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マキビト神話 創国の節 抜粋
このまま汝らを放っておけん
王はそう告げ、父らは國を出る
一族の秘宝を棺で守り
昼夜問わずに駆け抜けた
我らには住処が必要だ
我らには毛皮が必要だ
我らには糧が必要だ
秘宝を狙い追手が迫る
兄は昨晩殺された。
妹は今日殺された。
それでも我らは止まらない。
雲の道、火の道をくぐり抜け、
運命の岸辺にたどり着く
我らは自らの墓標を立て諦めた。
秘宝を割って埋めて隠した。
追手に包囲されたその刹那、
オオキラが出迎え、海が明けた。
怒れる神は我らを導く
海を歩き山河を辿る
奴らは海へ飲まれて消えた
我らは自由となったのだ。
我らはオオキラを祭りて国を起こす
世界の均衡を願い、神の額で根を下ろそう
我らは平和の民である。
木に行き、木に暮らし、木と生きよう。
牙を研ぎ、爪を立て、旅発つのだ。
我らは木人
真なる木の住人なり。
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戦略会議の結果、今回の要塞都市プレスコットへの侵攻は私とルカが担当する事となった。2将軍が表に立つのは異例でもあるが、それだけこの作戦が重要だといえる。
会議ではキビト様も途中から出席され、冷静を取り戻した中で進められたのが功を奏した。
プレスコット・キャロルの攻防の歴史は古く、その今日までの長さは、即ち失敗の歴史となる。
直近では6年前にエルレム國より侵攻を受けている。これをまだ兵士でもない幼少のルカが制圧し、一事を得た戦いだ。
ルカの魔術は当時から凄まじく、昼夜問わずに空が焼け、大河が凍り、敵味方問わず神々の戦いを彷彿とさせる光景だったという。
「暁の邂逅」と今では呼ばれるこの戦いを経て、戦果を挙げ続けたルカは暁を冠する将軍の地位についた。
ちなみに、将軍の席は歴代変わらず6つ有り、暁、虹、砦、天、極、赦である。
魔術の基本性質と対応し、国の中で最も有能
な能力を持つものがその席に着く。
私は天の称号を冠している。
暁は炎魔術に代表するような攻撃魔術特化であり、相手に対する脅威的な戦力である。
天は身体の硬化等の強化から始まり、気候の操作などの干渉特化である。
私がその気になれば一つの都市を覆うほどの広範囲で雨を降らす事も、堅い地面を泥濘みに変える事も出来る。
そんな歴代の将軍がいるにも関わらず、
これまでの戦いで決着がつかない理由は、やはりこの大河である。
幅600mに越える幅員は、渡る手段を極端に制限する。
両陣営が睨み合うこの場所は、川を渡って攻める側が格好の的となってしまう。
なので、正面からの攻撃よりも下流または上流で渡り、側面からの侵攻が主流となる。
しかし、これにも問題がある。
キャロルの周辺を囲む森にはスオネベアーという上位の獣の縄張りが連なり、突破が容易ではない。
貴人の進行を妨げる要因だ。
プレスコットにも同様に森に囲まれているが、スオネベアーのような獣は生息していないし、そもそも我らであれば獣達と干渉せずに移動できる。
問題は、プレスコットに張られた結界だ。
この結界は潜在能力を引き出すらしく、貴人でも身体能力が底上げされる。
この減少は我らの秘宝が要因では無いかとも推測があるが、この結界のため長期戦になれば応援や後退が難しいために短期決戦をする必要がある。
そこで、私の干渉とルカの突破力により陥落を目指すのが狙いだ。
ちらっと隣に立つルカを見る。
私とルカは仲が良い。
これは歴代稀で有り、各将軍は常に競い合っている。確かに自信のエゴを貫けない者には辿りつけない地位ではある。
しかし、ルカはその笑顔に象徴されるように普段は基本温和である。
「今回に遠征で兵士団の統率システムの意義性がまた裏付けされたな。本当に良いのか、手柄を私に預けて」
そう、現在の兵士団の統率システムを発案したのは彼である。
「良いんだよー。約束の将軍への推薦してくれたんだからー」
にへっと笑い腕を腰に当て仁王立ちをする
「私が推薦しなくとも遅かれお前なら将軍になれてたと思うが、」
「わかってないなー。なるべく早くこの侵攻のために最前線へ参加したかったんだよ!もう16年も経ってるから待ちくたびれちゃったよ」
「そんなにも故郷が大事か」
「んー、まあそんなとこかなー」
少し歯切れが悪いのは照れ隠しだろうか。
「そうだ、遠征の時に良いものがあったんだ。もう持っていたら不要かもしれないが。」
私はそう言ってくたびれた一冊の本を渡した。
「焼かれた家を片付た際に出てきたんだ。」
「わー、ありがとう。本は貴重だから助かるよ。中々手に入らないんだよねー。あっ!プレスコットにも一杯あるのかなー。燃やし過ぎないようにしなきゃ」
さらっと怖い事を言うが、満更でもない。
侵攻中の彼は誰にも止められないだろう。
いや、私が止めさせないのだ。
史上に初となる2将軍による侵攻など誰が予想するだろう。
川の向こうのプレスコットを見る。
いよいよ、明日が決行日だ。
歴史が変わる日が目前に迫っている。
祖国のためにやらねばならない




