息をついた。




